序でだから書いておく。日々服用している免疫抑制剤のなかには保険非対応のものがある。対応していない薬が一品でも這入っていると、保険対応の薬を含めてすべての薬と診察に保険が効かなくなる。すなわち全額自己負担となってとんでもない金額を支払わさせられる。この消息が自由診療と混合診療の関係である。
TPP(環太平洋連携協定)に関して「医療保険の自由化、混合診療の解禁により、国保制度の圧迫や医療格差が広がる」と危惧されているが、混合診療を法律で禁止することによって、難病に苦しむもしくは免疫療法を必要とする国民は多大な金銭的犠牲を払わされている。
免疫療法の大方は現在自由診療である。わたしのようなプロレタリアートは例えそれが命にかかわることであっても、金額によって自由診療を受けるか受けないかを決めている。従って、医療格差があるのは日常であり、当然と思っている。と云うよりは、国民健康保険のシステムそれ自体がとんでもない医療格差を作っているのである。
国民健康保険の矛盾点について一言。先進医療(平成17年7月現在で、承認された高度先進医療は111種類)は保険診療との併用が認められていて、診察、検査、投薬、入院料は健康保険の給付対象となる。ただし、先進医療の特別料金部分(技術料)は健康保険の給付対象外となるため、全額自己負担となる。これは例外的に保険治療と保険外治療を併用する混合診療である。要するに、世の中には保健医療が認めている混合診療もある。ご都合主義とはこのことであるまいか。
わが国の国民健康保険のどうにもならない矛盾点については、これまで何度も具体的な例をあげて書いてきた。何もかもが既得権で雁字搦めに縛られている。国民皆保険を名告っているものの実体は国民不在保険である。どうあっても自由化もしくは徹底した規制緩和が必要である。もっとも、この規制緩和とやら、外圧なしで緩和されたためしがない。