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2013年07月 アーカイブ


2013年07月30日

日々の支払い  | 一考   

 血液の検査詳細情報は多少読めるようになった。しかし、診療明細書の点数の読み方はわたしには分からない。そこで直近三箇月の医療費概算額算定表を事務員に拵えていただく。外来診療料(再診)700円、免疫抑制剤等150000円、尿・血液検査等12000円、特定薬剤治療管理料4700円、合計167400円。これは平均であって、拒絶反応により投薬変更があれば金額も変化する。
 167400円は毎月の維持免疫抑制療法の費用で死ぬまで継続される。この費用のみ、国保の更生医療によって2500円に引き下げられる。引き下げ料金は個々の収入によって異なる、高額医療費の減免金額の異同と同じくする。わたしのように収入の途絶えた者に課せられる最低金額が2500円なのである。ただし、更生医療の対象は維持免疫抑制療法に限られる。他の疾病は通常の三割負担になる。
 サイトメガロウィルスに起因する潰瘍性腸炎の内視鏡検査、下血に用いる薬剤やステロイド剤、輸血、入院費などは維持免疫抑制療法の範疇だと思うのだが、しっかりと別途料金を請求される。維持免疫抑制は国が面倒を見るが、感染症で死ぬのは罹った者の勝手であってそこまでの面倒を国は見ない。どうしても病を癒したいと自由診療を取り入れる患者は金持ちと判断して遡って保険診療を取り消されるのである。
 維持免疫抑制療法であれ、潰瘍性腸炎に用いる薬剤であれ、保険で対応しない薬剤があって、それらは自由診療となる。自由診療の免疫抑制剤、ステロイド剤の薬価は保険診療の同剤とほぼ同じ価格(150000円)である。自由診療の場合は全額、保険診療の場合は原則3割(3割で収まる筈はないが)である。

 TPPのデメリットのひとつとして、遺伝子組み換えの規制緩和により食の安全が脅かされる、と云うのがある。ところが、遺伝子組み換え技術の発達に呼応する形でさまざまな抗癌剤や免疫抑制剤が誕生してきたのも事実である。とりわけ、ステロイドの人工合成品はステロイド剤と称して医薬に広く応用されている。
 TPPの実体は何ひとつ顕にされていない。賛否どちらにせよ、現状では拙速かつ浅薄は逃れ得ない。従って、わたしは自身が深い関わりを持つ免疫療法に限って話している。少なくとも、免疫療法に於ける混合治療はどうあっても解禁しなければ、医療格差が際限なく広がってゆくと思われる。


2013年07月29日

自由診療と保険診療  | 一考   

 昨夜、TBSの報道の魂「光と音を失った女子大生」の放送があった。某大学生が体中の神経に腫瘍ができる難病、神経線維腫症2型を発症、一昨年秋に聴力を、昨年春には視力を失い盲聾者となった。月に1回抗癌剤アバスチンの点滴治療を受けるも、彼女の病気には保険が適用外のため、1回の治療で15万円の実費がかかる、と番組で紹介されている。
 その後「2006年4月21日、中外製薬が製造販売承認を厚生労働省に申請し、翌2007年4月18日治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の治療薬として製造販売承認を受ける。2013年6月14日には初発の悪性神経膠腫(グレード3、4)を含む悪性神経膠腫に対する効能・効果、用法・用量追加の製造販売承認を取得」となった。
 放映の前月にアバスチンは保険対応となった。初発でも再発でも悪性神経膠腫であれば保険診療で使用ができる。医師、看護師、薬剤師がこの薬剤の使用に関して十分な知識を有することが条件となる。保険診療が認められても薬剤費だけで月に数十万円ゆえ、高額医療費の対象となる。自己負担額は患者の年収によって異なるが、一般的な3割負担の患者で、外来では毎月8万から10万円ほどの負担となる。

 「混合診療の解禁により、国保制度の圧迫や医療格差が広がるのを危惧する」というのがあるが、これは既得権の権化たる医師会の意見でしかない。この場合の「医療格差」がなにを意味するのかわたしにはさっぱり分からない、おそらくどなたにも分かるまい。
 それにしても目が見えず耳も聞こえない盲聾者とは筆紙に尽くしがたい。外界との一切の接点が失われるのである。今回の厚生労働省の製造販売承認は快挙である。すべての高度医療、免疫療法が等し並みに保険診療として扱われるようになればなにも云うことはないのだが。


生検の結果  | 一考   

 生検の結果が出たが、実状は惨憺たるものである。冗談だろうが、入院しますかと訊かれた。サイトメガロウィルスが陰性反応なので、問題は激しい拒否反応である。ならば外来で処理してくださいと懇願する。
 免疫グロブリンの点滴は280万円、ステロイドの点滴なら1本につき、18万から15万円。ソル・メルコートなら保険対応で、わたしの場合は1本2500円である。いずれにせよステロイド点滴治療のため、3日ほど戸田中央へ通わなければならない。例によって、わたしの予算は一回につき15万円以内である。
 今日の診察を最後にして神戸へ引っ越すつもりだった。医師はこの状態での転院はとても認められない、と云う。8月12日に点滴の結果を確認、その後の治療を考える。このような状況を想定していなかったため、持ち合わせがない。知己に連絡して用立てていただこうかと思ったが、事務員が付けにしておけばと仰有る。「かかりつけの医者」はあっても「つけが利く病院」はおそらくあるまい。親しくなると素晴らしいことが起こる。


2013年07月21日

電脳選挙  | 一考   

 わが国の投票形態は任意投票制である。一方、世界には30箇国に及ぶ義務投票制の国があって、なかには罰則適用の厳格なウルグアイ、キプロス、オーストラリア、シンガポール、スイス、ナウル、フィジー、ベルギー、ルクセンブルクなどがある。違反者に対する罰則は罰金、入獄、選挙人名簿からの抹消など多様である。
 例えば、オーストラリアでは正当な理由なく投票しなかった有権者に対する罰金は約1800円、罰金の支払い要求に応じず起訴されて裁判で有罪となると約4500円の罰金が課せられ、加えるに裁判費用の負担も要求される。よって、オーストラリアにおける投票率は95%ほどを維持している。ルクセンブルクでの罰金はさらに高額で、初回は約13000円、6年以内に再度棄権すると約13万円と跳ね上がる。
 投票義務化への反論の主たるものに、「多数者による統治は民主主義の原則ではない」と云うのがある。曰く、民主主義の原則は全会一致まで合意形成を迫る政治意思の調整であり、「自由権」を前提にするのが民主主義である。従って、「投票を強制されない自由」を蔑ろにする義務化は民主主義に反する。
 しかし、投票する自由があれば投票しない自由もある、との対極的考え方には無理がある。自由権を如何に弁証させようが、投票するしないは対置されない。要するに、白票ならまだしも、棄権はなんらの意思表示にもなり得ない。わたしに云わせれば、棄権の実体は単に面倒なだけであるまいか。仮に棄権者が「投票しない自由」を口の端に掛けたとたん、それは詭弁になる。いずれにせよ、任意投票制と義務投票制にはそれぞれ一長一短があって、簡単に結論は得られない。

 今回からネット上の選挙活動が解禁された。今後徐々に投票率は上がるだろうが、いささかの危惧を孕んでいる。理由は岡田斗司夫さんが云う「イワシ化」である。群れるのが好きで、みんなが見るものしか見ない、みんなが選ぶ投票先しか投票しない。すなわち、与野党に関係なく、人気筋に集中する。好き嫌いが思惟の過多を占め、視座は固着され、視力は簡素化されて単眼となる。ネットの怖さはそのようなところにある。

 混合診療の解禁を口にするふたつの政党のうち、脱原発を公約に掲げたのはみんなの党。わたしの選挙区は埼玉ゆえ、行田邦子さんに投票した。ちなみに三郷は市議選も同時選挙だったが、わたしはそちらに詳しくない。よって、みんなの党へ投票しておいた。


2013年07月11日

潰瘍性腸炎  | 一考   

 前項で「自己免疫疾患による潰瘍性大腸炎の治療にも免疫抑制剤が必須である」と書いた。ここで問題になるのは潰瘍性大腸炎は医療費助成の対象だが、潰瘍性小腸炎は対象にならないようである。大腸より小腸の方が難儀な病なのだが、如何せん類例が寡なすぎる。流行病と違って難病が保険の対象になりにくいのと理由は同じである。
 わたしの疾患は大腸から小腸へ這入って10センチから20センチの箇所。医師の匙加減でどうにでもなる箇所である。もっかのところ、祥いにも自立支援医療(更生医療)の対象になっている。ただし、病院が変わればどうなるか分からない。この辺りの法がどうなっているのか、わたしには良く分からない。

 05月28日の「最後の入院」で夫婦間の生体腎移植について書いた。わたしを中心に著してしまったので誤解が生じるといけない、若干補足しておく。
 出産を経験した妻の体内に、夫に対する強い抗体が残り、それが激しい拒絶反応になる、と書いた。繰り返すが、夫の遺伝子を受け継ぐ子を妊娠することで、妻の体内に夫に対する抗体が作られるのである。良人がレシピエントで妻がドナーの場合は大した問題にならない。しかし逆の場合、すなわち妻がレシピエントで夫がドナーの場合、移植はすこぶる難しくなる。このようなところにも男女格差が生じる。女性は随分と損な存在である。


2013年07月10日

TPPと混合診療解禁  | 一考   

 前項で「免疫療法は自由診療分が加算されるのでこの限りでない。わたしの場合、点滴一本分で10万円から18万円、さらに体重比で300万円ほど掛かる」と書いた。現行法では混合診療が認められていないので、一部に自由診療を取り入れると、遡ってすべての診療が健康保険の対象外となる。要するに前述の40万円は133万円に、80万円は270万円になる(3割負担の場合)。
 TPP反対論者の意見だが、医療費の高額化によって差別化がはじまると云うのがある。ついこの間、知己からも云われたが、勘違いも甚だしい。高度医療は結果として高額医療であって、昔も今も受けられるひとがいれば、受けられないひともいる。そして混合診療の禁止が医療費をとんでもない高額に引き上げている。
 例えば歯科医にあっては混合診療が認められている。大都会には保険診療を受け付けない歯医者もいるが、多くは保険診療と自由診療を併用している。保険対応の部分入れ歯はクラスプだけだが、他にもコーヌス・テレスコープ、スマイルデンチャー、シリコーン、ホワイトクラスプ、アタッチメント義歯などがあって、すべて保険外だが、患者は懐具合と相談の上、適宜利用している。わたしは保険対応のみの治療だが、それを医師が差別することはない。
 要するに、歯科医院の場合、患者はさまざまな治療を選択することが可能である。ところが、歯科医院以外の病院や診療所にあって自由診療を一部でも取り入れると、それ以外のすべての診療が保険の対象外となってとんでもない金額を請求される。「医療費の高額化による差別化」が行われているのは現在であって、TPP締結によって混合診療が自由化されると医療費は廉くなり、ひとつひとつの治療は患者が納得した上で選択できるようになる。

 歯科医はともかく、免疫療法のごとくそれしか治療法がない場合が困るのである。例えば大腸癌と膵臓癌の抗癌剤は同じ物だが、大腸に用いる場合は保険対応で、膵臓に用いる場合は保険外になる。わたしが毎日用いている免疫抑制剤は全身性エリテマトーデスには保険対応だが、臓器移植がもたらす拒絶反応の抑制に用いる場合は保険対応外となる。
 現行法下で混合診療を受けようとすると、ふたつ以上の病院を往き来しなければならない。入院中にこの点滴は保険対応外すなわち自由診療ですがと云われると、直ちにA病院からB病院へ移り、そちらで点滴を済ませてA病院へ戻ることになる。すなわち、保険診療専門の病院と自由診療専門の病院とを別けて考えなければならない。そのようなことは現実には不可能に近い。
 過日、クレアチニンを1.2に戻すための免疫抑制剤が300万円ほど掛かるがどうするかと問われて断わった。移植した臓器や組織に対する拒絶反応に限らず、自己免疫疾患による潰瘍性大腸炎の治療にも免疫抑制剤が必須である。こちらは即刻命にかかわることなどで治療を受けた。共にわたしの自由意思である。
 大きな声では云えないが、一部の医師は内緒で混合診療を取り入れている。そうでなければ臓器移植など端から不可能である。治療はおろか、生命を維持する上で健康保険外の治療が必要な患者は多くいる。そのひとたちにとってTPPは一刻も早く締結されなければならない。難病で苦しみ悩むひとびとを健常者はなんと心得ているのだろうか。感情論に基づくTPP反対なんぞ、糞食らえである。

追記
 免疫療法は副腎皮質ホルモン(ステロイド)剤だけではない、三種混合ワクチンをはじめとするさまざまなワクチンも免疫療法である。


2013年07月09日

腎生検  | 一考   

 極度の貧血以外さしたる問題はなく、今回の入院は生理検査だけで退院できた。従って一泊である。生検は二度目だが、移植腎の拒絶反応や現疾患(わたしの場合は腎結石)の再発の有無、薬剤の影響などを評価する。
 エコーで移植腎を観察し、局所麻酔を施し、数回針を刺して腎組織を採取する。採取の後は15分間手で圧迫止血、再度エコーで止血確認後、6時間の安静が必要。最初の3時間はテープで圧迫するが、うち1時間は漬け物石を腎臓の上に乗せる。当然、6時間は溲瓶を抱えて我慢しなければならない。
 担当医は神澤さんと石郷岡さん。石郷岡さんとは臓器移植についてずっと喋っていた。参考になることが多かったが、いろいろ觝触するところがあってこちらでは触れられない。
 組織採取の針は人工透析のそれよりも幾分細い、ブロック治療の針とほぼ同じでないだろうか。採取する組織は、太さは鉛筆の芯ほどで長さは1〜2cmくらいである。肥満のため通常の生検用の針が届かない場合は全身麻酔による開放腎生検もある。なお、神戸大学医学部付属病院で2000年5月、腎生検の実施後に芦屋市の男性19歳が出血性ショックで亡くなっている。エコー観察が粗雑で、針が血管に命中したものと思われる。

 序でに、麻酔について一言。手術台に上がるとまず吸入器が口に当てられる。同時に点滴の中に麻酔剤が流される。数秒で麻酔は効くが、必要なあいだずっと麻酔剤は注入され続ける。注入を止めると10分ほどで目が覚める。
 麻酔が効くと自発呼吸はできなくなる。従って気管に深くチューブが挿入され、人工呼吸器が動き始める(調節呼吸)。チューブが挿入されると口腔はからからに渇く。何度も書いているが、この衝撃で鼻炎がすっ飛んでしまった。冗談だが、全身麻酔は慢性鼻炎の特効薬でないだろうか。
 入院費は一泊だったので26020円(うち食費420円、減額認定証によって1食210円)で済んだ。単純計算だが、一箇月の入院だと30万から40万円ほど、前回のように二箇月だと60万から80万円ほどの費用が掛かる。当然、高額療養費の規定によって自己負担金は軽減される。
 ただし、免疫療法は自由診療分が加算されるのでこの限りでない。わたしの場合、点滴1本につき10万円から18万円、さらに体重比で300万円ほど掛かることもあり、こちらは現金払いである。自由診療を受けるか否かは当方の自由である。わたしは一点につき、20万円を超える治療は受けないことにしている。

 朝食に「ご退院おめでとう」のカードと共に、赤飯が添えられていた。赤飯など何年ぶりだろうか。


下町のバームクーヘン  | 一考   

 拙宅の根際のスーパーでバームクーヘンのメロン味を買った。夕張の北菓楼や銀座千疋屋のメロン味バウムクーヘンは知られているが、高値に過ぎる。私が買ったのは墨田区太平の乳糖製菓のそれで、兎にも角にも廉い、300グラム299円である。
 スーパーの店員から乳糖製菓の押上店がお薦めだと聞いたが、わたしは如何なる知識もない。ただ食して只管旨いと思った。調べてみると、アップル、シナモン、バニラ、メープル、ココア、紅茶、珈琲、黒糖、チーズ、ヨーグルトバナナ、ヨーグルトストロベリーがあるようだが、メロンはない。見本のような商品だったのかもしれない。
 病院の帰り、久しぶりに鮨が喰いたくなってスーパーへ行くと、5種類のバームクーヘンが売っていたので2種類を贖った。

 浅草、西川口、亀有、北砂、草加、松坂屋パークプレイ、大森、池袋など、いろんなところで売られているようである。廉いものなので、是非お試しあれ。

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