加古川の不動産屋を回っていて道に迷い、とある一通の路地で木村精肉店を見付けた。焼豚の匂いに気付いたのである。住所は加古川市加古川町寺家町16-7、こちらはストリートビューで検索可能。
食べログで検索すると、コロッケをはじめ揚げ物で有名らしいが、焼豚についてはどなたも触れていない。
岐阜式の真物の焼豚である。岐阜式と云っても分かるまい、焼豚は炭火つるし釜で焼き上げた後、ガラスケースに入れて店頭で展示する。問題はこの展示中も煖めるのが、焼豚なのである。
火が入り続けた焼豚はどんどん軽くなってゆく。軽くなるのは重量であって、逆に香味は濃厚になってゆく。岐阜のそれはパサパサになっている。わたしはそのようなパサパサの焼豚が好みなのである。
スーパーやコンビニで売っている焼豚はまるでハム、ラーメン屋のそれは煮豚であって焼豚ではない。そして東京に焼豚は存在しない。また、煮豚は重量が増える。岐阜式の焼豚700グラムと煮豚1キロがほぼ同量の豚肉である。仮に、煮豚がグラム350円とするならば、岐阜式の焼豚は500円で均衡が取れる。ものの価値は現物に当たってはじめて分かる。