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蕎麦米   一考   

 

 蕎麦の実から殻だけを除去したものを蕎麦米として売っている。長野市の製粉会社から購入したものだが、このところの粥三昧では飽きが来る、と思って引っ張り出した。久しぶりに蕎麦雑炊を造ってみたが結構旨い。米よりも消化は悪いだろうが、そう気にするものでもあるまい。そこでまた蕎麦について一言。

 挽きぐるみとは、玄蕎麦を殻をつけたまま石臼で挽き、それをふるいにかけ、殻を取り除いた粉を指したが、最近は殻は取り除き、甘皮を一緒に碾き込んだ粉(全粒粉)を云う。甘皮まで一緒に碾き込んでいるため、色は黒っぽく、野趣に富んだ味わいがある。とくに出雲蕎麦が著名。
 蕎麦切りには太麺と細麺の二種類が有って、まず太麺で在ること、次に更科系に対して色が黒い(すなわち挽きぐるみ)こと、それを概して田舎蕎麦と呼ぶ。上述の出雲蕎麦は細麺だが、秋田、山形の蕎麦に更科系はなく、且つ大半が太麺である。

 蕎麦の種実の中心部分を挽いた一番粉で打った蕎麦を更科と称する。舌触りが良く、白く上品なのが取り柄だが、蕎麦らしい香りはほとんどない。日本酒で云えば大吟醸のようなもので、高級志向の極にある。その更科以外に東京には薮と砂場がある。薮は上野と浅草に本店があり、つゆが濃すぎるのが難点だが蕎麦の香味は傑れている。砂場は麺にもつゆにもこれと云った特徴がなにもない。酷い云い方になるが、箸にも棒にも引っかからないとはこのことかと。

 上高井郡小布施町の「せきざわ」、志賀高原(下高井郡山ノ内町)の「山の実」、黒姫(上水内郡信濃町野尻字山桑)の「ふじおか」、静岡県島田市船木の「藪蕎麦・宮本」、近鉄奈良駅から徒歩15分の「玄」など著名な蕎麦屋は多い。そしてそのなかに、東京都中央区八重洲にあった「三日月」を加えておきたい。
 三日月の外山時男さんは山梨長坂「翁」時代の高橋邦弘名人に師事したという、要するに藤岡さんとは兄弟弟子になる。藤岡さんは独学と紹介されているが、間違いでないだろうか。翁時代のことは何度か聞いたが、差し障りがあるので止めておく。ただ彼との話で、現在の蕎麦王国は栃木と茨城であると、これだけは著しておきたい。
 外山時男さんが膵炎で急逝されたのは2005年4月17日、掲示板を契機に知り合った最高の友のひとりだった。


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2013年04月17日 05:35に投稿された記事のページです。

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