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辺つ風   一考   

 

 明石へ行けば、まず中国、山陽の窯元へ行きたい。次に日本海である。敦賀、もんじゅ、美浜、大飯、高浜などの原発の傍らには必ずキャンプ場がある。そして贔屓にしていた久美浜兜山のキャンプ場がある。すぐ根際の魚屋でいつも角飛(かくとび)を買っていた。小振りだが1匹100円。それを刺身や洗いにして日本酒をちびりと飲む。
 飛び魚の洗いと飛びっ子を混ぜた食べ方は当掲示板で何度か紹介した。京都の鮒の洗いと同じ食べ方である。確実に角飛の方が美味い。ところで、鮒の洗いの前身は鯉である。江戸後期には鯉の刺身より洗いが賞美された。洗い鯉と呼ばれ、江戸では向島の葛西太郎、大黒屋孫四郎などの料理茶屋が有名だった。
 ちょっと長くなるが折角なので紹介しておく。「料理物語(1643)」の鱠の部に「鯉の子付けなます」がある。古くからの料理で、鯉を三枚におろして細作りにし、煎った鯉の子をまぶしつける。その後の調理方法がいささか凝っている。鯉の身の半分には、熱くした煎酒酢(煎酒に酢を加えたもの)をかけ、半分には冷やした山葵酢をかけ、両方をかきまぜて供するとある。暄寒入り乱れた様が興味津々、味わってみたくなる逸品である。なお、煎酒(いりざけ)については「嘗物2」で触れている。

 兜山のキャンプ場は晴れた日も雨の日も年中通して出掛けた。松葉蟹は昔から高価だが、小さな雌蟹はセコと云って子供のおやつで、笊一杯7、8匹が300円ほどだった。どことは書かないが東京某ホテルのランチで松葉蟹雌1匹付き5000円というのがあった。メニューに雌蟹がいかに貴重で美味かを繰り返し書いている。当然セコ蟹のことだが、現地でセコを松葉とは云わない。わたしに云わせれば松葉を語ったインチキ商品である。
 海産物はともかく、原発の金で拵えたキャンプ場は立派すぎて面白みがない。造りは劃一、ゲートで区切られていて、出入りにカードを使う。ACアウトレットが全サイトに完備され、客は照明、炊飯器、冷蔵庫、テレビ、髭剃りなどを持ち込む。日常生活をそのまま持ち込むのをキャンプとは云わない。だからわたしはちょっと離れた久美浜へゆくのである。
 久美浜湾は内湾になっていて牡蠣の養殖で知られる。波は穏やかだが、立ち泳ぎなどすると、結構な底流があって愕かされるときがある。辺つ風が爽やかな海水浴場でもある。久美浜は京丹後市だが、すぐ隣は兵庫県の城崎温泉、反対側には丹後半島、天橋立と観光地がつづく。むかしから割烹旅館の多い地域だが、湾の左岸にもへきすい苑や碧翆御苑旅館など知られた割烹が並んでいる。
 出石には1軒だけ十割蕎麦の店がある。研究熱心な主人で全国の十割蕎麦店を歩き回っている。日本海とは逆だが、瀬戸内しまなみ海道はぜひ行きたい海道である。虎魚(おこぜ)の産地があって楽しみにしている。こちらも刺身もしくは洗いが美味い。

追記
 「出石には1軒だけ」と書いたのは、「そば庄・鉄砲店」(兵庫県出石郡出石町鉄砲27-13 0796-52-5479)である。しかし、今では出石を中心に4、5軒増えたようである。
 丹波篠山・今田黒石の県道141号線沿いの時夢館(たいむはうす)にねじき蕎麦と号する十割そばを喰わせる店ができた。

 http://www.oct.zaq.ne.jp/papua/tajima-so.htm
 http://sobajin.toured.jp/tabearuki/hyogo/


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2013年03月29日 00:04に投稿された記事のページです。

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