高値のウイスキーは置かないつもりだったが、リンリスゴウ(セント・マクデラン)、ブローラ、ポート・エレンの3種を置くことにした。81年、82年蒸留の最終バージョンである。リンリスゴウはマキロップ、ブローラはシグナトリー、ポート・エレンはダグラス・マクギボン、3本ともカスクストレングスである。
セント・マグデランはレア・モルトよりゴードン&マクファイル社の100周年記念ボトルもしくはマキロップ・チョイスの方が好みである。トライすべきミディアムボディ、充実したボディはバランスがよく、シェリー風味のソフトな美酒に仕上がっている。
ブローラもレア・モルトよりザ・ボトラーズもしくはダンカン・テイラーのものが好きである。レア・モルトは総じてシェリー樽由来のナッツのオイリーな風味と熟した果実の甘さが勝ち、クライヌリッシュと比してドライまた極めてスモーキーな味わいや噛みごたえのあるタンニンを伴うスパイシーなフィニッシュが稀薄になる。要するに、レア・モルトは旨すぎて小首を傾げたくなる。本品は70年代の鮮烈な煤けた味わいはないもののメロンを思わせる香りがあって、それ自体ひとつの個性として楽しまれる。
マクギボンのポート・エレンはジョン・ミルロイの手になるセレクション。兄弟会社のダグラス・レインのオロロソシェリー樽はオフィシャルボトルとして販売されたが、マクギボンは61.7度、61.3度、62.2度、55.1度の4樽をそれぞれボトリングしている。ミルロイの撰だけあって絶品。他に特筆しておきたいのは82年蒸溜の20年もの46度のポート・エレンはとりわけスモーキーだった。大半がシェリーカスクだが、81年蒸溜の18年もの43度のみダーク・シェリーだった。誰一人云っていないが、ダグラス・マクギボンのポート・エレンは一本ずつに個性が異なる。値はハーフショットで2500円を予定している。