キジハタは島根が有名な根魚、キロもので3000円以上する。値から云えばオコゼや金目鯛と同じぐらいの高級魚である。もっとも関西地方、特に瀬戸内一帯ではキジハタのことをアコウと呼ぶ、わたしにはその地方名が馴染みである。なお、関東地方でアコウ(赤魚)と呼ばれる魚はアコウダイという別の種である。しかも、関東でアコウダイと云えば、通常カサゴ科の目抜けを指す。この辺り、大変ややこしい。ちなみに、全国のホテルのレストランやフランス料理の店ではメヌケを「あこうだい」と呼称し、高級魚とする。関西人にとってはこれも詐欺商法である。もっとも、いずれも味は良いので構わないが。
スーパーで赤魚として売られてるのはアラスカメヌケ、これは内幸町の超有名フレンチ店の模倣である。せいぜい40センチ程度にしか育たない代物で、アコウダイとは比較にならない安価な魚。こうした食材偽装は全国に蔓延している。
拙宅の近所のスーパーで本物のキジハタが売っていた。切り身での販売ならいくら高くても喜んで買うのだが、このように大きい魚をひとりでは処理しきれない。刺身、煮付け、うしおと夢想し、結局一夜干の鰈を買った、残念である。