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高度医療と自由診療    一考

 

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 スイスの製薬大手ノバルティスが開発した血液がん治療薬「キムリア」が、米国で1回の投与で5000万円超の値がついた。小野薬品工業が2014年に販売した癌免疫薬「オプジーボ」は当初、100ミリグラム約73万円、一年使用すると3000万円を超えた。
 わたしは癌ではなく腎臓だが、免疫抑制剤のいくたりかは健康保険が適用されず自由診療となる。自由診療は当然、医療費控除の対象にならない、実費負担である。1回の投与(静注)が70万円までは応じるが、それを超える金額の薬は拒否するとの方針を最初に自らに課した。わたしの移植腎のドナー(提供者)は女性である。従って男のそれと違って腎臓そのものが小さい、かつ前述したように高額医療を行わなかったためかなりの部分が拒絶反応によって焼け野原となった。要するに満足に機能していないのである。
 生体腎を提供するドナーはレシピエントの親族(6親等以内の血族と配偶者および3親等以内の姻族)でなければならない。適応条件は別紙のごとく。免疫抑制療法の進歩により、血液ABO型が異なる移植や最近では夫婦間での移植も増えている。夫婦は他人同士ゆえ、血液型はともかくHLA抗原はほとんど適合しない。かてて加えてわたしの場合はリンパ球クロスマッチテストも陽性だった。

 わたしが本来受けるべき免疫抑制剤は1回の投与が200万円だった。いかなる薬であれ投与量は体重に比例する。200万円は50キロの場合であって、100キロの体重なら400万円になる。わたしが投与をしなかった理由はそれが1回や2回で終わらないからである。仮にオプジーボのようにキムリアが保険対応になればそれだけで国民皆保険という社会主義的制度は破綻する。現在、35万人の透析患者が年間500万円、総額で1兆7500億円使っているが、これは癌治療の金額の一割にも満たない。癌治療を押し上げているのは全国に5箇所ある重粒子線癌治療である。最低340万円から500万円の費用がかかる。キムリアならその十数倍の費用になる。先進医療はさまざまな分野で活躍している、再生医療にしてもやがて心臓が1兆円ほどでできるようになる。構造の複雑さから腎臓は最後になるだろう。いずれにせよ、保険診療には上限を設け高度医療は自由診療にすべきでないだろうか。言い換えれば、金持ちは治療を受け貧乏人は死ねば良いのでないだろうか。健康保険には健康保険で対応すべき病がある。国民皆保険を破綻させてはならない。

追記
 2016年の統計だが、日本の国民医療費42兆1381億円のうち、国民健康保険は9兆5404億円、協会けんぽや健保組合などの被用者保険が9兆7210億円、後期高齢者医療給付が14兆1731億円となっている。


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2019年05月11日 17:42に投稿された記事のページです。

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