台風の余波で店はメチャクチャ、店履きの靴が濡れて玄関に転がっている。まるで闖入者が荒らしたかのようである。風雨が店内にまで吹き込むとは思ってもみなかった。片付けはしたが、氷がない。電源が落ちて冷凍庫内のものは一部を除いて溶けてしまっている。このような場合、真っ先に溶けるのが氷である。ひとかけらもないのである。これでは営業はできない。困ったものである。
バックバーの最下段の引き戸内部がびしょ濡れである。香辛料はじめ、さまざまなものが這入っているのだが、どうやらお釈迦のようである。しかしそこまでは手が回らない。客席の掃除だけで疲れてしまった。状況が分かっているのなら朝早くから出勤したのだが。隣のカラオケはがなり立てているが、無事だったのだろうか。
風が強く、オートバイはすこぶる危険。ふらふらと蹌踉けながら走っている。