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種物   一考   

 

 岩手県陸中海岸の腹子蕎麦について書きたくて稿を起こした。
 岩手県南部の鼻曲がりの鮭は有名だが、三陸沿岸を遡上する鮭の腹子をかけ蕎麦に上置きした郷土色豊かな種物。手がやっと這入るぐらいの熱い湯で筋子の表皮(この表皮がもっとも生臭い)をとり、ぱらぱらにほぐしてイクラにしてから蕎麦の上へ配う。暖かい出汁を入れるが、イクラがちょうど半熟になるように仕上げる。生臭さを除去するために軽く白濁しない程度の温度が良い。温度が高いとイクラは白く濁って臭みが出る。低いと生のままで、違った意味で生臭い。そのところの兼ね合いが難しい。

 汁蕎麦にいろいろの具を配ったのが種物で、加薬(かやく)蕎麦とも呼ばれた。ただし、月見かけ、納豆かけ、おろしかけ、狸かけと呼称した。幕末ころまでに花巻き、霰(あられ)、天婦羅、卵とじ、鴨南蛮、おかめなどが売り出された。花巻きは焼海苔、霰は馬鹿貝の柱をのせたもの、鴨南蛮の南蛮は葱のことである。おかめは結び湯葉、蒲鉾などの具を上置きしておかめの面をかたどったもので、卓袱もほぼ同じものである。
 地方の名物蕎麦には、青森県の津軽蕎麦、岩手県盛岡の椀子蕎麦、福井県のおろし蕎麦などが知られ、身欠き鰊を巧みに生かした京都の鰊蕎麦も独特の風味をもつ。そのほか蕎麦切りの食べ方としては、蕎麦鮨、蕎麦サラダなどがある。
 調べただけでも33種類の現行の加薬蕎麦があって、なかには奇想に属するものあり。そのうちに紹介する。

 下記の麺類雑学辞典はお薦め。
 http://www.nichimen.or.jp/index.html


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2013年04月05日 08:15に投稿された記事のページです。

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