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2018年06月 アーカイブ


2018年06月28日

東京奠都  | 一考   

 藤江屋分大が創業した1818年は化政文化の真っ直中、花見酒が軒昂だった。その酒のあてとして開発されたのが桜餅と羊羹だった。往時の酒は甘く、甘さを甘さで打ち消すといった案配だった。隅田川ほとりの長命寺門前の茶屋山本屋の桜餅や本郷の藤村羊羹はつとに知られるが、江戸時代は煉羊羹の全盛時代でもあった。「虎屋黒川」が「京風羊獎」で駿河屋と並び称されるようになったのは、明治維新の東京奠都に伴って東京に進出した後のことであった。時の権力者に阿り、東京を代表する屋号となったが、仔細はさておき伊藤敬さんから頂戴したとらやの羊羹セットは忘れられない。
 大坂から江戸への砂糖の輸送は、当初、菱垣廻船によって行われていたが、西宮の酒を江戸に送るための樽廻船がはじまると、砂糖輸送も樽廻船を使うようになった。その権利をめぐってしばしば刃傷沙汰になったという。
 和菓子のなかでも羊羹は棹物(さおもの)に分類される。そのため、1棹、2棹と呼ばれる。西日本の主に近畿地方では丁稚羊羹、練羊羹との違いは水分の含有量と若干の作り方である。近々、分大の丁稚羊羹を買いにいこうと思っている。

追記
 先日、分大さんが来店、前回に続いて砂糖のはなしになった。前項で触れたてんさい糖は20年ほど前に、94年量産化に成功した岡山林原のトレハロースもいち早く用いている。さまざまな実験を繰り返しているのだと愕く。最近は喫茶店でラ・ペルーシュのキューブブラウンを用いるところが増えてきたが、わが国の砂糖は上白糖、グラニュー糖、三温糖、角砂糖と同じものである。日本は工場の生産ラインが決まってい、他のものは輸入するしかなさそうである。
 もうひとつ面白いはなしに、年齢から来る味覚の変化があった。味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の基本味があるが、甘味以外は顕著に衰えていくようである。老いにあって嚥下障害と味覚障害は避けられない。味覚のキーは味蕾だが、味蕾は8歳から急速に増え、12歳をピークにまた減ってしまう。ピーク時では約1万2000個あるが、大人になると半減してしまうのである。分大でも最近味が変わったという方がいるが、味はなにひとつ変わっていない、変わったのはそのひとの味覚そのものなのである。
 ウイスキーに関しても昔は旨かったがお客の口癖だが、年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず。12歳でウイスキーを味わえないのが残念至極。


2018年06月24日

珍客  |  一考

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 玄関にツバメが巣を拵えた。泥や枯れ草、木屑のようなものが大量に落ちていたのだが、まさか犯人が鳥だとは気付かなかった。店へ行こうとして玄関を開けたとき、ツバメの帰宅と遭遇した。周章てたのはツバメの方で、わたしがいなくなるまで辺りを飛び回っていた。餌を採ってきたのであろう。1箇月ほどピーピーと五月蠅くなるが、7月の末には巣立ってゆく。わたしが住んでいるところは18戸の長屋である。その中から拙宅を選んでくれたことに感謝、一人暮らしの身には嬉しい珍客である。

追記
 帰宅後、真っ先に巣を覗いたが、親は頭を突っ込んで寝ている。尾っぽは巣からはみ出ている。ちょっと小さいようである。天井灯の金具の部分に張り付くように設えているが、夜通し電気は点いている。ツバメは薄暗いところを好むのでなかったか。


2018年06月22日

立ち居振る舞い  | 一考   

 日曜日、寝具の洗濯と夏物への交換、ライダースーツの洗濯と交換、そして家中に散らばっている段ボールの除去と掃除に明け暮れた。1日では到底処理しきれないが、足下は若干片付いた。老人の一人暮らしはあっという間にゴミ屋敷になってしまう。有るときは書物に埋もれ、有るときはサイクルパーツに、また有るときはウイスキーが溢れ、ヤフオクで生計を立てるようになってからは段ボールの山である。ものを持つのがよろしくないのは分かっているが、そのものがあればこそ、発症してからの8年間、医療費と生活費と家賃がなんとか捻出できた。
 「見過ごすと危険、妻の無言は「怖い最後通告」」として「夫源病」なる病が多発しているそうな。わが国の亭主の身勝手さはわが身を振り返ればよく分かる。うまく行っているのは別居しているからに他ならない。一緒に暮らせば間違いなく一週間で最後通告を突きつけられるに違いない。一人暮らしは気の向かないことはしなくて済む。その代わり、炊事洗濯など家事万般は自分でするしかない。
 病気になってよく分かったのは明日のことは誰にも分からないということ。身体だけは自分で読み切られないのである。医師に云わせると3度死んでいるようだが、臓器移植の後も下血で死にかけている。その内2度は危篤ということで、女房子供共々、埼玉の病院へ呼び出されている。通常は危篤となれば死ぬのが当たり前なのだが、わたしは死ななかった。よほどの強運か悪運の持ち主なのであろう。二度とも輸血で命ながらえた。一度は21単位、一度は12単位の輸血である。2日に及ぶ輸血の後も身体はベッドに縛り付けられたまま、身体を動かせば看護師が駆けつける。センサーが取り付けられているのである。そして身体もベッドも排泄物で汚れてしまう。ひとは死に向き合ったときですら立ち居振る舞いには気を遣おうとする。立ち居振る舞いがままならないと分かっていても。


高麗苑  | 一考   

 高麗苑の高野さん来店、彼とは旧い付き合いである。1982年から85年に東京中野新橋へ転居するまでの4年間、わたしは太寺3丁目に住んでいた。いま調べてみると、井筒典久さんの家と道を隔てて100メートルも離れていない。30代半ばのことである。
 往時、明石駅へ行くに東仲ノ町商店街を歩いていた。その中程に高麗苑があった。長田の婆さんが造っているどぶろくを飲みながら、金がなくて何時も決まっててっちゃんを食べていたのを思い起こす。行く度に、同じく一人前のてっちゃんを大事そうに食べている客がいて親しくなった。どちらも儲からない客だったが、高野さんは嫌な顔ひとつせず接してくださった。高野さんから聞いたのだが、客すなわち岡本書店の息子さんはフェリーから身投げして亡くなられたそうな。神経質だが、どこかしら人懐っこさを覚えさせる素敵な青年だった。彼と酌み交わしたどぶの甘酸っぱい味は忘れまい。
 後年、赤坂でですぺらをはじめた時、NTTの木村さんが焼き肉を所望された。あの折の焼き肉は高麗苑から取り寄せたものである。全国焼肉協会の寄り合いがある度に高野さんはですぺらへいらっしゃる。面倒のかけっぱなしで気がひけて開店の挨拶にも行かれなかった。高野さんがですぺらを見付けたのはまったくの偶然である。肝臓を悪くして2箇月ほど入院なさったとか、随分と痩せていたので瞬時どなたか分からなかった。
 一考さんも随分と髪が薄くなってと高野さん。昔はダンディだったのに、と。彼はわたしより6歳下だが、老いというものは等し並みに訪れる。わたしはこの等し並みとの言葉が好きである。そこには差別がないからである。彼は在日ゆえ、謂われのない差別と闘ってきた。だからこそ、わたしは彼と親しくなり、家族付き合いもしてきた。二人して抱き合って再会を喜んだのは云うまでもない、生きていてよかったねと。


立ち転け  | 一考   

 2日連続で雨に打たれた。大蔵海岸の駐車場で同い年の老人から珍しい車に乗っていますねと声をかけられた。キャブ使用ですからと応えると、それにしても磨きが足らないようでと云う。こちとら土砂降りでも二輪に乗っているのですよ、いちいち磨いてられるかと、ここは堪えて和やかに笑う。ライダーらしく「お達者で」と挨拶を交わして別れた。
 久しぶりに晴れたのでタバコを買いに舞子まで走る。歩道へ乗り上げたところでいきなりエンスト、煽りを食らって立ち転けと相成った。この30年ほど立ち転けとは無縁だったが、寄る年波には勝てぬ、何時か倒れるだろうと思いつつ、そのためにこそ足つきの良い小型バイクに乗り換えたのだが、倒れるときに大型も小型もないと分かった。それよりも、学生と思しき妙齢の女性が3人駈け付け、バイクを起こそうと手伝ってくださる。立ち転けが恥ずかしいという年齢はとっくに過ぎた。本音をいえば、女性と一緒にいたいがためにそのまま引っ繰り返っていたかったのである。

追記
 ブレーキレバーの先端が折れてどこかへいってしまった。運転には支障ないが、アルミ製品は役に立たない、鉄製のレバーがあれば良いのにと思う。


2018年06月14日

赤坂一ツ木通り店のカタログより  | 一考   

 ですぺらの店主はライダーですが、決してバイクおたく、旧車マニアではなく、走りを目的とし、自ら整備し、雨風に打たれるのを快感とするライダーです。従ってモルト・ウィスキーを取り扱うのも、それがたまらなく好きであり、幾たび宿酔の悪夢に魘されようが懲りもせずに飲み続ける、要するに単なる酔っ払いなのです。
 昨今、通信ネットが発達し、日々各所でオークションが催され、さらなるレアものも容易に入手できるようになりました。特に伊太利亜では盛んなようです。国内を振り返っても、レアものや旧ボトルを取り扱う業者が増え、今では専門の業務店も存在します。しかし、人は時代の子。生体解剖に興味は有っても、死体解剖に店主は些かの興味も抱きません。シュルレアリストにしてシングルモルトの先達、神大の仏文学者、故小島輝正氏の三千本を越えるコレクションも震災であえなく瓦解。目前にごろんと転がる現実、要するに与えられた条件の中で、いかに気軽にモルト・ウィスキーを嗜みかつ愉しめるかに、ですぺらの本意があります。
 酒の世界にあっては本質が実存に先立ちます。人に親しまれ飲まれてこその存在。たかが酒ではありませんか、蘊蓄やこだわり等豪快に嗤い飛ばして飲みましょう。

  ≪いたずらに生きのびし意志弱行の者たち
       やるせない遠吠えの咽をうるおすために
                  誰あらん 美酒一献≫


ノンブレンディングの個性  | 一考   

 先日、東京から戸井田和重さんがいらした日、三宮の「スランジバー・エーボ」の岩田秀史さんと同席となった。戸井田さんとは一ツ木通りの店舗からのお付き合いだが、岩田さんとはごく最近である。エーボはブレンディングウイスキーを主となさっているようである。ブレンディングは元々ウイスキーの原点である。モルトウイスキーは個性が強く、複数のモルトを掛け合わせることによって個性を中和し、飲みやすいウイスキーに仕立てたものである。よって、おらが村の酒はこれに限るといったふうに地元の少数者によって飲み継がれてきたのがシングルモルトである。
 シングルモルトがわが国で飲まれはじめたのは1980年頃のようだが、ピュアモルト、ノンブレンディングなどと蒸留所によって呼び名はまちまちだった。それを統一したのはUD社(ユナイテッド・ディスティラリーズ)、現在は6箇所に絞り込まれたが、往時は約半数の蒸留所を抱えていた。傘下の蒸留所に声をかけ、呼称をシングルモルトに統一、2003年のことである。
 わたしがバーをはじめたのは1994年だが、シングルモルトなる飲み物の存在に気付かされたのはそれからである。従って、まだ24年にしかならない。バランタインのメインモルトがグレンバーギ、ジョニー・ウォーカーのメインモルトがカーデュなどと云われても、メインモルト、キーモルト共々わたしにはさっぱり分からない。岩田さんによると個別に味が分かるとのことだが、1本のボトルに入っているモルトはたかだか3パーセントか多くても10パーセントまで、キーモルトはそのうちの僅かに3パーセントほど、1本のブレンディングウイスキーのなかに2ccである。それがタリスカーであれクライヌリッシュであれロイヤル・ロッホナガーであれ、わたしにはちんぷんかんぷんである。もっとも本職のバーテンダーではないので、岩田さんにかなうわけもないのだが。
 英国に住む友人からジョニー・ウォーカーは外貨を稼ぐためのウイスキーであって、地元のスーパーではジョン・ウォーカーとの安酒が売られていると土産に貰った。現在わが国で売られているジョン・ウォーカーとは違って、本当にモルトが這入っているのかと疑いたくなる不味い酒だった。

 わたしがシングルモルトに惹かれたのは好き嫌いは別にしてその強烈な個性である。グレンアギーのポマードのような香りと苦みを伴う濃厚な味わい。オルトモーアの徐光液を想わせる特異な香りとココナツや胡桃を擂り潰したオイリーな味わい。グレン・ギリーの草木染に用いる露草や湿った海苔、コスメティックな香り、バイオレット・フィズを想わせるオイリーな味わい。コールバーンの輪ゴムを噛みしだくような味わい。ダラス・ドゥーの潤いを含んだ樽、雨降りの製材所の臭い、雨に打たれた整髪料を想わせる味わい。コンヴァルモアの初手からフィニッシュに至るまで、甘味の中に粗塩のような薬品臭がつきまとう味わい。ベンローマックの根生姜、がり、茗荷を思わせる苦み、飲むにつれ、もろみ味噌が恋しくなる。もろきゅうでもよろしいが、胡瓜のサクサクした食感はウィスキーには馴染まない。北京味噌もしくはしゃもじに塗りつけて焼く蕎麦味噌のような焼き味噌が相応しい等々。けだし、それらは立派な個性。超個性的な香味を内包する。
 一方にグレンロッシー、リンクウッド、ロイヤル・ロッホナガーなどというソフィスティケーテッドなウイスキーがあり、他方、グレン・グラント、グレンフィディック、グレンリヴェット、ダフタウン、トーモア、トミントゥール、ミルトンダフ、マクダフ、バンフ、ロイヤル・ブラックラ、グレンロッキーのようなすべてに於いて物足りないモルトというかモルト風味のウイスキーもある。わたしは後者のウイスキーを飲みたいとは思わない。同じ飲むなら個性を個性として楽しみたい。「誰も責任をとらない」との標語をかかげるわが国のサラリーマンのようにはなりたくないのである。


2018年06月11日

しのぎ盃  |  一考

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 江戸時代初期の伊万里 白磁 しのぎ盃。寸法は口径約6.2cm、 高台径2.5cm、高さ5.5cm。買う気はないが、良い味わいである。ろくろ引きした後に施されるしのぎである。


2018年06月10日

403 Forbidden  | 一考   

 掲示板にコメントを掲げようとすると403 Forbiddenとなります。アクセス権の問題で、Terminalで訂正できるようなのですが、わたしには分かりかねます。どなたかご教示いただけないでしょうか。
 拙宅はJ:COM(ジェイコム)で繋がっていて問題は生じないのですが、店の方はフレッツひかりとso-netで繋がっています。そちらが403 Forbiddenの頻発で困惑しております。


ハリイカ  | 一考   

 月曜日からつづいていた下痢が治まった。久しぶりの食事に舌鼓を打つ。一週間分の食料の買い出しは日曜日にまとめて行うが、今週は食料の大半を捨てざるを得なかった。特に野菜は刻んだものを買ってくるので日持ちしない。
 鳥取や島根の白いか(ケンサキイカ)同様、明石のまえもんハリイカ(コウイカ)は旨い。コウイカの新イカは東京ではキロあたり1万円を超える超高級品だが、当地では安い。親イカなら200円から300円で手に這入る。松戸では墨がついたまま出荷していたが、こちらでは洗い落としたり洗わなかったりといろいろである。同じコウイカでも大型のモンゴウイカは好きでない。ガムを食べているようで興がが湧かない。そのハリイカを二枚買ったのだが、どうせ食べられない。よって綺麗に掃除をし、冷凍庫に保管した。明日にでも山椒焼き(塩焼きが駄目なので)にしようかと思っている。


2018年06月09日

シュリンクフレーションの逆  | 一考   

 牛乳、チョコレート、ポテトチップ、マヨネーズ、チーズ、ハム、ソーセージ、いつの間にか容量が減っている商品は数多い。その一方で食パンのように増えているものもある。近隣のスーパーで購入する食パンがトースターに這入らなくなって困っている。食パンなど全国どこへ行っても同じ大きさだと思っていた。大きく造らなかった家電メーカーが悪いのか、それとも、サービス精神旺盛なパン屋が悪いのか定かでない。
 戦後のうどん屋は一貫して一人前100グラムだった。これは茹でた後の重量で、茹でる前だと70グラム弱だった。定食だとそれにいなり寿司が2個付く。それが今でははなまるうどんの小が210グラムで丸亀は並で250グラムだとか。みなさんこのように馬鹿食いするのであろうか。明石にもうどん屋,そば屋で行きたいところがあるのだが、いずこも一人前300グラムとやら、それを聞いただけで怖気を振るってしまう。食えるわけがなかろうに。


助六  | 一考   

 先日、女房がサントリーの山崎を取りに来た日、寿司を持っていた。巻きが4巻に稲荷が2つのどこででも売っているもっとも安価な盛り合わせ、すなわち助六である。子供が結婚して出て行ってからはこのようなものを食べていると。これで1日ですかと訊くとそうですと応える。彼女の体重は20代の頃から変わらない、30キロ台に留められている。お茶でも淹れようかと云うと、食欲がないので結構ですと。

 サントリーのはなしになる。同社が生産調整に這入ったのは2006年、2008年末からハイボールブームが起きているので生産調整はおそらく3年はつづいたと思われる。ブレンディングウイスキーの響17年が元に戻るのは2025年になるのでなかろうか。それよりなによりブレンディングに使う輸入原酒(バルクウイスキー)が高騰している。昨年のウイスキーの売れ行きベスト20の内、インドのウイスキーが過半数を占めている。インド産ウイスキーはスコットランドのモルトにインド産のグレンウイスキーを混ぜて造っている。ニッカと同じく、カリラ、ベンネヴィス、トマーチン、ボウモアなどが使われている。スコットランドはわが世の春を謳歌しているが、わが国も今までのようなニューポットだけでなく、10年ものを仕入れないとジャパニーズウイスキーは休売、終売の繰り返しになる、他にもダフタウン、アードモア、グレンダラン、カードゥなど生産量の多い蒸留所はある、などと私見を述べた。


2018年06月08日

嘉之助蒸溜所  | 一考   

 洋樽ではマルエス洋樽製作所、有明産業、昭和洋樽などがあるが、昭和洋樽はフローリングに転業、マルエスはニッカとイチローズモルトの樽をつくっていたが、今は焼酎メーカーを主としている。京都の有明産業は海外との取引が多く、嘉之助蒸溜所が持っているソレラシステムで80年使用したシェリー樽も有明産業から仕入れたもの。
 一言触れておきたいのはマッカランが用いるオロロソカスクは酸化熟成した辛口ワイン、モスカテルやペドロ・ヒメネスのような甘口ではない。それよりなにより、新樽をスペインへ持ち込んで2年ほど使った後、ウイスキーを詰めるとのインスタント作業で樽の善し悪しは二の次なのである。このような方法にわたしは異議を感じる。
 嘉之助蒸溜所はイングランドとドイツのモルトスターからモルトを輸入している。その内、イングランドのシンプソンからはヘビリーピートのモルトを引いているようである。12年前に山崎から頒されたヘビリーピートのシングルカスクもシンプソンだと聞いた。山崎のヘビリーピートはアードベッグよりもピート値が高く、頗る美味だった。
 亜熱帯で生み出されるシングルモルトウイスキーとして台湾のカバランを上げることができる。カバランは2010年、ウイスキーの本場スコットランドで行われたテイスティング大会で「カバラン・クラシック・シングルモルト・ウイスキー」が見事1位を獲得したのを皮切りに、世界で最も権威あるウイスキー賞といわれるWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)で「カバラン・ソリスト・バーボン樽シングルカスク・ストレングス」が「ベスト・レスト・オブ・ザ・ワールド・シングルモルト・ウイスキー」を受賞している。
 嘉之助蒸溜所は本年はじめてニューポットを限定発売した。そのテイスティングノートがすこぶる振るっている。

 COLOR(色):クリアだが、上質のオイルのようなとろみ
 NOSE(香り:焼きたてのパンのような香ばしさ、ベリー系ジャムのかすかな酸味を感じる濃厚な甘い香り
 TASTE(含み:はじめ甘く、次第にまろやかさが現れ、りんご系のエステル香が鼻に抜ける
 FINISH(余韻:モルト由来の含み香の特長が長く感じられる

 飲み方:そのままでもお楽しみいただけますが、ほんの数滴の水を加えてください。香りが華やかに開きます

 分かりやすい日本語で好感が持てる。カバランはヘビリーピートを扱っていない。嘉之助蒸溜所に期待している。


ワインカスク  | 一考   

 アルベール・ビショーのボージョレ・ヌーボー2007年の樽(15リットル)を買った。ボージョレ・ヌーボー全盛期、六本木や麻布くんだりのワインバーで同樽が持て囃されていたのは知っていたが、入手に至らなかった。有明産業の5リットルのミニ樽は24000円もする。本品は8000円だったが、チャーではなく、トースティングのミディアムが施されている。
 取り敢えず、慣らしに不味かったモンゴメリーズのロングモーンを入れている。兎にも角にもモンゴメリーズのシングルカスクコレクションは安いのが取り柄で碌なものがない。3箇月ほど馴らしてからアイラモルトのカスクストレングス(ラガヴーリン)を入れるつもりにしている。2リットルや5リットルのカスクと違って15リットルあれば、熟成が可能である。1年後の楽しみが増えた。


新薬と下痢  | 一考   

 サーティカンという免疫抑制剤がある。一部グラセプターの代用品なのだが、2018年 2月に売り出された新薬である。心移植、腎移植、肝移植患者のT細胞の増殖を抑制する。医師からは肺結核の予防になると聞かされたが、どこにもそのようなことは書かれていない。副作用としてとんでもない下痢をもたらすが、そのようなこともどこにも書かれていない。下痢のひどさは医師も了解したようで、サーティカンの処方を半分にし、グラセプターを一錠増やした。
 それにしても爾来、定期的に下痢になる。下痢になると必ず微熱が出る。恰度風邪を引いたような案配なのである。昨日もズボンとパンツを汚してしまい、介護用紙おむつを装着した。それもあって、こちらでは女性とのおつきあいは遠慮願っている。戸田では紙おむつは病院から支給されていたが、神戸では個人で購入している。

追記
 免疫抑制剤としては「サーティカン」、悪性腫瘍治療薬としては「アフィニトール」の名で製造・販売されている。


2018年06月06日

眞野公一さん  | 一考   

 iMac A1311は購入時に10.7がインストールされていた。一気に10.13.5にバージョンアップして使っている。ただしメールが消えてしまった。三種類の方法があるようなのだが、ことごとく失敗、USBで2台のPCを繋ぐというのがどうしても成功しない。もっとも、過去のメールを置いていても仕方あるまい。

 昨日、眞のマスター来店。ポートエレンとアードベッグを飲まれたが、ポートエレンははじめてとか、正直な方である。アードベッグがボトラーに樽の販売を止めてから随分になる。その代わり、オフィシャルのシングルカスクを頒しているが、値は20万円以上である。1993年蒸溜の21年ものマキロップチョイスが6万円ほど、蒸留所に任せるとサントリーと同じことになる。
 それにしてもオフィシャルボトルは拙い。蒸留所のブレンダーの好みとあれば仕方ないが、すべてに於いて香味が重い。GMのスピリット・スコットランドは9本ぐらい頒されているが、その内の3樽はシェリーカスク、抑制が効いていて絶品である。
 眞の店舗は西明石の駅からちょっと離れている。今度西明石か明石へ引っ越すそうな。できれば明石へ転居していただきたいと願っている。ウイスキーのはなしができる友にもっとも相応しいのが眞野公一さんなのである。

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