前項で紹介した大桃千明さんはやはりただ者ではなかった。ホームページをご覧いただければ分かる。
「私たちシャフトモータースポーツは埼玉県三郷市にあるモータースポーツショップです。競技車両製作、ボディ補強、セッティング、メンテナンス、競技用オリジナルパーツの開発・販売を通じて、皆様のモータースポーツ活動をサポートしています。ラリー、ダートラ(ダートトライアル)、ジムカーナ、レースなどの本格的なモータースポーツから、サーキット走行会やストリートチューンまで、何でもご相談ください。
当店代表の大桃千明は、1985年全日本ラリー選手権チャンピオンという経歴を持つ現役のラリードライバー。ラリー界では左足ブレーキを多用するFFドライビングの第一人者としても広く知られています」
今のわたしは動体視力が落ちた、と云うことは反射神経がまったく駄目なのである。従ってラリー車に乗るのは不可能になった。20年前ならシビック6代目EK型や7代目EU型(共にタイプR)もしくはフィットあたりで走り回ったかも。
そのシビックのエンジンを解体していた。レース途中でヘッドへ異物が混入したらしく、バルブがすべて壊れている。おそらくシリンダーも壊れているだろう。どんなエアエレメントを使っていたのかしら。レース車両の過酷さの一端が伺える。それにしても、大桃さんのところへ運び込まれる車はことごとくエンジンを下ろしている。
ちょっとしたチューニングなら試みるが、エンジンOHにせよ、リビルトにせよ、40、50万円はかかる。中古車を購入する方が廉いのでわたしは未経験である。
今日は随分と話し込んだ。はじめてリフトアップしたが、センターパイプに太鼓(サイレンサー)が三つも付いている、これでは走らないのは当たり前である。社外品を調べてみるが、ボルボを触る人はいないだろうからワンオフマフラーを作ればどうなのと大桃さん。
S80はラグジュアリーな車、車重は2トン近い(マスタングは1.5トン)、改造するような種類の車でないのは分かっている。あくまでもライトチューニングであり、20、30馬力も上がれば結構、発進時の加速を娯しみたいだけである。
太鼓をストレートに交換したところで、ターボ車なので排気音はNAほど大きくならない。ただ、ストレートに取替えれば、エアフィルターも吸い込みのいいものに交換、燃料関係のチューニングが必要になる。それ以上に車検に対応するかどうかが問題である。社外品だとほとんどが車検対応なのだが、ワンオフとなるとそうはいかない。車検のたびのマフラー交換は勘辨してほしいのだが。
追記
シャフトモータースポーツの紹介文のなかで「左足ブレーキを多用する」と書かれているが、ワインディングを好むひとならみなさんご存じである。右足はアクセル、ブレーキとクラッチは左足である。エンジンの回転数を落とさないためにアクセルは踏みっぱなし。左足は蟹足になってブレーキとクラッチの双方を踏むのである。結果、逸早くカーブを走り抜けることができる、高等テクニックのひとつである。
オートマ車でも左足ブレーキを多用するひとがいる。同じくエンジンの回転を落とさないためだが、ローターの摩耗が激しくなる。速く走られるが、非経済的乗り方である。