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2012年05月19日

加藤郁乎さん逝去一考  

 十七日夕、加藤郁乎さん逝去との報が増田さんからもたらされた。
 葬儀にわたしは欠席、非礼を深くお詫びする。

2012年05月12日

一考  

 前々回8.4だったリンが前回は7.7、今回は6.8にまで下がった。あとひと息で元に戻りそうである。
 いつも書いているが、牛乳、チーズ、バター、ギー、ヨーグルト、ヤクルト、クリーム、アイスクリーム、それにケーキの類い等々、乳製品がリンの過度な摂取の理由になる。乳製品はアレルギー、消化不良、肥満、ガン、心臓病、感染症、骨粗鬆症などを引き起こす。謂わば悪魔の商品である。
 骨粗鬆症は骨からカルシウムが流れ出ることで起きるもので、カルシウムの摂取量と直接の関係はない。大人になってもカルシウムを摂れば骨が丈夫になると多くのひとは信じている。骨量の増加が止まつてしまった成人がカルシウムをいくら摂ったところで効果は期待できない。カルシウムが必要なのは幼児ならびに子供だけだが、それとて野莱に含まれるカルシウムのほうがずっと豊富で、健康的かつ吸収がよい。
 アメリカ乳牛の乳量は野生のそれの10倍という途方もない量である。そうした牛乳が乳癌の原因のひとつになるとされている。日本の乳牛はアメリカのようにウシ成長ホルモン剤(BGH)や抗生物質の大量投与と縁がないのでまだ安心だが。
 徒し事は扠置き、血中リンが高いと背中が痒い。ぼりぼりと掻きむしっている。

2012年05月09日

バディントンズ・パブエール一考  

 保存していたバディントンズ・ドラフトビールを飲んだ。購入したのは17年前、95年の大震災の後である。当時は大阪の重松貿易が輸入代理店で、アルミ罐に貼られたフィルムは日本語で印刷されている。

 ビール醸造250年の歴史と伝統を誇る英国ウィットブレッド社の代表的銘柄。「クリームオブマンチェスター」とも呼ばれるこのビールは、まさにクリームのような繊細な泡立ちを持ち、豊かなホップの香り、深いコク、そして心地よい苦みとほのかな甘味との完全な調和により、素晴しい味わいを実現、今や、英国内のビールファンのみならず、世界中のビール通により絶賛されています。

との文言が印刷されている。文章の陳腐さはともかく、バディントンズが輸入されていたのは有り難かった。前年には小西酒造によって白耳義のヒューガルデン白生の輸入がはじめられている。詳しくは08年12月05日に書き込んだ「麦酒について」をどうぞ。
 現在ではギネスのフローティング・ウィジェットとの名称が知られるが、当時はドラフトフローシステムと称し、同じ窒素ガスを使っていた。従って、17年を経ても香味にいささかの変化もない。日本のビールだとガスが抜けてこうはいかない。
 ちなみに、白いプラスチックのボール(ウィジェット)の容量は少なく、その中に窒素ガスが詰められているわけではない。気圧の変化でボールの中に閉じ込められた少量のビールが、ジェット噴流のように飛び回ってサージング(泡立て)しているのである。

http://www.kitasangyo.com/e-Academy/Gas/N2Gas-for-Beer/N2Gas-for-Beer.htm

採卵そして孵化一考  

 このところ公園へ日参していた。金魚は採卵が終わり、孵化を待っている。近々新しい命の誕生である。通常、採卵は一匹の雌に複数の雄を用いる。雄が単数だと精子がかからない卵が生じる。無精卵はすぐ腐敗して黴が生え、有精卵にも移ってゆく。それを防ぐための乱交であって、魚類のほとんどが父親不知である。
 二歳魚以上なら二、三万箇は産卵する。産卵用のビニールが4、5メートルは必要になる。ところが、こちらの公園は変わっている。30センチほどの平テープを10本ほど纏めたものを一箇である。おそらく多数の卵の中から偶然産みつけられた千もしくは二千ほどを採卵し、他は棄てるようである。
 二、三万の産卵で秋まで育てる金魚は十匹を切る。それを考えれば千、二千と云うのは極端に少ない。しかも、愕いたのはひとつの池に複数の平テープの束が置かれ、それぞれに蘭鋳、阿蘭陀獅子頭、江戸錦などと札が貼られている。随分と乱暴な採卵であり、飼育である。当歳魚がごたまぜに育てられている理由が分かったのだが、金魚は種類によって発育の速度が違う。金魚は原則平和主義者だが、あまりに大きさが異なると共食いする。
 先祖帰りの鮒の除去をはじめ、これから色変わりする夏まで撰別がつづく。金魚愛好家の正念場である。

追記
 ところで餌のミジンコやアブラムシはどう手当するのだろうか。ほうれん草パウダーを使ってミジンコを自己増殖させるのかしら。もしそうなら金魚の数倍の池が必要になるが。

今年は関西一考  

 同室の三人が入院し、ふたりが戻ってきた。一週間もしないうちにひとりが再入院し、別の患者が入院した。わたしのまわりは空きベッドが増えつづけている。みなさん心臓の弁に異常が生じている。血管の石灰化と共に、透析患者ならではの持病と云うべきか。そうして帰らない患者もいるのだが、誰もそのことを話題にしない。

 去年は無計画停電とやらで困惑させられた。今年は関西が計画停電に追い込まれそうである。電気と水がなければ透析はできない。水にしても水道水をそのまま使っているわけではない。各クリニックやサテライトでしかるべき濾過器を通している。血液を吸いだしそして体内へ戻すポンプはおろか、電気がなければ水すらままならないのである。計画的であろうがなかろうが、人工呼吸器や透析機器を用いる患者にとって停電は最大の不条理である。

2012年05月04日

太田守さん逝去一考  

 淡路の太田守さんが亡くなられた。太田かつみさんからのメールで知ったが、二箇月ほどメールを見ていなかったので遅くなった。申しわけなく思う。
 西明石のですぺらで親しくしてくださった。毎晩のように朝まで生テレビのごとく議論を繰り返した。メールには、

 ・・・太田は3月10日、土曜日淡路の陶芸館からの仕事帰り、立ち寄った店先で急な心臓発作で倒れて一時間後には帰らぬ人となりました。
 誰とも言葉を交わさぬままこの世を去りました。
 設計会社を立ち上げ西明石での仕事あとのですぺらでの時間は本当に至福の時であったように思います。
 葬儀での遺影はそのころのこれ以上の笑顔はないような、この世での幸せだった彼の写真を飾りました。

と書かれている。当時、太田さんは川崎重工の機械設計をなさっていた。彼はわたしより一箇月遅れの同年代。美食家で彼のためにさまざまな刺身を造った。縮緬山椒や生海苔もそうした内のひとつで、赤坂で造った縮緬山椒に用いた縮緬は淡路から送られしもの。ただ、彼の健啖ぶりが心臓発作の遠因になったとも考えられる。
 わたしはこのところ体重の静止に苦しめられているが、体重の増加は即心臓に負担をかける。病むことによってはじめて分かったが、体重の増加ほど怖いものはない。西明石時代、折角得た友を早くに喪ったことを無念に思う。

2012年04月26日

穿刺技術一考  

 先日、「透析穿刺技術高める」との検索語句があった。穿刺に然したる技術が必要とは思われない。穿刺の巧拙よりも痛みの深浅の方が問題だろう。巧拙は場数がものを云う。例えば、糖尿病患者の場合、血管そのものの損壊が非道く、穿刺は難儀を窮める。そのようなケースでは看護師より経験を積んだ臨床工学技士が多く穿刺に当たる。
 わたしの経験則だが、男性より女性の方が痛みが少ないように思う。その理由は力の入れ方にあると思われる。針先を立てて然るべき深さまで刺し、それからぐいと角度を変えて挿入する方法と端から力を入れず、自然に血管に沿って穿刺する二通りに分けられるようである。
 表現しにくいが「ぐい」のところに要点があって、力を加えない方式があとの止血もうまく行くようである。
 わたしの透析は一年九ヶ月だが、まだ穿刺箇所を肘下に限っているためにかなり皮膚は傷ついてきた。屡々止血で困惑させられている。それゆえ、痛みの少ない穿刺に出会うとほっとする。巧拙よりも痛みの深浅の方が気になる理由である。

2012年04月25日

問題児一考  

 三月二十九日と四月十二日は共に血圧が70まで下がった。この70と云うのは意識の分水嶺のようなもので、70を僅かでも切れば人事不省に陥る。
 このところ、祈るような思いで透析を受けている。ドライウェイトと除水のバランスが崩れたようである。先の月曜日は90で止まったが、血圧が100を切ると夥しい発汗と目眩いに襲われる。それよりも後に残るダメージが嫌なのである。
 160乃至170の血圧が透析終了時には100まで下がる。祈るようなと書いたのは100で止まってほしいとの願いである。それでなくとも、わたしの回りには空きベッドが増えてきた。三人が入院したのである。除水速度が急速な血圧低下をもたらすため、その速度を緩める。結果、四時間透析が五時間になり、やがて五時間でも手に負えなくなる。後は入院である。わたしは透析期間が短いので入院には至らないが、昨今は問題児のひとりになってしまった。

2012年04月13日

昏倒一考  

 三月二十九日以来の昏倒。このように期間が短いのははじめてである。因果関係は血圧だと思っているが、医師と看護士は目眩いが引き金になったのではないかと云う。耳鼻科での診察を勧められた。
 前回同様、完全に気を失っていないと思っているが、実体はどうなのだろう。除水は2.4リットル、確実に減っているのだが。除水分2リットルを体内へ戻したが、体重増加は500グラム、と云うことは1.5リットルの冷や汗を流したようである。十二日は深夜までダメージから抜けられなかった。いささか落ち込んでいる。

2012年04月11日

無保険一考  

 六十五歳になったので介護保険にも這入ることになった。国民健康保険と合わせて保険料は倍になった。
 わが国では国民健康保険の保険料を一年間滞納すると保険証は返納、かわりに国保被保険者資格証明書が発行される。同証明書で治療を受けると、かかった医療費はすべて自腹。後日市町村に領収書を提出すると保険給付分が返還される。一年半滞納が続けば、保険給付そのものが差し止めとなる。
 国民保険の滞納世帯数は、2001年には390万世帯(全体の17.8%)だったものが、2006年には481万世帯(全体の19%)に増えている。そして、保険を取上げられた人も2000年には10万人程度だったのが、2007年には35万人に急増している。
 わが国の国民皆保険制度と違い、アメリカでは無保険者が人口の二割弱いるとされる。つまり、5人に1人は健康保険に入っていないのである。前述したように、 わが国も高齢者に無保険者が増えている、しかも増え方が近年急増している。二割になるのも時間の問題である。

2012年04月08日

栄養士一考  

 月曜日の血液検査の結果が木曜日に出た。その評価表と体重の異変について栄養士と今日話し合った。ちなみに、わずか一日、二日のことだが急速に体重はもどりつつある。飯は150グラムを120グラムに減らした。煙草の効果は覿面である。
 禁煙を試みると体重が増えるようだと栄養士も云う。一気に禁煙したところに問題があったのでないか、意志強固なのだから少しずつ減らすべきだったのでは、と。
 移植が成功し、透析が終わってもリンとカリウムには注意が必要だが、体重の多少の増減からは解放される。

 上記評価表に基づいて日々服用する薬の内容は変わる。一日置きの透析の度に回診があって、体調の確認がある。痛み止め、風邪引き、点鼻液などさまざまな薬を処方していただく。ありがたい限りである。

2012年04月07日

玉子焼きと明石焼き一考  

 金曜日の神戸新聞に明石における玉子焼きと明石焼きについての記事が掲げられていた。意味は同じだが、もともとは玉子焼きである。従って年長者は玉子焼きだが、歳が下がれば下がるほど明石焼きが増えてくる。
 先日、男鹿の棒アナゴについて書いたが、この玉子焼きにもたこ焼きと出し巻きの二種の意味があってややこしい。関西の居酒屋における玉子焼きは出し巻きと相場が決まっているので間違うことはないが、大阪の居酒屋ならたこ焼きと玉子焼きは別物である。
 ちなみに、明石にも二種の玉子焼きが共存する店があって、註文の仕方が異なる。たこ焼きの玉子焼きは鍋を一枚、二枚と注文する。これは銅板製の玉子焼き器を鍋と云うからである。

禁煙中断一考  

 四箇月間禁煙をつづけ、そして中止した。止める気になれば何時でも止められると分かったからである。もうひとつ、体重管理に失敗したのが大きな理由である。
 このところ、管理栄養士と話し込んだ。彼女が云うには煙草は害しかもたらさないが酒は百薬の長とか。しかし透析治療のあいだは体重管理がすべてに優先する。
 禁煙をはじめるまでは除水が1リットルを超えることはなかった。それが一気に3リットルにまで増えてしまった。今日は0.2リットル減らしたが、なんとか1.5リットルにまで減らしたいと思う。
 酒は身体の痒みがひどくなるので基本的に飲まれないが、最近は350ミリの罐ビールと一杯のウィスキーなら飲む。好きな銘酒が手に這入るなら日本酒がよいのだが。いずれにせよ、わたしは酒を嗜むときはなにも食さない。酒の味が分からなくなるからである。酒と煙草は食欲を減らすにすこぶる有効である。

2012年04月01日

血圧低下と造血一考  

 土曜日は除水を2.8リットルに押さえた。にもかかわらず、透析途中で血圧が100を切った。このままでは危険である。除水は中止、連日の異常事態である。血圧を130から160ぐらいで静止できればよいのだが、こればかりは食事コントロールでどうにもならない。血圧を100で止めるために飴をしゃぶる。お得意の誤魔化し作戦である。このような綱渡りがあと五箇月続くと思うとうんざりである。

 遺伝子組み換えの造血剤エポジンを打ちはじめたのが去年の九月、最近ヘマトクリットとヘモグロビンが上昇している。先日、医師と相談したのだが、遅々たる速度だが自力で血液が造られつつあるらしい。現在の数値はヘマトクリット33.0、ヘモグロビン11.1。エポジンは四月中で中断することになった。
 このような例が多いのか少ないのか知らない。ただ、不可逆な病は気が重い、そうしたなかでの朗報である。特に血液に関係する病なので嬉しい。

2012年03月31日

失神寸前一考  

 去年の十二月十日からはじめた禁煙だが、丁度そのころから体重管理に大きな狂いが生じるようになった。先日の除水は三リットル、生れてはじめての量だったが、やはりおかしくなった。三十分を残して気分が悪くなり、その旨を看護師に伝えた。気分が悪くなったときの血圧は110だったが、100を切り、90を切り、15分後には80にまで下がった。看護師はその間、除水分を身体に戻していた。
 今回は気付くのが早く、失神にまでは至らなかったが、冷や汗で全身はびしょ濡れ。動かれないので、看護師がきれいに拭き取ってくださった。ちなみに、この冷や汗分が約一リットル。70まで落ちた血圧を90まで上げるのに一時間ほど費やした。暫く降圧剤を控えるように云われた。
 東葛クリニックでの失神騒ぎは二度目。前回は透析をはじめて間無しのころだった。それ故、看護師は症状がよく分からないので困惑する、と。気絶するひと、四肢強直、痙攣発作に襲われるひと、嘔吐を繰り返すひと等々だが、それぞれに固有の症状があって、個々に対応が異なるようである。それにしても、戸田中央のときのような衝撃がなかったのは救いだった。

2012年03月21日

身欠フグ一考  

 東京で身欠フグが解禁されるようである。わたしは活フグ専門店で十年ほど働いていたので、フグは肝を引っくるめて頻繁に食していた。
 神戸には株式会社 ナガノが経営する「ふぐ政」が昭和40年からある。身欠が専門で、通販部門はてんだいフーズと云って明石市上ノ丸にある。設立時は専ら冷凍品を扱っていたが、あまりの美味さに愕かされた。冷凍技術は19世紀末の冷凍機完成以降のことだが、凍結品を融解して常温に戻す解凍技術が発達するのは案外と近年のことである。冷凍フグに関してはふぐ政が最初と思われる。扱いが身欠なので、当然食中毒は起きない。フグの価格破壊がはじまりそうである。

追記
 回転寿司でもっとも原価がかかるのはブリだろう。活フグはキロ一万円を上下しているので到底使われない。身欠でも現状なら不可能である。博多の寿司店はフグを置いているが、回転寿司ではもう少し企業努力が必要になる。関西はフグの取扱いが厳しく、人件費が嵩み値下げは望むべくもない。しかし東京が規制を緩和し、身欠フグの扱いを自由にすれば値は下がる。数年後にはフグが回転寿司の看板になりそうである。

ユニクロ流スーパー一考  

 食中毒を惹き起こすようなユッケは困りものだが、牛丼やカレーのように値下げ可能なものはいくら下がってもよい。価格破壊のきっかけは神戸物産のデリマーケットだろうが、器に這入れば盛りに関係なく190円である。
 デリマーケットの特長は販売する商品の多くが倒産会社の工場を買収、自社生産したオリジナル商品であること。また、自前の農場を持ち、製販一体の仕組みを強化している。謂わば、スーパーのユニクロ流を押し通している。

2012年03月15日

穿刺ミス一考  

 血管の石灰化について書いたが、石灰化までゆかなくてもこのところ穿刺ミスが重なる。先週の土曜日、穿刺が浅かったのが理由で透析の最中に留置針が抜けそうになった。刺し直してことなきを得たが、傷が大きく開き、出血が止まらない。透析の場合は止血用の強力な絆創膏を用いるが、それが効かない。通常は当日の深夜に止まるのだが、止まったのは火曜日の早朝だった。出血が止まらないと風呂へも這入られない。
 また先々週は穿刺ミスで、血管を三度突き破ってしまった。この場合は静脈側のラインを変えて穿刺した。穿刺箇所が限られているので血管が大分痛んできたようである。

血管の石灰化一考  

 ダイアライザーがAPS 11SAからPES 11SEaへ変更された。手術が近づいてきたのでクレアチニンを落とすのが目的である。詳しくは分からないが、ダイアライザーの尿素クリアランスを高めるのだそうである。ちなみに、クレアチニンの術前と術後の比率を平均すると18-8から15-5にまで落ちている。間違いなく有効である。

 向かえの二人の透析が五時間に延長された。除水量が増えたわけでなく、除水速度を落としたのが理由、体力が持たないのである。横の御仁は血管の石灰化で悲鳴を上げている。注射針が太いので穿刺の際に血管に傷がつく。その傷が治るまえに次の穿刺がやってくる。それが度重なって血管はぼろぼろになる。
 血管石灰化はカルシウムとリンの化合物が血管に沈着したものと従来考えられていたが、現在ではリンが血管の細胞を骨芽細胞に変性させてゆくためと分かった。血管にカルシウムが沈着するのでなく血管そのものが能動的に骨化するのである。
 その血管の損傷と石灰化が透析における穿刺そのものを失敗させる。透析中に脱血が、もしくは返血が屡々止まる、その度に穿刺の遣り直しである。なお、穿刺の痛み止めは一時間乃至二時間前である。よって痛み止めなしでぶすぶすと針を射すことになる。
 長期透析患者にとって血管石灰化は逃れられない合併症である。透析患者の死因のトップは心不全、心筋梗塞、狭心症などの心血管疾患である。それを少しにせよ遅らせるにはリンの吸着剤しかない。炭酸カルシウム(カルタン)と塩酸セベラマー(レナジェル・フォスブロック)、炭酸ランタン(ホスレノール)の三種である。

2012年03月05日

スバルBRZ一考  

 先日、TBSのドラマを見ていて黄色のTVRのT350が出てきたのに愕いた。通常の番組で使うような車でない。鋼管チューブラーフレームにFRP製のボディ、車両重量は1187kgである。エンジンは自社開発の3.6リッター直列6気筒「Speed Six」をFRレイアウトで搭載。最高出力は350ps、トランスミッションは5速のMTのみ。サーキット走行を意識して、シート下のクッションが取り外し可能になっている。安全面では相変わらずエアバッグやABSが搭載されていないものの、サイドインパクトバーのみ追加されている。
 FRといえば、スバルからBRZが発売された。エンジンの開発はスバルが、ボディデザインはトヨタである。トランクルームはリア席を倒すとホイール4本が丁度収まるようになっている。履き替えてサーキット走行を楽しむことが可能である。自然吸気で200ps、メーターは260キロまで刻んでいる。競技用のベース車両としてRAとのカスタマイズグレードが頒されている。値は205万8000円、素晴らしいスポーツカーである。

2012年02月24日

連絡一考  

本日、久しぶりにですぺらへ参ります。

2012年02月19日

三月は不可一考  

 病院側の予定に合わせたにもかかわらず、移植手術は延長戦に入った。月に四回、毎金曜日が手術の日だが、年内はびっしり一杯、上手くゆけば八月に潜り込ませそう、とか。悠長に待っておられない、それまでに東京を離れることにする。西ノ宮の県住を申し込んだ、うまく当たるとよいのだが。東京と違って関西は物件が少なく、厳しいようである。

三大うどん一考

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 三大うどんというのがあって、五島(長崎)、稲庭(秋田)、水沢(群馬)、または讃岐(香川)を指すようである。うち、五島と稲庭は手延べなので他とは製法が異なる。同じ手延べとして、氷見(富山)と鴨方(岡山)がある。鴨方は備中うどんとも云い、生産量は日本一。
 三大云々は日本人の得意とするところだが、手延べと手打ちを一緒に語るのは失礼でないだろうか。手打ちは蕎麦切りならぬ饂飩切り(切麦)で、包丁を使うところが手延べと異なる。手延べうどんは手打ちうどんの十数倍の手間と時間を要する。かつ讃岐のように太くなく、細いにもかかわらずこしが強い。細いぶん、出汁のからみがよく、五島のアゴ、稲庭の比内地鶏などが生きてくる。

2012年02月18日

後期高齢者一考  

 六十五歳になったので、介護保険被保険者証が役所から送られてきた。愈老人の仲間入りである。わたしの場合は障害者なので、十年早く後期高齢者医療制度の被保険者となった。窓口負担は三割から一割になるが、保険料は均等割りが18600円から40300円へと値上がりする。均等割りを紹介したが、一定以上の所得がある場合は三割負担は変わらない。これらは高齢者医療費の増額に手を焼いた小泉元首相の置き土産である。
 その後期高齢者医療制度だが、六十五歳から七十四歳までは選択制になっている。現状では必要がないので申告しない。

2012年02月10日

当事者一考  

 神戸の友人Nさんは学生向けのアパートや下宿を営んでいる。震災の日、多くの店子が崩壊した建物の下敷きになって身動きできなくなった。友人は店子と声を掛け合うも重機はなく、自衛隊も来ない。店子に止まらない、あちらこちらから助けてとの声が聞こえる。彼は素手で瓦礫と闘いはじめる。間もなくほうぼうから火の手が上がり近づいてくる。「助けて」との声が「熱いよ」に変わり、やがて沈黙へと置き換えられてゆく。爪が剥がれ、手を血だらけにした友人は泣きながら彳む。
 親しくしていた印刷会社の事務員は両耳にイヤホーンをしたままの状態で押し潰された。他にもいくらでもあるが、これらは友人のことゆえ書くことができる。死者6,434名、全半壊合計249,180棟(約46万世帯)、目の前で6,434名の生活が中断され、命が絶たれた。
 神戸の震災については何度か書いた。しかし、具体的な事例は保留したままである。おそらく書くことはあるまい。上記友人にしても神戸新聞社の取材記事であって、彼自身は語ろうとしない。その気持は痛いほど分かる。ひとには触れたくないことだってある。
 今なお、運転していて不意に泣き出すことがある。震災当日の夜、長田であったことを、灘であったことを思い出すのである。震災は不条理である。書くも書かないも自由だが、わたしに不条理は書かれない。のっけから意義もなく意味もなく、筋が通らず道理が立たない。条理を尽くして絶望や暴力を描くのは可能かもしれないが、そこから生じるのは二律背反のみ。

追記
 当然のことだが、わたし個人について書いている。シニシズムの立場で首尾一貫できないのは分かっている、しかし犬儒派をわたしは信奉する。

2012年02月08日

いばら一考  

 掲示板でかつて「鱒助」について書いたことがあった。文中「横須賀さんはですぺらに残っていた「いばらの内子」を来るたびに食されていた。内子の在庫が無くなったとき、それが彼の命日であったように思う」とある。開店から横須賀さんの死まで、いばら(イバラガニモドキ)の内子を置いていた。イバラガニモドキはエゾイバラガニ(ミルクガニ)と共に深海に住むタラバガニの一種。
 既に閉鎖されたが、網走オホーツク水族館で生きたイバラガニモドキを見たことがある。深いが小さな水槽で脱皮するだけのスペースがなく、脱皮途中で甲羅が硬くなって死んでしまったと聞かされた。
 掲示板には「モルト・ウィスキーには積丹の生海胆かエゾ・アワビの肝、海螺貝、イバラ蟹の内子、牡丹海老、サロマ湖の北海シマ海老、宇登呂の鮭トバなどがよく似合う。一度、道産の海産物をごく少量取り合わせてモルト会を催したいと思っている」とも書いている。今年、北海道へ行くときは必ずや食したいと思っている。

2012年02月06日

渡り鳥一考  

 久しぶりの水元公園、雰囲気がまるで違っている。種目は分からないが、浮寝鳥が随分と増えている。小合溜はどろんとした鉛色の塊のよう、水鳥は北端にたむろして翔ぶでなく、泳ぐでもなくじっとしている。水面を窺う限り、寂しい光景である。
 昔、蘭鋳を飼っていた頃もそうだった。薄い氷の下、池の底に腹を付けて金魚は動かない。やがてくる産卵の季節を目差して体力を温存する。なにもかもが静止している。
 先日、エロ子さんから電話があって、六十五歳の誕生日だとか。そう云えば、失念していた。寒さのせいか、わたしも静止しているようである。

一考  

 粥とは炊き粥のことだが、病院では面倒なので入れ粥が出てくる。炊き粥は生米から炊き、入れ粥は米でなく飯から作る。
 通常の粥とは汁粥のことだが、全粥(米の5倍量の水で炊く)、七分粥(米の7倍量の水で炊く)、五分粥(米の10倍量の水で炊く)、三分粥(米の20倍量の水で炊く)に分かれる。
 わたしがポリープを除去した際は最初三分粥、次ぎに五分粥だった。拙宅に戻ってからも一日は粥を、次日は雑炊を食した。ところが、女房の手術の場合は粥は出ず、のっけから普通食だった。医師に確認したところ、粥である必要はどこにもないとのこと。わたしは透析食なので、普通食なるものの中身を知らないが、想像するは易い。
 粥の従兄弟とでも云うべき雑炊はおじやとも云い、スペイン語の「鍋料理」を意味するオジャ(olla)に由来する。又従兄弟にリゾットやクッパがある。韓国のクッパと日本の焼肉店のクッパには大きな違い(韓国のクッパはスープとお菜と飯がセットで供される)があって共に入れ粥だが、リゾットはその製法から云って炊き粥になる。
 余談はさておき、病院食では普通食より三分粥の方が特別食といって値が高い、どう考えても可笑しいが、栄養士の思慮と手間賃が加算されるようである。リゾットやクッパにはインスタントの素があるが、粥はオリジナルの料理であるそうな。

2012年01月30日

投げ遣りな女一考  

 研ナオコは天城湯ヶ島町の生まれ、プチャーチン提督もしくはマホフ神父の末裔でないかと種村さんとはなしたことがあった。種村さんはこの手の話題が好きで、抛っておくとはなしは突拍子もない方へ膨らんでゆく。その研ナオコもまた突拍子もない歌手で、どこかしら捨て鉢な歌唱法とハスキーな発声法が相俟って、わたしはファンのひとりである。「あばよ」「夏をあきらめて」「かもめはかもめ」の三曲は特にお気に入りである。
 シャンソンやファドの歌い手のような良い意味でのと云うことは個性を持った流行歌手だと思う。ただ、作詞家や作曲家に恵まれない、従ってカバー曲を増やせばよいのにと思う。山口百恵や中森明菜のカバーなどいかがかしら。このところ、由紀さおりのスキャットが流行っているそうだが、ならば研ナオコもお薦めである。由紀さおりより不健康なところが良い。水色のワルツや湖畔の宿なども編曲によってはちょっと爛れた曲になる。
 それにしても、露西亞海軍元帥・伯爵の血を引くだけあって、多少のことには動じない。「だから何なのよ」「勝手にすれば」との台詞が似合う助番タイプで、シャイに唇を歪めてみせる。背徳と無邪気が背中合せになった素直な悪女とでも云うべきか。歌同様、チューリッヒのダダイズムを想起させる間の抜けた顔つきには深い味わいがあリ、岩田専太郎から「百年に一人出るか出ないかの不世出の美人」と絶賛される。

2012年01月29日

ヌタウナギ一考  

 2007年差別問題に端を発し、日本魚類学会による魚名改名が続いた。アシナシゲンゲ、イザリウオ、オシザメ、セムシウナギ、バカジャコ、ミツクチゲンゲ、メクラウナギの類いである。うちメクラウナギはヌタウナギに改名された。これは言い得て妙。
 韓国ではこのヌタウナギをニンニクと炒めコチュジャンで味付けして食す。コムジャンオ・ポックンと云ってよく知られた料理である。ヌタウナギの一種、クロヌタウナギを秋田県男鹿市では棒アナゴと称して珍重する。炙り焼きで頂戴するが、何故か昔からアナゴと云えばこちらの方が一般的。寿司屋へ行けば真物のアナゴと棒アナゴの双方が置いているが、真物を註文するひとは滅多にいない。郷土料理に限らず、地元の食堂や居酒屋など、大概の店舗に棒アナゴは置いている。
 此奴、装訂材料として図抜けた属性を持つ。牛革より強度が勝り、靭やかさでは山羊革より傑れている。韓国や米国ではヌタウナギの革で作った財布などが高級品として流通。繁殖力はそれほど強くなく、食用や皮革用に集中的に漁獲すると資源が急速に枯渇するそうな。
 見落としがありそうなのでなんとも云えないが、ヌタウナギを表装に用いた書物はないと思われる。魚類では鮫革を表紙に用いた書物が戦前と戦中にあるが、鰻は見たことがない。
 わが国では食用として韓国向けに養殖している方がいらっしゃる。ぬめりを取り、細工するのが大変(革が細長いので繋げなければならず、コートだと三百匹分が必要)だろうが、湯川成一さんが使っていない、と云うことは珍にして綺なる限定本になるのだが。湯川といえども、未使用の装訂材料はある。(1月13日14時)

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