前項で東明商事のご主人と書いたが、お名前は辰巳忠司、ですぺら初のお客さんである。隣のビルで不動産会社を営んでい、今回の店舗探しではいろいろと面倒をおかけした。彼の周旋する物件に這入ったわけではないのだが、随分と親しくお付き合いしてくださり、感謝している。
桜町界隈では主のような方で、日々、違うお客さんを連れてのご来店。先日はですぺらとの屋号が気に入らないとの意見に対して、「捨て鉢、投げ遣り」がマスターの人生観なのだからと、弁護してくださった。
ひとの人生観について語るということは自分の人生観を持っているとの証し。流されるのではなく、時として立ち止まり、行きつ戻りつしながら逡巡と反芻を繰り返さなければ、人生観を抱くことはかなわない。最晩年に当たって、ためらいを持つ友ができたのは嬉しい。