レイアウトが崩れる方・右メニューが表示されない方: >>シンプル・レイアウトへ

« 大間クロマグロ | メイン | 現場の人 »

新胡椒   一考   

 

 わが国では新胡椒(生胡椒とも云う)はあまり売られていないが、新と旧では香りの種類がまるで違う。大半がインド産だが、カンボジア、タイ、インドネシアから新胡椒が少量輸入されている。恰度3月が収穫期。香辛料で個性を発揮するごく一部の割烹やレストラン向けである。
 緑色の未熟の果実を房ごと収穫し、2日間日干しにすると皺がよって黒くなる。足で踏んで柄を除き、粒だけにしたものが黒胡椒。新胡椒は黒くなる前の緑色の果実。えぐみが出る前の胡椒で、さっぱりとした爽やかな辛味が特徴。海鮮料理に良く合う。神戸では売っていたが、見つけたら是非一度お買い上げを。

 近松門左衛門の「大経師昔暦」に「本妻の悋気と饂飩に胡椒はお定り」とあるように、江戸前期温飩(うどん)には胡椒と梅が付きものだった。後期になってそれが廃れたようで、大田南畝は「近頃まで市の温飩に胡椒の粉をつゝみておこせしが,今はなし」と「奴師労之」に書いている。唐辛子は渡来当初は胡椒の一種と考えられていたが、温飩の薬味は胡椒と梅からやがて七味唐辛子と刻みネギへと置き換えられてゆく。
 江戸期の温飩は「かけ」である。現在云うかけ「熱いだし汁をかけただけの饂飩」、関西で云う素饂飩とは異なり、加薬の這入った「熱いだし汁をかけた饂飩」となる。すなわち、卓袱(おかめ)かけ、天麩羅かけと云うように用いる。そのかけに胡椒が合うかどうか疑問だが、冷やし温飩に胡椒と梅は不思議に合う。後段で書く梅が香ならなお美味。

追記
 クラタペッパーのホームページでカンボジア胡椒入り「天むす」が紹介されている。また本文中に「胡椒は、香り付けや辛味といった味覚成分だけではなく、カリウムを多く含むため塩分の排斥を促進したり、菌の繁殖を防ぐ防腐作用があったり、胃を強くする健胃作用があったりと体にいい成分も多く含まれて居ます」と書かれている。なお、沖縄の八重山に伝わる島胡椒「ピィパーズ」は国内唯一の胡椒である。


←次の記事
「現場の人」 
前の記事→
 「大間クロマグロ」

ですぺら掲示板2.0トップページへ戻る

このページについて...

2013年03月27日 07:41に投稿された記事のページです。

次の記事←
現場の人

前の記事→
大間クロマグロ

他にも
  • メインページ
  • アーカイブページ

  • も見てください。

    アーカイブ

    ケータイで見るなら...


    Google
    別ウィンドウ(orタブ)開きます。

    牛込櫻会館(掲示板1.0他)内
    ですぺらHP(掲示板2.0他)内
    Powered by
    Movable Type 3.34