メドロール、セルセプト、グラセプターなど、手術に向けて免疫抑制剤の大量投与がはじまった。自家製でないところのものを体内に植え付けるのである、免疫抑制剤は術前がもっとも多いと見た。
13日から16日までは集中治療室、後は五本の管に繋がれて病室へ戻る。首からの点滴、腎臓下部からのパイプ、尿管等々である。
免疫が抑制されているので、たわいなく感染症に罹る。生れてはじめてマスクを強いられる。病棟は感染を防ぐために子供は這入られない。子供は黴菌の温床であるそうな。
体重は現在45.1キロ。手術の際に4乃至5リッターほどの水が血中へ這入る。心臓の負担を減らすため、体重を減らすのが良い、と。どうこう云うことではないが、一週間で4キロほどの減量である。
術後は点滴も相俟って日量、8乃至9リットルの尿が出るらしい。退院時には新しい腎臓が体内の水分調整を行うので、6キロほど痩せるそうな。
もっとも長年の食事制限の反動で一気に体重は増えるらしい。その主たるものは肉だそうだが、わたしは蒙御免。寿司と干物に限らせていただく。干物は型の大きい高級品があるが、あれは不味い。小型の鰈の一夜干、同じく鱚、柳葉魚など、他では鱈子、縮緬の類いが好みである。
ところで病院食は国籍不明の料理だが、かろうじて浸し物で和食の面子を保っている。ゆでる、ゆがく、ゆびく、ゆどる、あおる等があって、総じて湯掻きすぎなのだが、それでも旨い。菠薐草や小松菜など、青菜に小型の縮緬を入れるとさらに美味。かぶら蒸しとともに日本の美饌。(7月6日)