「「ジャパニーズウイスキー」の悲しすぎる現実」の文中、「原産地以前に、酒税法の定義自体を疑問視する声もある。同法では、サトウキビの搾りかすなどを原料にした醸造(ブレンド用)アルコールやウオツカなどのスピリッツの混和が9割まで認められている」とあるが、この記述を素直に読めば、まるで1本のなかに1割のウイスキーが這入っているかのようである。角やブラックニッカにスコットランドでいう意味でのウイスキーは這入っていないのでないだろうか。わが国では出来たてのニュースピリッツであっても表記はウイスキーになる。要するに、1割のニュースピリッツと9割の飲用アルコールを混ぜ合わせたものが日本のウイスキーである。「9割は混ぜ物で大丈夫?」と書かれているが、10割でも大丈夫なのである。この消息は千円のウイスキーであれ、2万円のウイスキーであれ対して変わらない。スコットランドのスコッチ・ウイスキー法に照らせば、日本から9.999割のウイスキーは消えてしまう。
昭和30年代、売春防止法の後にハイボール全盛期があった。福原にも100万ドル、石、大ドルなどというハイボールセンターが開店、この世の春を謳歌した。そして昭和40年代は水割りの全盛期だった。60年を経て今また、ハイボールが流行っているという。いつの世になってもなにかで割らないと飲まれないウイスキーの販売合戦は続いている。