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2009年03月 アーカイブ


2009年03月31日

老人ぼけ  | 一考   

 渋谷は何度いってもいやな街である。ひといきれに圧倒される。五分もしないうちに気分が悪くなる。人とひととのあいだには然るべき距離が必要である。それが分かっていて出掛ける。山本六三さんの展覧会へ行くのである。渋谷でロクさんの画を観なくても、記憶に深く刻まれているはずである。御影のアトリエから南茨木を経て西神のアトリエまで、機会があるごとに彼の作品を覧てきた。にもかかわらず、どうして行くのだろうか。
 ひとを避けつつ歩いていて迷ってしまう。渋谷と銀座はいつきても迷う、わたしにとっては迷路のような街である。南画廊、南天子、椿、青木、養清堂、番町、シロタ、ガレリア・グラフィカ等々、昔はすっと行けたのに今は迷う。先日はスパンアートギャラリーですら分からなくなってしまった。
 かつては自転車で東京の街を走り回っていた、それが今では決まった途を単車で決まったように走るのが精一杯なのである。赤坂以外の街へ行くときは、赤坂の駐輪場へいつものように単車を放り込んでから地下鉄で出掛ける。それですら乗り換えが必要なときなど、切符の買い方が分からなくなる、どの電車に乗ればよいのかが分からなくなる。揚句、喉が渇いて上気し、咳き込み、落ち着きがなくなる。心臓は早鐘になって手足が震え出し、どうしてよいのか分からなくなる。ひとりではなにも出来なくなる性分なのかもしれない。それとも、単純な老人ぼけなのか。思うに、この種のぼけがはじまったのは平成元年に車の免許証を取得してからではあるまいか。車はひとを気儘にさせる。好きなときに煙草を喫み、好きなときに飲料が飲まれる。四輪だと外気の流入、温度調整も自由である。要は生理状態を好きに保つことが可能なのである。
 ロクさんについて書こうと思いつつ、はなしは脱線する。2003年07月14日の掲示板1.0に「新掲示板に託けて」と題して書いた、しばらくは書くこともあるまい。会場で山本六三展覧会のカタログが売られていた。注文しようかと思いつつ、彼が逝ったのが2001年、その時のロクさんの歳を越えてしまったことに気付いた。いまさら物欲を満足させたところでなんとする、というロクさんの澄んだ声が聞こえた。


2009年03月30日

二次電池  | 一考   

 現行のハイブリッド車はニッケル水素電池を使っている。一方、電動アシスト自転車はリチウムイオン電池を使っている。重量面と容量面でリチウムイオンの方が有利で、車体全体の軽量化、充電一回あたりの走行距離が優れている。ただ自転車に使われているリチウムイオン電池で車を走らせるとなるとさらに高性能なものが四、五十連装は必要になる。ひとつ二万円として八十万円、それが二年しか持たないのである。
 年内にベンツとBMWもハイブリッド車を出すが、こちらは燃費が一割ほど改善されるだけでトヨタやホンダのそれと比して形だけのハイブリッドである。トヨタは三千人のスタッフを電池開発事業へ注ぎ込んでいる。ハイブリッド車が諠譟されて三十年、二次電池の革命は何時のことやら。リチウムイオンポリマーやカルシウムイオンをはじめ、電極材料としてマグネシウムやナトリウムを使うアイデアもあるらしい。前述のサプリメントを思わせるから不思議である。


バイオリズム  | 一考   

 ひところバイオリズムというのが流行った。飲み屋の店主のあいだでは今もよく用いられる。例えば先々週の木曜日は店は満席だった。ですぺらに限らず二階のお店も一杯だったらしい。ところが先週は月曜日から金曜日までひっくるめて客はわずかに一人である。これには生物リズムが深くかかわっているとみなは云う。
 先々週が忙しかったので先週の月曜日に肴を数種拵えた。結果として無駄になったが、そういうこともあろうかと自分の好物しか作っていない。わたしの酒量がちょいと増えただけなのである。
 その月曜日にカレーを大量に作った、土曜日の分まである。要するに、一週間の料理から解放されたのである。先々週は肉じゃが、今週は山菜丼、来週はシチューの予定である。ひとりだとメニューは週単位で変わる。なんだ肉ばかりじゃないかと云われそうだが、カレーには人参、馬鈴薯、マッシュルームが肉以上に入っている。どうして肉じゃがなのかと云えば、糸蒟蒻が一キロの袋で九十円だったからである。同じ日に山菜の一キロ袋を百円で購入している。メニューを決めて買い物に行くのでなく、行った先で安価なものを組み合わせて料理を作る。何々を食したいとの意見は持たない。よほどの懐石かコース料理でない限り、食に期待するところはなにもない。カレーにしたところで、半額のマッシュルームと半額のカレー用牛肉(グラム五十円)が偶然手に入ったからに他ならない。
 さてバイオリズムである。東回りより西回りの旅行のほうが時差ぼけから早く回復する。生活のリズムは速めるより遅らせるほうが容易だからである。そのようなことよりも、老いと酔いを自由継続性リズムと同調因子とに別ける方が分かりよい。ズレやブレ自体、生体が内包するリズムのひとつであって、規制のみならず、狂わせるのもバイオリズムの役目とわたしは心得ている。いつぞやの木曜日を一糸乱れぬとまでは云わない、連休前であってすべては偶然のなせる業なのである。ただ、狂いもせずによく生きているなあと日々感心している。

 土曜日はモルト会だった。大浦さんからディー・エイチ・シーの「カルシウム・マグネシウム」の百八十錠入りを頂戴した。昨今流行りのサプリメントなのだが、すこぶる有り難い。彼は背筋がつるので悲鳴をあげたらしい。指先の予防には芍薬甘草湯よりもこちらの方が効きそうである。


2009年03月27日

高級品  | 一考   

 アードベッグ30年をはじめて扱ったのはジャパンインポートで、頒価は21,105円だった。同じくラフロイグ30年の最初の値は57,750円だった。後者は記載されていないが、ヴィンテージによっては30,000円まで下がっている。逆にアードベッグ30年は十万円を軽く超えている。ちなみに、ですぺらのラフロイグ30年(初年度ヴィンテージ)は無事に売り切れた。
 今回高級品が数点入荷する。

 ブラックラフロイグ第二弾 81年蒸留 27年もの オロロソシェリー・カスク 56.6度 736本 100,000円(税込み)ボトリングは2008年

 ラフロイグ25年 ファーストフィルのバーボン&オロロソシェリー カスク・ストレングス 国内110本限定販売 東京地区40本 参考価格60,000円 ボトリングは2008年

 ホワイトボウモア 64年蒸留 43年もの バーボン・カスク カスク・ストレングス(43度)6樽732本 国内90本限定販売 東京地区41本 参考価格350,000円

 ボウモア 92年蒸留 16年もの ワイン・カスク カスク・ストレングス 国内2,340本限定販売 参考価格12,000円 バーボン、シェリー、ポートと続いたシリーズ第四弾(ボウモア・ダスクが平行もので出回っている)

 山崎1984 25年もの ミズナラ・カスク 48度 参考価格100,000円

 ブラックラフロイグは五月中旬だが、他はサントリーの扱いで四月二十一日、山崎のみ三月発売。これでも為替の好転によりリーズナブルになっているらしい。ですぺらでの購入はどれですかって、企業秘密ですよ。当然、試飲会には参加しますが。


ですぺらモルト会解説  | 一考   

01 ストラスミル '88(ダグラス・レイン)
 オールド・モルト・カスクの一本。11年もの、50度のプリファード・ストレングス。420本のリミテッド・エディション。
 ストラスミル蒸留所の創業は1891年、キースの町の製粉工場を蒸留所に改築。当初はグレンアイラ・グレンリベットと名乗る。ちなみにグレンキース蒸留所も製粉工場の跡地に建てられた。J&Bやダンヒル・オールドマスターのメインモルト。ブレンデッド用の原酒を造るための蒸留所で、オーナーは現ディアジオ社。シングルモルトの販売は1993年から。

02 ストラスミル '85(ウイルソン&モーガン)
 バレル・セレクションの一本、10年もの、46度。
 キース地区特有の熟した果実の香りと長く続くスパイシーなフィニッシュ。丁字を思わせる芳香、爽やかな苦みが特徴。

03 ストラスミル12年(ユナイテッド・ディスティラーズ)※
 花と動物シリーズの一本にして、43度のディスティラリー・ボトル。
 2002年初頭より頒布されたニュー・ボトル。同時頒布は本品の他、オスロスク、グレン・エルギン、グレン・スペイの4種。
 わが邦での評価は低いが、キース地区の卓越したモルト。インデペンデント・ボトラーのボトルは本品と比してより薫り高く、ラスト・ノートで優る。

04 ストラスミル '85(シグナトリー)
 オーク樽による12年もの、43度、限定503本のシングル・カスク。
 ゴードン&マクファイル社、ウイルソン&モーガン社、シグナトリー社から数種の加水タイプのボトル、またダグラス・レイン社、ダンカン・テイラー社、イアン・マキロップ社、マッカーサー社、シグナトリー社からは数種のカスク・ストレングスが頒布されている。特にシグナトリー社がボトリングした、74年蒸留の25年もの、77年蒸留の27年ものは傑出している。 

05 タリバーディン10年※
 40度の旧ディスティラリー・ボトル。
 スコッツ・グレイの核をなす原酒モルト。酒質はモルティなライトボディ。フルーティーな香りと麦芽の風味、甘く切れ上がるソフトなフィニッシュ。
 現在のディスティラリー・ボトルはヴィンテージ表記になり、エイジング表記は消えた。また、ヴィンテージによって用いるカスクの種類も異なる。

06 タリバーディン '94(ゴードン&マクファイル)
 コニッサーズ・チョイスの一本。リフィール・シェリー・ホグスヘッドの10年もの、46度。
 蒸留所は1949年、ビール醸造所の跡地に設立。1994年から操業が停止されていたが、2003年に四人のプライベートメンバーが蒸留所と保有する樽を買収し再開、2004年新生タリバーディンがリリースされた。
 蒸留所が在るハイランド地方の南端ブラックフォード周辺ははミネラル・ウォーター「ハイランド・スプリングス」の産地として識られる。同じダニー川の水を仕込水に用いている。ハイランドモルトでありながら、ローランドを思わせるようなスムースで柔らかい個性。

07 タリバーディン '89(ロンバード)
 ジュエル・オブ・スコットランドの一本。13年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。
 フルーティーな味わいで、南ハイランドを代表するウィスキー。
 ロンバード社のメインとなるシリーズで、すべてがシングル・カスク。冷却濾過やカラーリングを行わず、46度からカスク・ストレングスまで幅広くボトリング。2回目の頒布はブローラ、ロッホサイドと本品の3点。

08 フェッターケアン12年※
 40度のディスティラリー・ボトル。
 2002年10月の発売。ブランドと蒸留所名が統一され、熟成年数が10年から12年に、アルコール度数が43度から40度に下げらた。当初は1・ボトルによる頒布。
 旧ボトルと比して確実にまろやか、唇に触れた時のえも言われぬ甘味。

09 オールド・フェッターケアン10年※
 43度の旧ディスティラリー・ボトル。
 蒸留所名はフェッターケアン。オールド・フェッターケアンはディスティラリー・ボトルのブランド。ホワイト&マッカイの原酒モルトのひとつ。
 芳ばしいヘーゼルナッツや胡桃の風味、甘辛のバランスにすぐれたユニークな食前酒。スムースでシルキー、清爽なフィニッシュ。ミディアム・タイプ。

10 オールド・フェッターケアン '92(ジェームズ・マッカーサー)
 オールド・マスターズの一本。10年もの、60.5度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。
 ボトラーではキングスバリー社とマッカーサー社のカスク・ストレングスの他、パシフィック・カレドニアンから6年ものカスク・ストレングスが頒されている。かつてシグナトリー社から80年蒸留のヴィンテージものがボトリングされたが、キンダル社のボトルと共に特筆大書すべき逸品。

11 オールド・フェッターケアン '91(ダグラス・レイン)
 04年のボトリング。オールド・モルト・カスクの一本。13年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。289本のシングル・カスク。
 蒸留所の創業は1824年、当初ネザーミルと名付けられる。閉鎖蒸留所が多い東ハイランドで生産を続けている数少ない蒸留所のひとつ。フェッターケアンは熟成庫の広さと保管する樽の量が多いことで識られる。

12 オールド・フェッターケアン26年(スティルマンズ・ドラム)※
 リミテッド・エディションであるスティルマンズ・ドラムの一本。45度。
 旧オーナーのジム・ビーム・ブランドからスティルマンズ・ドラムの一本として26年ものと30年ものが頒布されている。さらに、現オーナーのキンダル・インターナショナル社からシングルカスク・セレクションと銘打って72年、73年蒸留のカスク・ストレングスが頒布された。

00 ストラスミル '92(ジェームズ・マッカーサー)
 03年のボトリング。オールド・マスターズの一本。11年もの、64.2度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。


ストラスミル見付ける  | 一考   

 明日のモルト会で用いるフェッターケアンのスティルマンズ・ドラムは田中屋で購入したが、記憶に間違いがなければ杉本酒販で買ったものと同じヴィンテージだったと思う。だとすれば、1999年のボトリングである。西明石店閉店の間際だったと思う。
 オールド・マスターズのストラスミルを購入した記憶があって、昨夜拙宅を探し回った。92年蒸留の11年もので扱いはスコッチモルトセールス。ユナイテッド・ディスティラーズのボトルからは想像もできない逸品で、シグナトリー社がダンピーボトルで頒した74年蒸留の25年ものの次に旨かった。そのストラスミルが見付かったのでモルト会へ追加する。従って、会費は八百円ほど上がるが、ご満足いただけると思う。解説は蒸留所の部分を端折って掲載する。


喫煙病はとりとめなく  | 一考   

 近所の煙草屋と先日書いたのは赤坂のプラセール(http://www.placer-tabaco.com/)である。同じキューバの黒たばこ系シガレット「ロメオ Y ジュリエッタ」より「コイーバ・シガレット」の方が美味いと云ったところ、今日はナットシャーマンの試供品を頂戴した。
 前述のもの以外の紙巻きシガレットだと、キングエドワード アメリカ、アルカポネ ドイツ、ブラックストーン アメリカ、ミュリエルスイート アメリカ、サンタフェ アメリカ、マトリックス ハンガリー、シルクロード オーストリア、キース オーストリア、キャプテンブラック アメリカ、ボルクムリーフ アメリカ、ランバージャック オーストリア、ブラックバニラ ドイツ等々がある。パイプ煙草を用いたアークロイヤル ウルグアイも入れておかなければならない。
 甘草、カリンエキス、ミントが配合され、キャラメルクリームの味わいを持つシルクロードは新発売だが、大略は明石に居た折に味わっている。掲示板1.0で「神戸の元町一丁目に杉本酒販というモルト・ウィスキーと葉巻煙草の専門店がある。最初はオールド・フェッターケアンとタリバーディンのスティルマンズ・ドラムで知り合ったのだが、話し込むにつれ、葉巻のとんでもないプロだと分かった。かなわないひとには逆らわない、黙って教えを請うのが一番である」と書いた。
 先般、母の葬儀で神戸へ行った折、元町で一日を過ごした。記憶の整理に立ち寄ったのだが、新たな記憶も生じた。殺人などというあらぬ嫌疑を某大学の名誉教授からかけられ、二度と足を踏み入れることはあるまいと思っていた海文堂を訪ねた。かつての仲間、後藤さんがいらっしゃると聞いたからである。掲示板1.0で季村敏夫さん編輯の瓦版なまずについて触れた箇所で、「なまずは元町の海文堂に置いてあるそうです。海事の担当者が昔私と一緒に仕事(コーベブックスか)をしていたそうですが、お名前はじめ詳細は分かりません」と書いた。それが後藤さんだった。秋山さんの死をはじめ、コーベブックスで働いていた方々のその後について一時間ほど話し込んだ。私もそうなのだが、手に職を持たぬ売り子の末路は切ない。後藤さんのはなしを聞いていて暗澹たる思いにとらわれた。
 杉本酒販は煙草はともかく、酒に関しては月並な商品構成になっていた。売れないのが理由であろうか。黒木書店、俳文堂趾で手を合わせ、心持ちはいよいよ暗く、せっかく元町まで来ながらなにひとつ食さずに葬儀場のある神戸電鉄へと歩を進めた。


2009年03月25日

ですぺらモルト会  | 一考   

3月28日(土曜日)の19時から新装開店後、十五度目のですぺらモルト会を催します。
会費は8400円。
ウィスキーのメニューは以下のごとし。詳しい解説は当日お渡しします。
今回はハイランドからタリバーディンとフェッターケアン、スペイサイドからストラスミルの三点です。ストラスミルはキース地区を代表するモルトで、ストラスアイラやグレンキースと屡々比較されます。飲み口は最もすっきりしているのですが、ですぺらモルト会には初見参です。
タリバーディンは南ハイランドを代表するウィスキー。フェッターケアンは東ハイランドを代表するウィスキーでノックドゥーと共にナッティーな香味が強い。要するに収まりきらないモルト・ウィスキーを掻き集めたということ。

ですぺらモルト会(ストラスミルとフェッターケアンを飲む)

01 ストラスミル '88(ダグラス・レイン)
 オールド・モルト・カスクの一本。11年もの、50度のプリファード・ストレングス。420本のリミテッド・エディション。
02 ストラスミル '85(ウイルソン&モーガン)
 バレル・セレクションの一本、10年もの、46度。
03 ストラスミル12年(ユナイテッド・ディスティラーズ)※
 花と動物シリーズの一本にして、43度のディスティラリー・ボトル。
04 ストラスミル '85(シグナトリー)
 オーク樽による12年もの、43度、限定503本のシングル・カスク。
05 タリバーディン10年※
 40度のディスティラリー・ボトル。
06 タリバーディン '94(ゴードン&マクファイル)
 コニッサーズ・チョイスの一本。リフィール・シェリー・ホグスヘッドの10年もの、46度。
07 タリバーディン '89(ロンバード)
 ジュエル・オブ・スコットランドの一本。13年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。
08 フェッターケアン12年※
 40度のディスティラリー・ボトル。
09 オールド・フェッターケアン10年※
 43度の旧ディスティラリー・ボトル。
10 オールド・フェッターケアン '92(ジェームズ・マッカーサー)
 オールド・マスターズの一本。10年もの、60.5度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。
11 オールド・フェッターケアン '91(ダグラス・レイン)
 オールド・モルト・カスクの一本。13年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。289本のシングル・カスク。
12 オールド・フェッターケアン26年(スティルマンズ・ドラム)※
 リミテッド・エディションであるスティルマンズ・ドラムの一本。45度。

ですぺら
東京都港区赤坂3-9-15 第2クワムラビル3F
03-3584-4566


2009年03月24日

効かぬ芍薬甘草湯  | 一考   

 ゴアテックスのジャケットはまだ着用しているが、三月十六日に単車の防寒具を外した。駐輪場でハンドルカバーをつけているのは私のみ、どうやらオートバイとは痩せ我慢をして乗るものらしい。ところが、今日再びハンドルカバーを装けた。昨夜左手の人差し指と中指が絡まってクラッチレバーが握られなくなった。要するに指がつったのである。
 このところ、頻繁に指がつる。今日も池袋で右手が、講談社の前で左手の中指がつってやむなく停車。エンジンで暖をとりながら十分ほどマッサージをした。このようなこともあろうかと、芍薬甘草湯は常に持ち歩いている。しかし効能の方はさっぱりである。腓返りの痛みには効くが、指先の予防には役立たない。血液検査でこちらの異常は指摘されなかったのだが、再検査の必要がありそうである。もっとも、握力が落ちている理由は運動不足の初期症状以外のなにものでもない。単車に半分、あとの半分は自転車に乗れということか。
 来月は久しぶりに自転車を組み立てようかと思っている。


2009年03月23日

スプリングバンク10年  | 一考   

 スプリングバンク10年ものが長く売り切れていたので買ってきた。登場は2000年春だったが、たしか2002年夏頃にボトルが変わったと記憶する。縦縞の赤っぽいラベルから黒いラベルに変更された。前回はシェリー香と甘味は抑えられ、替わりに僅かな塩味。C.Vにより近い味わい。スプリングバンク蒸留所はアイラ産のピートを用いる。その特質が活かされたディスティラリー・ボトルだった。黒いラベルは味見をしていないが、バーボン・カスクなのでおそらく香味は変わるまい。
 在庫ではロンバード社のボトルがもっとも安価だが、こちらはもっともブリニーなスプリングバンクである。比してディスティラリー・ボトルの10年ものの方が美味いに違いない。売価は900円。松友さんに迷惑を掛けていたので、これで一安心である。
 先日、ちょっと余裕ができたので他にも五、六本仕入れてきた。整理がつき次第、棚へ陳べる。


2009年03月18日

感謝  | 一考   

 puhipuhiさんのいう救難信号を発信してからstewardさんが連日来店なさっている。来ていただけるだけでもありがたいのに、二十日は通常営業にしようと仰有ってくださる。四、五人参集してくださるようである。忝なき御心、たぐひなきを頼みに思いおる次第。
 春分の日は久しぶりにお好み焼きを用意しようかと算段している。


2009年03月16日

第30回 ナベサン文学散歩の会  | 一考   

春の武蔵野を歩く

日時 3月22日(日曜日) 午後2時半
場所 JR中央線国分寺駅集合(改札1つ)
引率 芳賀啓(携帯080-6554-3805)
   20日までに出欠をお知らせください。(世話人渡辺ナオ)

註)1.今回の集合時は30分遅らせて2時半です
  2.今回もまた「銭湯付」ですので、入る方はタオルをご持参ください
  3.テキストを添付していますので、
参加者は事前に「予習」してきてください

コース JR中央線国分寺駅→北口→日立中央研究所南(野川源流:大岡昇平『武
蔵野夫人』)→伝村上春樹夫妻旧居跡→姿見の池→西国分寺駅→古代官道(東山
道武蔵路)跡→JR中央線西国分寺駅→国分寺駅→南口→旧国分寺書店(椎名誠
『さらば国分寺書店のおばば』)→鳥八(三億円事件秘密捜査本部跡)→都立殿
ヶ谷戸庭園→ほんやら洞(中山ラビの店)→ピーター・キャット(村上春樹夫妻
店)跡→殿ヶ谷戸→もみじ橋→もみじ橋遊歩道→イグネ脇→野菜無人直売所→
東元町→タンポポ・ハウス(藤森照信邸)→桃の湯→国分寺駅

之 潮(コレジオ)
185-0021東京都国分寺市南町2-18-3-505
URL http://www.collegio.jp
e-mail: info@collegio.jp

上記の連絡先は端折りました。参加なさる方はナベサン(03-3208-0627)へ直接電話してください。添付テキストが必要な方は一考(080-3219-6221)もしくはですぺら(03-3584-4566)へどうぞ。


ふたつの展覧会  | 一考   

 日曜日にエコール・ド・シモン人形展へ行く。場所は新宿三丁目の紀伊國屋画廊だが、単車で出掛けたので四谷シモンさんと酒を飲むのはかなわなかった。名前は伏せるが、結構な人形が二体出品されていた。視線が定まらず、暗い宙を舞う眼差しにわたしは魅せられる。人形展は二十四日まで、休日が二日挿まれているので、お出かけあれ。
 先日書いた忘れ物はシモンさんにお預けしたのでよろしく。

 山本六三展は三月二十四日から三十一日まで。渋谷道玄坂の文化村ギャラリーで催される。今回はタブローも販売されるようである。案内状はですぺらに置いている。彼については掲示板1.0で幾度となく触れているので繰り返さない。おそらく最後の機会ではないかと思う、鑑賞していただきたい。


2009年03月14日

山本六三展  | 一考   

 三月二十四日から渋谷の東急文化村で山本六三展が催される。もっかスパンアートギャラリーから案内状を送っていただいている。詳細が判り次第、ご案内申し上げる。


2009年03月13日

危機的状況  | 一考   

 拠んどころない事情があって、今月のですぺらは危機的状況にある。お誘いあわせのうえ、ご来店賜わりますようお願い致します。


モルト・ウィスキーと為替  | 一考   

 インポーターから日々十通を超えるメールが入るようになった。これをどのように解釈すればよいのだろう。取引が活発になったのなら慶賀なことである。しかし、そうとは思われない。売れ行きが鈍く、扱いが多品種少量にならざるを得ないのであろうか。近しい友に聞いてみると、高級品はさっぱり売れなくなったという。
 インポーターの多くは半年契約もしくは通年契約をしている。契約期間が長ければ一ポンド二百五十円が二百三十円になる、といった類いである。まさか為替が百三十円にまで変動するとは誰も思っていなかったに違いない。先日も書いたが、ゴードン&マクファイルのボトルが二十一年もので三千九百円にまで下がったが、これなどはほんのごく一部で、大方はまだ下がらない。その理由はインポーターの在庫にある。去年の春から夏にかけてモルト・ウィスキーの値が暴騰した、ダグラス・レインのブローラが八万円の類いである。その暴騰期に購入したボトルが売れずに残っている。在庫が捌けるまでは、現在の為替相場で入荷してもおいそれと下げられないのである。
 為替相場だが、現況はあと二年はつづく。続くというより、欧州の金融はこれから第二幕を迎える。ポンドもユーロもさらに下がるとわたしは思っている。暫くは我慢比べだが、おそらく五月になれば雪崩を打って安価なボトルが出回るのでないだろうか。十年ほど前のように八百円位で飲まれるモルト・ウィスキーが増えてほしいと願っている。

 ポート・エレンの値が下がっている。八十年代の生産量がよほど多かったのか、ファイナル・ヴィンテージがいくらでも出てくる。ひところ三万五千円の値が付いていたが、一万五千円にまで下がった。逆に、コールバーン、コンヴァルモア、バンフ、グレンユーリー・ロイヤル、グレンロッキー、グレンアギー等、八十年代に閉鎖された蒸留所のモルト・ウィスキーが高騰著しい。
 ところで、ボトラーものならシルバーシールなど、ディスティラリーものならマッカランやボウモアの高級品、ヴィンテージものに贋ボトルが出回っている。ヤフオクでも大阪、京都の出品者で指名手配された輩が複数いる。いずれも中味はブレンド・ウィスキーだが、ラベルはカラーコピー、コルクが新しいので注意すればそれと気付く。以上はイタリアのコレクターの談だが、オークションは要注意だそうである。

追記
 早速クレームが付けられたので一言。多くの業者がオークションに出品なさっている、それら出自の明白なボトルに問題はない。要注意と書いたのは個人の出品に限られる、それもごく一部が問題なのである。


忘れもの  | 一考   

 昨日はエコール・ド・シモン人形展の初日、如月さんが九名でですぺらへ見えられた。帰られたあと、黒いコートの忘れ物があった。ポケットにマンションのキーが入っている。さぞお困りだろうと思う。店主のわたしが悪いのだが、カウンターの端に置かれていたため、閉店まで気付かなかった。ご連絡をお待ちする。


2009年03月11日

「嗜み」三号  | 一考   

 某出版社からモルト・ウィスキーの本を造りたいとのはなしが先週舞い込んだ。この手のはなしはうんざりである。企画がないがゆえの点数稼ぎであって、著者一任の原稿依頼なんぞ真っ平である。下らない専門書とやらが巷に濫れている、屋下に屋を架すとはこのことである。
 モルト・ウィスキーに関する書物は千編一律で何の変化も見られない。蒸留所の概略とたたずまい、ボトラーの歴史、ボトルの写真と香味。香味はapple、citrus、floral、dried fruits、oily、malty、vanilla、woody、spicy、peatyに1から5までの段階を設けて数値によって表出される。先行するマイケル・ジャクソンの著書に倣えで、レイアウトまでが機械的な流し込みでよしとされ、ことごとくがフォーマリズムで片付けられる。要するにウィスキーの物語がどこにもない。
 随分と前のはなしになるが、上京した折、書肆山田の大泉女史からウィスキーの解説が詰らないといわれた。香味は描けば物語になる。その物語を詳述する乃至は拵えないことにはウィスキーを書き表したことにならない、との仰せだった。わたしは元編輯者ゆえ、蒸留所やボトラーの型録を拵えるのは得意である。逆に云えばそれしかできない。解説を書くことはできても物語はわたしには創られない。思うに、世に在る書物とはその大半が解説書ではなかろうか。モルト・ウィスキーにまつわる物語など、未だに存在しないのではあるまいか。
 そうしたなかにあって唯一気を吐いているのが佐々木幹郎さんである。かつてサントリーのPR誌で彼のモルト・ウィスキーに対する頌詩を読んだ。そして「嗜み」での試みはモルト・ウィスキーにまつわる物語の探求である。前回は目白の田中屋を、今回はインポーターのエイコーンを取上げている。エイコーンの蔦清志さんとはスリーリバーズの大熊慎也さんと共に、かつて料理王国誌上で鼎談した。今回は幹郎さんの筆になるものだが、おそらくエイコーンが取材の対象になったのははじめてでないだろうか。「人形記」同様、幹郎さんの柔軟さとアプローチの多様さに驚かされる。なにを持って多様とするかは「人形記」の方で書く。
 幹郎さんのエッセイを読んでいて、久しぶりに本を造りたくなった。モルト・ウィスキーに物語があるなら書物にも物語がある。そして中味も外装も既存の書物のイメージを覆すところから物語ははじまる。幹郎さんのエッセイに相応しい書物とはどのような書物なのか、それを考えてみたくなったのである。


2009年03月04日

ル・グラン・ヴェフール  | 一考   

 佐々木幹郎さんの「人形記 日本人の遠い夢」について書こうと思いつつ、このところ書かれないでいる。淡交社から定価2800円で上梓されている。大西成明さんの写真が多数刷入された美書であって、類書はない。なぜに類書がないかということをそのうち書こうと思う。取り敢えず、案内のみにて失礼する。

 「ギイ・マルタンの芸術」がですぺらへ入ったが、料理もさることながら、書物自体が芸術品である。ル・グラン・ヴェフールのテーブルクロスが表装に用いられ、クリストフルのユニが添えられている。中扉にはそれぞれ六十三種類の型抜きが施され、かつての湯川本を髣髴させる。マルタンさんが齋藤芳弘さんの本づくりに魅入られた理由がよく分かる。幹郎さんにも覧ていただきたい書物である。その理由はここでは書かない。
 久しぶりの話し合いで、誤解は氷解した。それにしてもわたしの頭のなかはヒロユキさんのことで一杯だった。彼には最低三年の修行を命じたが、その間にフランス語を学んでいただきたい。ル・グラン・ヴェフールで包丁を持たせるのがわたしの夢である。


2009年03月02日

新宿行  | 一考   

 四月の十四日までひとりの生活になるようである。居なくなるひとは自宅周辺の桜の様子を写真で送れという。携帯メールの写真の送り方なんぞわたしには興味がない。
 近隣の桜は一種類だが、駐車場から店までの途次にはいろんな桜が咲く。歩いて十五分ほどの道程なのだが、結構気に入っている。突き当たりに東京タワーがあって左は清水谷公園、右側にはホテルニューオータニがあって、ブルガリ、アルマーニ、ヴェルサーチ、パルジレリ、フェラガモ、ヴァレンティノ等々、わたしとはおよそ縁のない店舗が軒を並べている。桜が咲かなければ外国へでも旅した雰囲気に浸れる。
 駐車場を利用するのは雨降りに限られるので、この路を歩くときは女ものの傘を差す。せめてもの気取りである。店舗は閉まっているが、ショーケースには明かりが点いている。「おまえがヴェルサーチか、おれはユニクロだ、文句あっか」つぶやきながらマヌカンと睨めっこする。フェンシングよろしく傘を振り回していて二度ほど職務質問を受けた。実体な警官はわたしを酔っぱらいと見定めたのであろうが、わたしがそんなことをするときは素面に決まっている。酔っ払っていれば寂しさから見境なく抱きしめる、おそらく這いつくばってガラス越しにマヌカンと愛を語らうに違いない。
 土曜日はちはらさんのおかげで気持ちよく酔っ払った。しばらくは足がないので、新宿へは行かれなくなる。それを見越しての新宿行だった。感謝している。

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