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生検   一考   

 

 折角閉じられた腎臓からの生体検査である。術後、六時間は動かれなくなる。身体を幅広のテープで縛り、重石をつけるそうな。免疫抑制剤は飲み続けるため、食事も摂らないといけないらしい。糞尿の処理ができなくなるのが困る。というのも、一生飲み続ける免疫抑制剤との格闘が既にはじまっている。とにかく量が多いのと、下痢に困惑させられているからである。一日の入院だが、生検は今後も定期的に続くようである。
 看護師から痛いと十二分の脅しをかけられていたので、全身で構えていた。麻酔の注射が透析の穿刺と同じ番線の注射針なので、ひどく痛いと聞く。ところが、透析の最後の方は痛みを記憶するためユーパッチをわたしは用いていない。これも記念とばかり、痛み止めは遣わなかった。従って、唸るような痛みを感ぜずに済んだ。
 透析をはじめたころの全身の硬直はどこへいったのだろうか。慣れとは怖ろしいものである。それやこれやで、わたしにとって生検は痛みを伴うものでなかった。ただ、六時間の身体の固定は大層な苦痛で、放置プレーに等しいものだった。
 
 人工呼吸器から胃瘻、認知症然り、他にも動かれない病は多い。糞便の処理を扶けてくれるのは家族だけである。いかに看護師といえど、お座なりになる。というか、看護師の為事はお下の世話ではない。外国だとお下の世話はあり得ない。独身の病人は糞尿にまみれて死んでゆくしかない。食事の世話同様、いずれ病院から端折られてゆく行為である。近い将来、家族を持たない人間は入院すらできなくなる。下の世話と食事の面倒が病院医療から削られるとき、わが国の医療崩壊がはじまる。
 それにしても、最短コースでの退院となった。わたしの二週間前に移植手術を受けた患者はいまなお入院中である。医師、看護師に感謝。(7月26日)


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2012年07月30日 18:44に投稿された記事のページです。

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