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CAPDとTPP   一考   

 

 本稿はすべて引用である。引用なら括弧で閉じればよさそうなものだが、文章が分かりにくいので編輯し、新たな書き込みを加えた。原典は前述と同じ(http://www.urban.ne.jp/home/haruki3/america.html)なので、若干の重複がある。

 70年代に這入って透析医療の保険点数が高く設定され、民間の透析施設が急増。その結果、83年には私立透析施設は全透析施設の64.0パーセントを占め、全透析患者の74.7パーセントを占めるに到った。
 その自由化(民営化)によって、透析患者一人当たりの年間医療費も外来ベースで1,000万円から600万円にまで低下。国民医療費に対する比率は患者増にもかかわらず減少傾向になった。
 外来医療費ベースで透析患者の総医療費を計算すると82年度で2,879億円となり、同年度の国民医療費13兆8,659億円の2.1%である。透析患者の薬や検査等を除いた人工腎臓のみの費用は1,750億円で、国民医療費の1.445パーセント。
 欧米で普及しているCAPD(腹膜利用連続透析法)は、英国では45.5パーセントで普及率は血液透析とほぼ拮抗する。わが国でも84年3月より保険適用となったが、点数設定、実施医療機関の基準の問題などで普及に大きな隘路がもうけられ、同年6月現在、保険請求可能な医療機関は全国でわずか20箇所にすぎない。
 「CAPDが日本で普及しないのは、保険点数が低いからである。これは非関税障壁だ」とのアメリカ・トラベノール社(CAPDの独占企業)の要求で、摩擦解消という高度な政治判断も加わってCAPDの保険点数は段階的に引き上げられたが、この種の要求がなければわが国の医療はなにひとつ動かないし変わらない。この点、厚生省と教育委員会はよく似ている。

 わが国の病院の器械・設備の保有率は欧米諸国のそれを大幅に上回っている。例えば高額医療機器の代表ともいえるCTスキャナーの設置台数は82年で人口100万人につき18.5台であり、アメリカの10.7台の1.7倍に達し、その差は開くばかりである。CTスキャナーにせよ、内視鏡にせよ、エコーにせよ、検査は一年に一回で良いのだが、病院を変わるたびに検査が繰り返される。その理由のひとつがパソコンによるカルテのデジタル化である。病院ごとにシステムが異なるために共有化がなにひとつ進まない。デジタル化が逆に足を引っ張るとは。こうしたところにも、医療の意味のない高額化の原因があるのだが。
 それら機材と比して、人材面の水準は諸外国のそれを大幅に下回っている。厚生省「医療施設調査」によると100床当たりの職員数は一般病院でも84.6人、全病院では76.5人(82年)にすぎない。それに対してアメリカのコミュニティ病院の患者100人当たり常勤職員数は376人(82年)に達し、欧州の一般病院でも100人は大幅に上回っている。わが国の最高の看護体制である特類ですら、欧米諸国のナーシングホームの水準にすぎないのである。(1月16日6時)


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2012年01月28日 16:46に投稿された記事のページです。

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