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関根の白胡麻油   一考   

 

 先日、衣揚げで東西の天麩羅油の違いについて著した。ところが、さらに調べてみると意外なことが判明した。
 「関東と関西では今もむかしも揚げ方ならびに油の調合はまったく異なる。胡麻油は常温で圧搾すると淡黄色の油が得られるが、わが国では事前に胡麻を炒る。従って、搾られる油は黄褐色で特有の香りと味をもつ。特に関東で使われる黒胡麻(くろしぼり)と云う胡麻油はその香りが強烈である・・・関東ではくろしぼりをメインに、綿実油(最近は大豆油が増加している)などさまざまな油を調合するのにたいして、関西では綿実油をメインに1、2割ほど白胡麻(しらしぼり)もしくはくろしぼりを入れる。よって胡麻油特有の香りは関西ではほとんど見受けられないか、縦んばあっても淡い」と著した。
 天麩羅が江戸で人気を博したのは周知だが、江戸期の天麩羅油といえば春日部から船で古利根川を下り、江戸へ運ばれた武州胡麻油である。武州でもっとも知られた油屋と云えば関根である。
 関根が武州春日部で胡麻油を造り始めたのは今から290年以上前の八代将軍吉宗の享保年間である。往事、胡麻油はとても貴重で、燈油、薬や化粧品に用いられた。やがて作付面積も増え、江戸前天麩羅の揚げ油として流行っってゆく。
 武州胡麻油は白胡麻で、風味を損わないように低温で煎り、低圧搾し、ゆっくり濾過を繰り返し純度を高める。要するに江戸期の天麩羅油はことごとくが白胡麻(しらしぼり)だったのである。癖のないさらりとした口当たりとほのかな香り、謂わば胡麻油の一番搾りとでも云うべき質の高い油だった。
 それがいつ頃黒胡麻(くろしぼり)に変わって行ったのか分からない。ただ、江戸っ子を気取るような人間は得てして田舎者が多い。明治に這入って急速に東京の人口は増える、おそらくその過程でしらしぼりの品の良さよりもくろしぼりの強烈な癖が江戸っ子に相応しく思われたのであろう。今では東京の天麩羅屋はくろしぼり一色になった。


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2013年04月28日 11:56に投稿された記事のページです。

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