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海藤花   一考   

 

 にらみ鯛に限らず、尾頭付きの鯛を丸ごと焼いた塩焼きは愛媛の養殖鯛だったり、ニュージーランド産の冷凍鯛だったりする。明石で穴子は獲られない。家島から送られていたが、最近は韓国産ガ多く、焼あなごの高砂下村商店も韓国産を用いている。明石焼き(蛸焼き)も聞くところによると一軒は明石産の蛸を使っているようだが、他はインド洋産である。
 他人のことはいわれないが、のれそれの躍り食いを食していて穴子が手に這入らないとはこれいかに。もっとも、のれそれはマアナゴのレプトケファルス(稚魚)であるというが種名は定かでない。石巻魚市場にはギスのレプトケパルスが水揚げされていて、こちらも「のれそれ」と呼ばれる。シラスなどのような生臭みは全くなく美味といえば美味である。

 海藤花については何度か当掲示板で書いているが、明石の漁師ですら誤解が多い。蛙の列なった卵を想起させる産卵後の蛸の卵・海藤花を吸い物で頂戴するとき、一緒に入れる浜ぢしゃの新芽と松の実の幽けき香を楽しむのが料理の醍醐味だと聞かされて育った。割烹料理には欠かせない珍味のひとつだった。ところが、産卵前の蛸の卵を海藤花と称するひとが明石にはたくさんいらっしゃる。どこが藤の花なのかお訊きしたいものである。ケシ粒大の卵粒がつらなり、垂れ下がるのが藤の花房に似ることから、江戸時代に明石藩の儒者・梁田蛻巌によって「海藤花」と命名されたのでなかったか。

 お国柄というものがあって、その土地、土地に名物がある。それはそれで結構なはなしだが、魚などが名物になるのであろうか。2016年4月1日現在、日本国内には2,866の漁港がある。それぞれの漁港は家(うち)の魚は日本一と固く信じている。明石界隈の漁港では垂水が第三種、林崎が第二種に這入っているのみで、他の塩屋、舞子、松江、藤江、魚住は第一種漁港である。要するに明石浦は漁港ですらない。わたしにいわせると明石の魚と比して千葉の魚は特段に旨かった。比較にすらならないというのが忌憚のない意見である。しかしそのようなことよりも、お国自慢の前に為すべきことがあるのでないだろうか。家(うち)が一番というような排他的な考え方そのものが安倍をはじめとする似非右翼をのさばらせているのであるまいか。


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2018年07月08日 23:44に投稿された記事のページです。

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