浴用剤は兎にも角にも種類が多く、それほど使ったわけではないが、やはり肌に合う合わないがある。透析治療を受ける前の身体の痒みは絶望的なものだったが、透析治療を受けてからの痒みは単なる痒みに変化した。その単なる痒みが浴用剤によってもたらされるのは困ったものである。繰り返すが、背中を掻きむしって血だらけになる程度の単なる痒みである。
前の同居人が浴用剤を好み、なんとか温泉の素とか称する粉末をよく利用していた。浴用剤には温泉成分の効能を期待するものと薬用植物成分の効能を期待するものとに大別されるようである。前者は重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、食塩、明礬などの無機塩類を成分とし、後者は当帰、センキュウ、浜防風、薄荷の葉、カミツレなどを成分とする。彼女が好んでいたのは前者の温泉成分である。
温泉の基準がどこにあるのかが分からないが、硫黄臭のない温泉など存在しないだろう。まずその点で浴用剤なるもののちゃらんぽらんぶりが良く分かる。家の風呂に硫黄臭は困る、よって硫黄臭を除いた温泉の効用をとの註文だろうが、そのようなものがあろうはずがない。なかには本物志向の消費者だっているに違いないと思うのだが。
当掲示板のCEOは温泉の専門家ゆえ、迂闊なことは書かれないが、巷に出回る浴用剤を使っていらっしゃるのだろうか。わたしはイオンのそれを愛用している。ただし、柑橘系の浴用剤は概ね身体中を掻きむしることになる。イオンの薬用入浴剤にもいろいろあるが、乳白色のミルキーアソートと称する炭酸ガス入りの商品がもっとも気に入っている。不透明ゆえ、老いさらばえた不様な身体を見なくて済むからである。