膝が元気になったので、一部の所用を済ませる。冷え込みに比例してバイクはバッテリーがあがる。アイドリングを1500回転から2500回転へと揚げるものの一向に効かない。BMWに長く乗っていたが、外車は特に駄目である。オートバイの欠点はこのようなところに顕著に表れる。
ジェットヘルメットなので、風はもろに吹き込んでくる。フェイスマスクではまったく効果がないのも分かっている。しかし、視界をなによりも優先させたいのである。これだけはなにがあっても譲られない。世界ラリー選手権(WRC)でも戦闘機のパイロットでも、ジェットヘルである。よって、走っている間は寒さで涕が流れっぱなしになる。くしゃくしゃの顔で田畑たばこ店へ這入ると「冬は大変ですね、ご苦労さん」「本当に。四輪の置き場所があるとよいのですが」と応じる。ぬくぬくと四輪に乗っているひとには想像もできまいが、新聞や郵便配達で小型バイクを走らせているひとたちに同情する。あのひとたちもフルフェイスは被らない、仕事にならないからである。
この2.3日、バイク用のジャンパーが寒い。風が抜けはしないが、0度ともなるとどうにもならない。身体が震え出すと止まらなくなってしまう。服をもってはいるのだが、あまり大仰な格好はしたくないと思っている。もっとも有効なのは合羽かレインコートの類いである。厚着ではなく、風を通さない薄物の重ね着の方が確実なのである。