周さんが仕事で北海道へ出掛けているらしい。飲み屋を紹介したいのだが、たとえ北海道であろうと、わたしは都会には興味がない。従って、季節外れの珍味を引き合わせる。
刺身または炒め物として、なまら旨いものに浜益の珍味ルッツがある。日本海側の浜で、秋から冬にかけて海がしけた後、浜に打ち上げられる。ゴカイやミミズの仲間で、正式名称を「ユムシ」といい、磯の香と貝のようなこりこりした歯ごたえが特徴。冷凍や三升漬けにして年中食べられる。
同じ石狩の初夏の高級珍味としてハマボウフウ(「懐石と低残渣」で浜防風について触れている)は忘れられない。噛むとセリ科特有の清々しい風味が口に拡がる。香味野菜は酢味噌和えや天麩羅にこそ相応しい。
初夏の味でもう一品。苫小牧のアブラコ(関西で云うアブラメ、関東ではアイナメ)とクロソイは美味。本州のそれよりもコクを深く感じる。
今年は打瀬舟漁による野付湾シマエビが不漁。7月に解禁される羅臼町のブドウエビ(一匹1000円以上する)ほどではないが、ボタンエビと値段は変わらない。シマエビの漁期は6月中旬~7月中旬と10月中旬~11月上旬の年2回。ちなみに、冷凍シマエビの浜茹には赤穂塩が用いられている。