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移植手術その結果   一考   

 

 市役所へいって国民健康保険限度額適用証をもらってきた。24年4月から外来の限度額適用認定証が有効になった。これで高度医療は35000円ほどに減額される。ただし、減額は保険適用内の医療に限られる。

 国民健康保険及び福祉障害課の担当者に相談した。特定疾病療養受療証で透析を受けている人が移植手術を受けると自動的に特定疾病療養受療証は失効する。移植によって病気が癒ったと結論づけられるのである。ところが術後、三箇月を経ずに移植した腎臓が落ちた場合、透析を受けるための特定疾病療養受療証はどうなるのか。
 担当者によれば、当然特定疾病療養受療証は再発行されるが、そのようなケースは想定されていない、と。わたしがなにを云いたいかというと、「移植によって腎不全が癒るもの」とみなさん勝手に思い込んでいるのである。移植が成功するしないにかかわらず、患者は人工透析に必ず戻る、戻らざるを得ないのである。腎不全は不可逆性の病だということをみなさん忘れている。一度罹ると腎臓が新しくなろうとどうなろうと関係なく病症は進行する。
 仮に移植した腎臓が二年間生着した場合、手術は大成功で、二年間その腎臓は生きたのである。そして三年目、彼のもしくは彼女の透析生活が再開されるのである。問われるのはこの生着年数であって、一年、二年といった著しくたわいもない論拠にわたしたちは振り回され躍らされている。もっとも、日本の場合は米国のそれとは違って生献腎である、それゆえ生着期間はさらに長く平均すると十年を超えているが。
 云いたいことは多くある。例えば、わたしの場合は拒否反応がひどいので予想される生着期間が二、三年と頗る短い。その短い生着期間のために、ドナーから生きた腎臓を奪ったのである。事前に分かっておれば移植手術を試みたろうか、との反省がつきまとう。重度の腎不全に罹った状態で新しい腎臓が起動する虚しさに思いを致すしかないのである。
 瀬戸口医師が手術前に腎移植はあくまでips細胞が完成するまでの過渡的な措置であると、仰有っていた意味がそこにある。勿論のことだが、すべての外科領域における治療は過渡的なものである。医学とは割り切れない、卓れて倫理的な問題に晒され続けている。この件は生涯に亙ってわたしのなかで反芻される。


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2012年10月15日 17:04に投稿された記事のページです。

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