みさと公園でヨットを走らせている老人と会った。八十センチほどあろうか、玩具としてはかなり大型のヨットである。型式は小型クルーザーといったところか。季節柄少々風があるにもかかわらず、風下へ向かって回頭している。この人は真物のヨットは未経験だなと思いながらも、楽しく見物させていただいた。
推進器にエンジンもしくは電動モーターを積んだリモコンの船は良く見るのだが、あれは五月蝿いばかりで興味はない。風任せというか、風頼みのこのようなヨットははじめての経験であって実に結構、ずっと座り込んで眺めていた。
ラダー(舵)とセール(帆)が無線で動く仕掛けになっている。タッキングを繰り返していたが、回頭の度にひっくり返りそうになる。なんとか持ちこたえていたが、おそらくそういう構造になっている、もしくは顛覆しない構造になっているのであろう。ひとしきり遊んだ後、キールを見せてもらったが、三十センチほどある。艇長から推して異常に深いキールである。しかも突端に重しが付いている。これで横羽を付ければまるで競技用ヨットのウィングキールである。聴けばこれも競技用のヨットだそうで、と云うことは競技会もあるのだろう。ある種、完成された玩具だった。