iPS細胞(人工多能性幹細胞)は生物学の基礎を革新したものであって、当初は再生医療に役立てようというものでなかった。iPS細胞のメカニズム並びに生物学的性質がよく分かっていなかったからである。ところが、山中教授のノーベル賞受賞を機に臨床応用へ向けた研究や計画が本格化しそうである。
昨日のニュースによると腎臓細胞の生成に成功したとある。臓器に関しては早いもので20年、遅くとも40年ほどで目処が立つとされる。腎臓は臓器のなかでもっとも複雑で、40年以上掛かるとされる。二世代後には腎移植は過去の治療法ということになりそうである。
難病患者の皮膚などの細胞からiPS細胞を作り、それを神経細胞にすれば病気の起きる過程を試験管の中で再現できる、そこにはさまざまな治療薬が開発される可能性がある。腎臓の再生より先に、副作用の少ない免疫抑制剤はじめ、新薬の開発が進められるだろう。
再生医療が現実のものとなるのはこれから生まれてくる世代である。ただ、薬事法の規制緩和がなされれば、10年ほどで新薬の恩恵に浴することは可能かもしれない。
追記
日本の薬事法は安全性を重視している反面、他の先進国に比べ承認審査期間が長く、新しい医薬品等がすぐに治療に使えないというデメリットがある。再生医療も新薬も海外の開発が先行するに違いない。過去の医薬品同様、日本は10年、20年遅れになる。