来住謙一郎さん来店、待ちわびていた客のひとり。 2001年10月の当掲示板で「明石の来住謙一郎さんや太田守さんのように、モルト・ウィスキーの香りについて縦横に語り合える相手に恵まれず、苦渋致しております。赤坂の酒屋さん、ソムリエやバーテンさんが葡萄酒の相談に足繁くやって来るのですが、ソムリエではなんの役に立たず、香りについてはやはり板前さんしか信用できないようです。栗の渋皮、生海苔、やや痛みかけた生麩、駄菓子屋のゴム風船、飴の純露、黴びの生えたパンツ、みつこや夜間飛行を1000倍に希釈した香りなど、来住さんからの一言は大いなる連想ゲームをもたらし、抱腹絶倒の試飲会の繰り返しでした」と書いている。
事ほどさように、来住さんとの晤語は愉しかった。マッカランをはじめとするオロロソシェリー樽の厚化粧のウイスキーをわずか2年で卒業し、蒸留所本来の香味を味わえる3年から8年までの若いウイスキーにわたしを導いたのも、元を正せば来住さんだったのかもしれない。
明石ですぺらは何時まで営業できるか分からない、わたしの健康次第である。後を頼めるようなしっかりした基盤を拵えたときには来住さんにお願いしたいと思っている。そのために選んだ水槽付きの割烹なのである。