病院のオーロラソースについて苦言を呈しようかと思ったが、そもそも高級と名の付くレストランでオーロラソースを旨いと思ったことがない。香辛料についての知識が浅薄なのである。そして病院のそれは香辛料など月並みなものしか使っていない、それを云々するのは可愛相。洒落たつもりだろうが、よく分からない料理に手は出さない方が良いに決まっている。
オーロラソースのオーロラは極光(白色)でなく、ローマ神話の曙の女神アウロラからきてる。ホメロスの叙事詩にいう「薔薇色の指をもてる」「番紅花(サフラン)色の衣をまとえる」女神である。
病院では花甘藍(カリフラワー)をよく使う、それが理由でサフラン色にしたいのだろう。オーロラソースの基本はマヨネーズ大6、ケチャップ大1、生クリーム大1、ブランデー小1、檸檬汁小1、タバスコ少々、ウスターソース少々。スパイスはセロリ、タラゴン、デイル、オールスパイス、パセリ、カエンペッパー、ファインハーブ、胡椒、塩から選択。
序でに、カリフラワーは塩と小麦粉同量を加えて茹でる。茎を上にして落とし蓋、硬く絞った濡れ布巾を2枚被せたまま冷ます。市販のマヨネーズを用いるときはどんなときでも生クリームと少量の砂糖が必要、嘘のように旨くなるのでお試しあれ。
オーロラソースは元来がサラダ用のソースだが、いっそ和風で酢味噌、梅肉和え、すき焼き風味の方がよほど美味だと思うのだが、いかが。