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2018年04月 アーカイブ


2018年04月29日

ジャパニーズウイスキー  | 一考   

 https://toyokeizai.net/articles/-/213808

「「ジャパニーズウイスキー」の悲しすぎる現実」との文章が週刊東洋経済へ掲げられた。井筒典久さんから教わったのだが、普段からわたしが扱き下ろしている日本のウイスキー業界の実態が明らかにされている。

 山崎や竹鶴といった“ジャパニーズウイスキー”が国際的な品評会で賞を受けることが多くなったのは事実だが、受賞しているウイスキーは700ミリリットルで17.8万円以上のウイスキーのみ。わたしたちが普段飲むウイスキーはウイスキーにしてウイスキーにあらず。ウイスキーという商品名の飲み物と考えれば良いのである。例えば、山崎というウイスキーが8000円で売られているが、あれはブレンデッドウイスキーであって決してシングルモルトではない。本物の山崎のシングルカスクを飲もうと思えば、18万2千円から43万円の金数が必要になる。同じクラスのスコットランド産シングルカスクだと1万2千円から買える。要するに、わが国のウイスキーは世界一高いのである。
 酒税法上、ブレンド用アルコールやウオツカなどのスピリッツの混和が9割まで認められている。そしてブレンド用アルコールはスコットランドでいうグレンウイスキーではない。かつて悪名を馳せた合成酒はアル添酒、三倍増醸酒とも呼ばれ、清酒なら合成清酒、焼酎なら焼酎甲類という名称で販売されている。原料名に関しては原料用アルコールと命名されており、日本酒なら醸造アルコール、洋酒ならブレンド用アルコールまたはスピリッツ、調味料ならアルコールまたは酒精と改竄表記されている。飲用酒は天然アルコールと合成アルコールが混合されていて、合成清酒と焼酎甲類は5対95、ジャパニーズウイスキーは20対80の割合になっている。
 日本酒の本醸造はアルコールの添加が10パーセント以内と定められているが、ウイスキーの場合は90パーセントまで認められている。しかも残る10パーセントになにが使われているか定かでない。30年前のはなしだが、山崎蒸留所の年間総生産量の約3倍のウイスキーもしくはニュースピリッツ(スコットランドでは3年以内のものはウイスキーとは呼ばない)が樽の状態で輸入されていた。ここ10年は倍々ゲームのごとく増え続けている。
 スコットランドからの輸入原酒だが、日本の蒸留所は例外なく利用している。例えば、自社蒸溜のニュースピリッツ2.3パーセントに外国産ニュースピリッツを7.8パーセント、残る90パーセントはブレンド用アルコールとスピリット。そこへ着色剤としてのカラメルと調味料と香味料が加えられる。わが国では熟成期間が例え1週間であってもウイスキーと呼称される。ウイスキーは蒸留酒である、従ってニュースピリットの段階では無色透明、8年目くらいから毫かに色付いてくる。日本で売られているウイスキーの多くは着色した甲種焼酎のようなものである。着色したと大書したのは、焼酎をシェリー樽などで熟成させて色が付くと焼酎との名称が使えなくなる。逆にウイスキーの場合はいくら着色してもウイスキーなのである。
 酒税法上、ブレンド用アルコールもスピリットもグレンウイスキーのカテゴリーに分類される。要するに、グレンウイスキーと記載があれば、飲用アルコールと解釈しても差し支えない。このようなものがウイスキーと呼称されるのは世界中で日本だけである。繰り返すが、日本のウイスキーは美味い、ただしそれは18万円以上のウイスキーであって、それ以下の商品はことごとくが似而非ウイスキーなのである。


2018年04月28日

パイプのアルミフィルター  |  一考

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 パイプのフィルターには3.6.9ミリの3種がある。これ以外の寸法に関しては専用のアルミフィルターが付いているので問題はない。6ミリと9ミリに関してはいろんなメーカーからさまざまな材質のフィルターが、3ミリはペーパーフィルターが販売されている。
 ペーパーフィルターでなにも問題はないのだが、その費用を惜しむ方に朗報。ライターショップエスケイから3ミリと6ミリのアルミフィルターが売られている。値は324円、ネコポスで送られるので送料は250円。

 https://store.shopping.yahoo.co.jp/lightersk/af-0101.html

 それよりも優れていると思われるのがアルミ管である。ヒカリが造っているAP395-3 [アルミパイプ 3×395mm] がそれで、ヨドバシ・ドット・コムで税・送料込みで51円で売っている。ニッパーで僅かに抑えればそこがストッパーになる。長さは極力長くする方がヤニ取りに有効である。同じ3ミリといってもシェイプの煙道の直径はメーカーによって微妙に異なる。そこはアルミゆえ、簡単に削れる。

 https://www.yodobashi.com/product/100000001003782513/


サンドブラストのパイプ  |  一考

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 パイプはもともと杢目の美しさを愛でるもの。木目は年輪、杢目は模様、杢目にも中杢、玉杢、笹杢、縮み杢、虎杢、蟹杢といろいろあるようだが、パイプの場合は縦方向に綺麗な柾目が出ているものをストレートグレイン、ストレートグレインの切断面に現れる小さな渦巻き状の木目が出ているものをバーズアイ、揺らぐ炎のような柾目が出ているものをフレームグレイン、円周方向に柾目が出ているものをリンググレイン、ストレートグレインとバーズアイを組み合わせた左右非対称のものをクロスグレイン、模様がねじれたりオバケまたはボウズという木目のない部分があったりするもの、要するに大半のパイプはミックスドグレインと称する。ダンヒルのような数十万円、時に数百万円する超高級品は特に木理が細かく等間隔に詰まっっている。
 ダンヒル社製のパイプは100 のうち2~3個しか穫れない無傷の素材のみを使うと云われる。では他の97個の素材はどこへ行くのかと気になる。前述したオックスフォードのようなセカンドラインのパイプは、モルトウイスキーの樽同様、廃品利用といえなくもない。それでも疵が残る場合はサンドブラストやラスティック仕上げのパイプに化ける。スムースなパイプに杢目の美しさがあるように、サンドブラストのパイプには疵物ゆえの暗さ、世捨て人のような佇まいがある。疵者のわたしにこそ相応しいと云えようか。


ムービングリーマーの問題点  |  一考

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 パイプを使うひとにとって、滅多に使わないもののカーボンを削り取るリーマーは必需品である。中古のパイプを愛用するひとにあってはなおのこと欠かせない。安価なものならサビネリ アジャスタブル リーマーもしくはムービングリーマーのどちらかであろう。サビネリはナットを蝶ナットへ取り替えればすむが、ムービングリーマーは頭のカシメがすぐ外れてしまう。それが理由で困っている方は多いと思う。日曜大工の店で「なべ小ねじ(M2×6)」税込み102円を買ってくれば再生できる。寸法は誂えたよう、材質はステンレスなので丈夫である。

追記
 サビネリ アジャスタブル リーマーのネジ(六角穴付ボルト)とナット(蝶ナット、サイズは共にM4)を取り替えた写真を添えるのを忘れていた。左端のネジは最初から付いている木偶坊。


2018年04月26日

油滴天目茶碗と丹波布  |  一考

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 このところ、ヤフオクに素敵な油滴天目茶碗が出品されている。安価なものはそれなりにだが、3万円を超える商品のなかには驚嘆させられるものがある。名前は伏せるが、備前の名のある陶工の息子が父親のコレクションを掻っ払っては小遣いにしていた。事情を承知で引き取る古物商がいたのである。納得ずくでそれらのほぼ盗品と思しい陶磁をわたしは購入していた。その中に数点の天目茶碗が這入っていて、大切にしていたのだが、阪神淡路大震災でなくしてしまった。それゆえ、再度買おうとは思わない。しかし、ヤフオクを観ていると清水千代市さんのところにいらした佐藤さんと備前の窯元を訪ね歩いたのを思い出す。備前に限らない、平織りの丹波布に綾文様の技法を取り入れた福永世紀子さんをはじめ、さまざまな民芸品の紹介に与り、それらは書物の装丁に生かされている。良い時期に出会えたものである。
 わたしの好みは柿釉である。今では岐阜県土岐、滋賀県大津などで結構な作品が多く造られているが、わたしは京都の鎌田幸二さんが好みである。それはさておき、写真下段は丹波布、三橋敏雄さんの限定版の表紙に用いた。上段の油滴天目茶碗は美事である。


2018年04月25日

オックスフォードとアッシュトレイ  |  一考

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 パイプ用灰皿がパイプに付いてきた。それを見ていて拙宅の民芸調灰皿を改造したくなった。改造といっても、ストラスアイラの栓を両面テープで貼り付けただけだが。写真下はおまけの灰皿、上は伝統工芸・飛騨春慶の盆に収められた越中瀬戸焼き。見た目はまるで有田焼だが、良い味が出ている。笠間の焼き物にも同様の品がある。
 一緒に写っているのはオックスフォードのビリヤードタイプである。オックスフォードのパイプは昔マルマンが扱っていた。マルマンはクラウンと共に、ガスライターのメーカーで、昭和37年からTBSでマルマン深夜劇場をスポンサード、昭和39年からは洋画専門チャンネルとして連日深夜放送していた。その番組の主題歌は以下のごとし。

 https://www.youtube.com/watch?v=1iM-YBWKqv8&pbjreload=10

 ヤフオクで「アンティーク パイプ 小道具やコスプレにも」とのタイトルで銘柄の記載のないパイプが20円で売られていて購入。磨くのに時間がかかったが、昔、持っていたパイプとほぼ同じオックスフォードのものである。往時マルマンが輸入していたのはサビネリ(イタリア)、ピーターソン(アイルランド)、オックスフォード(イタリア)、ダンモア(デンマーク)、ジョンテ(フランス)の五社。その中で最も安価な初心者向けがオックスフォードで、パイプに嵌まったひとが必ず手にするひとつである。GBDのセカンドラインだが、オックスフォードのビリヤードはダンヒルやBBBなどよりも使いやすく、シンプルで質実剛健、かつ美味いパイプとして定評がある。わたしはフレーバーの効いたコルツの葉を用いているが、ロンソンのパイプだと苦みが出ることがある。

追記
 コルツ・チェリーが廃止になる。アメリカン・ミックスチュアとゴールド・デラックスの販売は続くらしいが、残念である。


チビキ  | 一考   

 ラ・ムーでチビキが3尾276円で売られていた。アオチビキは究極の美味と云われる白身だが、ラ・ムーのそれはチビキと云ってもハチビキである。関東では赤鯖と称して評価が低いが、淡泊な中にも甘みがあって身離れがよく、実に旨い赤身である。ラ・ムーで売っている魚は刺身では食べられないが、煮付けか塩焼きもしくは3枚に下ろしてソテーでも美味しくいただける。
 前項で紹介したタモリ(瀬戸鯛)や角飛(かくとび)同様、下世話な魚だが、旨いものは旨いとしか云いようがない。


差別と伝統  | 一考   

 このところ相撲において女性を土俵に上げるか否かでもめている。神道の権化のようなファッショな親方が平の年寄りになって少しはましになるかと思いきや、今度は伝統の権化が現れた。能であれ、歌舞伎であれ、宝塚であれ、伝統などという文言を持ち出すべきは部外者の評論家であって、当の本人または関係者が言い出した日には権威主義にしかならない。
 柔道、剣道、空手道、相撲道など、道を誇示するところがそもそもいかがわしい。身体の鍛練なら理解できるが、心の鍛錬とはなんなのか、説明できるものなら中身についてお訊きしたいものである。「心身を鍛錬し人間形成を目指す」などという抽象的にして出鱈目かつ能転気な心構えで若者の純朴な精神を穢していくのはただちに止めていただきたいと思っている。

 伝統とは現在ある者が過去を忖度し推し量って拵えるところの謂であって、過去に存在したものではない。見てきたような嘘をつきとは正にこのことであろう。生活に即したものこそ伝統というに相応しく、乖離したところに伝統は存在しない。天照大御神という女神を最高神に頂くわが国は元々女系家族であって、時にアメノウズメのように明るく自由で大胆に行動し、大らかにものごとを育む優しさや包容力を大切にしてきた。男尊女卑なる概念は明治からこちらの国家主義によって生み出されたものである。それよりなにより、世の中の仕組みを男と女の二項対立で計られると思うこと自体が差別的である。

 武士道の思想的な核心について西部邁はかく述べている。

「自死」を生における企投(きとう)のプログラムに組み込まないなら、生そのものがニヒリズムの温床となる。そのことは山本常朝の『葉隠』においてすでに指摘されていた。武士道の思想的な核心は、自死を生の展望のなかに包摂(ほうせつ)することによってニヒリズムの根を絶とうとするところにある。「人間的条件の限界内にとどまることを敵視する(神学的な)形而上学から脱け出し、人間的な“より善く”の探究を(宗教的な)至高善の名において誹謗(ひぼう)するあの不幸な意識を一掃し、死そのものをではなく死ぬことを定められたすべてのものを虚無だと言い捨てるニヒリズムの遺恨の根を枯(か)らすこと」(モーリス・パンゲ)、それが自死の選択である。——西部邁 『虚無の構造』 中公文庫、129頁。

 もっとも、彼のいう自死が他人を捲き込まなければ完遂できないものであるなら、わたしはいっそニヒリズムを意企したまま朽ち果てたいと思っている。


2018年04月12日

耳鼻科の検査  | 一考   

 病院生活が長かったので、消毒液と小便の入り混じった臭いには慣れている。ところが耳鼻科はまるで異なる。排泄物の臭いの代わりに、カラメルを焼いたような臭いがする。同じ病院で科が変われば臭いまでも変わることに気づかされた。耳鼻科の隣は精神科と神経科、この一角は不思議な香りに包まれている。まるで駄菓子屋の雰囲気である。
 聴音検査のあと、少々重い金属製の目隠し(写真機)をして暗闇の一点を眺める。そのままの姿勢で首を仰け反らせて、右へ左へと視線を泳がせる。三半規管に異常があれば、瞳孔が定まらない筈である、わたしの三半規管は正常である。
 恰度、一箇月前、ひどい目眩に襲われた。三日間つづき、20数度引っ繰り返った。あるときは前へ、あるときは後方へお構いなしに打っ倒れる。怪我こそなかったが、店は開店以来、はじめて休んでしまった。泌尿器科の主治医に云わせると、再発は必至、耳鼻科と脳の毛細血管の検査はした方が良いとのこと。院内紹介の場合、複数の科に罹ろうが費用は変わらず400円、それよりなにより他の外来患者を差し置いて、優先的に診てもらえる。ちなみに、薬も院内処方にしてもらっている。従って、そちらの費用も込みでの400円である。わたしが服用する免疫抑制剤は月に38万円である。透析治療よりは安いが、既に3000万円を超えている。臓器移植手術のときは国保非対応の薬が多かったので、1000万円ほど自腹をきった。医師が見かねて違法を承知の混合診療で対応してくださったのである。

 耳鼻科の医師曰く、あなたの指摘通り、左側はやや難聴、とつおいつするところですが、まだ補聴器はいらないでしょう。ただ、音楽はなにを聴いてもモノラルになりますが。難聴も目眩も老いから来るものです。特に天候不順と目眩は密接な関わりがあります。睡眠は十分にとってください、と。それと大事なことですが、老いてからの検査の有効期間は半年、わたしにしても、今日の身体検査で異常がなくても明日心筋梗塞で死ぬやもしれず、くれぐれも注意してください。特にMRIとMRAは安全ですから頻繁に撮ってください、とのありがたいお言葉を後に泌尿器科へ戻った。次回の診察は5週間後。


2018年04月05日

明石旬菜よもぎ  | 一考   

 Bar眞のマスター眞野公一さん来店。明石の割烹について話し込む。二箇月前から予約で一杯だが、西明石にコースで3500円の割烹があって頗る美味と聞き及んだ。屋号は「旬菜よもぎ」、彼の味覚をわたしは信頼している。予約が必要な店へ病人のわたしは行かれないが、そのような店があると聞くだけで嬉しくなる。昔からある地の店舗でなく、外部から新しい血が這入ってくるのは愉快である。
 前項で紹介した五半と同じく、メニューはなく、店主お任せのコースのみ。食べ物屋が置く酒類には概していかがかと思うものが多いのだが、よもぎには磯自慢の生貯蔵が用意されているそうな、大いに評価したい。


2018年04月03日

自転車操業の破綻  | 一考   

 ヤフオクのシステムが変わった。支払いがかんたん決済のみとなり、落札者が受領の手続きを済ませた3日後に出品者に振り込まれる。受領連絡がなされない場合は14日後に振り込まれる。ここで困るのは、過去3000件を越える出品をしたのだが、受け取り連絡があったのは1800件、その内、非常に良いとの評価が来たのは1456件(944人)だけである。わたしのような自転車操業の身には辛い。出品した商品はことごとく売れているのだが、半数近くは14日経たないと入金されなくなる。要するに、予定が立たないのである。
 ヤフオクには評価を毛嫌いする向きがいらして、それはそれで良いのだが、発送した商品を受け取ったとの返事ぐらいは欲しいものである。先月はウイスキーを5本とサイクルパーツを11点出品した。内13人から受け取り連絡があった。確率は高くなったのだが。

追記
 ヤフオクで知り合った友人でかんたん決済を拒否している方がいる。銀行振り込みと違って入金に時間がかかるからである。彼はメルカリなどへ引っ越すに違いない。かんたん決済の振込有効期間は1週間だが、約2割の方はぎりぎりになってから振り込んでくる。わたしの出品はウイスキーが多いので落札者の半数は中国人である。不慣れな日本語は別にして、中国人の取引は手早く几帳面である。システムを無視し、振り込みを遅らせるような不埒な輩は必ず日本人である。


フェイスブック  | 一考   

 「フェイスブックでわたしの投稿を190人がシェアなさった」と書いたが、その後も増え続けている。それよりも、シェアなさったひとりから連絡があって、そちらでは6000のシェアがあったと。どういう方が存じ上げないが、ロンドンにお住まいの日本人で、友達を3500人お持ちである。SNSの輪の拡がりの一端を垣間見た。もっとも、わたしにとってはどうでも良いことなのだが。


割烹・小料理屋、五半  | 一考   

 横浜からのお越し、ありがとうございました。お陰さまで先月は関東からのお客が10名を越えました。これだけでは文章にならないので、東京からの客が良く行かれる店をふたつ紹介する。
 ひとつはイタリア料理のトラットリア ピッツェリア チーロ、略してチーロ。予約が取りづらいので有名である。予約が必要な店をもう一店。伊藤道直さんが営む割烹・小料理屋、五半である。共にコストパフォーマンスの良い店である。
 赤坂ではかさねと親しくさせていただいたが、明石で愕いたのは寿司屋や割烹の値の高さである。東京と明石ではまず魚の値が違うし、家賃が異なる。にもかかわらず、銀座や赤坂の割烹と明石のそれとが同じような値付けなのは理解できない。明石にはタケノコメバルやタモリ(セトダイ)のような安価で美味な磯魚がいくらでもある。ところが安価な魚を置けば店の格が下がると思っているらしく、クエ、シロアマダイ、マハタ、ホシガレイ、キジハタ、鮭児、マナガツオ、オコゼといった高級魚ばかりをそろえてぼったくっている。別に高級魚ではないが、昨今はやりの金目、のどぐろ、トロもここへ入れておこうか。下田の友人が下田の寿司屋はどこもかしこも金目とキンキばかりになって磯魚を置かなくなったと嘆いていたが、同様の現象が明石でも起こっている。まるで明石の料理人は調法を忘れたかのようである。東京では鯖や秋刀魚のような下世話な魚を使い、コストを下げている。ミシュランを獲るのは素材でなく料理法である。
 五半を紹介する理由は4200円のおまかせ料理のみという点にある。コースの〆には鯛飯が用意されているが、これがまた頗る美味。先頃、伊藤さんと話したのだが、目板すらこのところ扱っていないとのこと。コースで4000円を続けようと思えば、日々それこそ素材との格闘が必要になる。彼のようなひとをこそ、料理人と呼びたい。

 五半 明石市大明石1-8-8 電話078-918-6002

追記
 チーロや五半を教わったのは、明石で知り得た友、井筒典久さんからである。彼については稿を改めたい。

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