洋樽ではマルエス洋樽製作所、有明産業、昭和洋樽などがあるが、昭和洋樽はフローリングに転業、マルエスはニッカとイチローズモルトの樽をつくっていたが、今は焼酎メーカーを主としている。京都の有明産業は海外との取引が多く、嘉之助蒸溜所が持っているソレラシステムで80年使用したシェリー樽も有明産業から仕入れたもの。
一言触れておきたいのはマッカランが用いるオロロソカスクは酸化熟成した辛口ワイン、モスカテルやペドロ・ヒメネスのような甘口ではない。それよりなにより、新樽をスペインへ持ち込んで2年ほど使った後、ウイスキーを詰めるとのインスタント作業で樽の善し悪しは二の次なのである。このような方法にわたしは異議を感じる。
嘉之助蒸溜所はイングランドとドイツのモルトスターからモルトを輸入している。その内、イングランドのシンプソンからはヘビリーピートのモルトを引いているようである。12年前に山崎から頒されたヘビリーピートのシングルカスクもシンプソンだと聞いた。山崎のヘビリーピートはアードベッグよりもピート値が高く、頗る美味だった。
亜熱帯で生み出されるシングルモルトウイスキーとして台湾のカバランを上げることができる。カバランは2010年、ウイスキーの本場スコットランドで行われたテイスティング大会で「カバラン・クラシック・シングルモルト・ウイスキー」が見事1位を獲得したのを皮切りに、世界で最も権威あるウイスキー賞といわれるWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)で「カバラン・ソリスト・バーボン樽シングルカスク・ストレングス」が「ベスト・レスト・オブ・ザ・ワールド・シングルモルト・ウイスキー」を受賞している。
嘉之助蒸溜所は本年はじめてニューポットを限定発売した。そのテイスティングノートがすこぶる振るっている。
COLOR(色):クリアだが、上質のオイルのようなとろみ
NOSE(香り:焼きたてのパンのような香ばしさ、ベリー系ジャムのかすかな酸味を感じる濃厚な甘い香り
TASTE(含み:はじめ甘く、次第にまろやかさが現れ、りんご系のエステル香が鼻に抜ける
FINISH(余韻:モルト由来の含み香の特長が長く感じられる
飲み方:そのままでもお楽しみいただけますが、ほんの数滴の水を加えてください。香りが華やかに開きます
分かりやすい日本語で好感が持てる。カバランはヘビリーピートを扱っていない。嘉之助蒸溜所に期待している。