日々の支払い | 一考
血液の検査詳細情報は多少読めるようになった。しかし、診療明細書の点数の読み方はわたしには分からない。そこで直近三箇月の医療費概算額算定表を事務員に拵えていただく。外来診療料(再診)700円、免疫抑制剤等150000円、尿・血液検査等12000円、特定薬剤治療管理料4700円、合計167400円。これは平均であって、拒絶反応により投薬変更があれば金額も変化する。
167400円は毎月の維持免疫抑制療法の費用で死ぬまで継続される。この費用のみ、国保の更生医療によって2500円に引き下げられる。引き下げ料金は個々の収入によって異なる、高額医療費の減免金額の異同と同じくする。わたしのように収入の途絶えた者に課せられる最低金額が2500円なのである。ただし、更生医療の対象は維持免疫抑制療法に限られる。他の疾病は通常の三割負担になる。
サイトメガロウィルスに起因する潰瘍性腸炎の内視鏡検査、下血に用いる薬剤やステロイド剤、輸血、入院費などは維持免疫抑制療法の範疇だと思うのだが、しっかりと別途料金を請求される。維持免疫抑制は国が面倒を見るが、感染症で死ぬのは罹った者の勝手であってそこまでの面倒を国は見ない。どうしても病を癒したいと自由診療を取り入れる患者は金持ちと判断して遡って保険診療を取り消されるのである。
維持免疫抑制療法であれ、潰瘍性腸炎に用いる薬剤であれ、保険で対応しない薬剤があって、それらは自由診療となる。自由診療の免疫抑制剤、ステロイド剤の薬価は保険診療の同剤とほぼ同じ価格(150000円)である。自由診療の場合は全額、保険診療の場合は原則3割(3割で収まる筈はないが)である。
TPPのデメリットのひとつとして、遺伝子組み換えの規制緩和により食の安全が脅かされる、と云うのがある。ところが、遺伝子組み換え技術の発達に呼応する形でさまざまな抗癌剤や免疫抑制剤が誕生してきたのも事実である。とりわけ、ステロイドの人工合成品はステロイド剤と称して医薬に広く応用されている。
TPPの実体は何ひとつ顕にされていない。賛否どちらにせよ、現状では拙速かつ浅薄は逃れ得ない。従って、わたしは自身が深い関わりを持つ免疫療法に限って話している。少なくとも、免疫療法に於ける混合治療はどうあっても解禁しなければ、医療格差が際限なく広がってゆくと思われる。