「茉莉花(まりか)」「瑛美花(えみか)」と名付けられた犬はどうなったのだろう。大間のクロマグロを喰っていたというが、セレブを感じるのはセレブを意識する人間だけで、犬にとってはマグロもカツオも大間もへったくれもあるまい。主人が殺される前にどこぞ山奥の道端にでも棄てられれば、生き残ることすらかなわない種類の犬だったに違いない。
主人にとっても、気懸かりは犬のことで、目減りした相手の資産など最後まで眼中になかったに違いない。彼等にとって、客とは愛犬が食する大間のクロマグロを背負ってくる鴨に他ならなかった。
金持ちはさらに資産を増やすことに精を出し(結局、自滅したが)、貧乏人はセレブを目ざして奔走する。1億数千万円のマグロを1貫270円で喰ったとか320円で喰ったと、例えそれが2億であれ3億であれ同じこと、世はあさましい限り。
マスコミはとかく猟奇的に捉えようとするが、実体は単なる金の奪い合い。何かありそうでなにもない、今回の事件はあまりにも単純な分捕勝手、合戦の一絵図。
セレブとはセレブリャコワのことかと思っていた、と云うような冗談はさておき、セレブはセレブリティの略語。宮崎哲弥さんは「セレブは誤用であり、成金ときちんと言うべきである」と発言している。