大量の輸血をしたにもかかわらず、わたしの血液に抗体はなかった。ただ、レシピエントとドナーの組織適合性抗原(HLA抗原)は六種類すべてが合わない。詳しくはわたしには分からないが、移植に問題は生じないようである。
これから繁雑な検査がはじまる。まず、十二月に移植内科医の認可が必要になる。認可されると再度泌尿器科の移植外科へ戻り、検査入院となる。この検査で許可が下りてはじめて移植への道がオープンになる。手術の一箇月前にさらに免疫検査があって、予定通りだと三月に手術となる。
移植内科医の認可とはレシピエントとドナーの関係に理不尽なものがあるかどうかと云った道義的問題を徹底的に調べるそうな。透析における血液の評価表(一種の成績判断)、これは後々免疫抑制剤の服用が指示通りできるかどうかの確認である。検査入院も相当に難問らしく、この段階で移植を諦めるケースが多いと聞かされた。特に悪性腫瘍にはうるさそうである。
ちょっとしたことでも、移植は断念していただくと繰り返し念を押された。そこまでしないと成功率を上げるのは難しいのだろう。また移植手術は週一回行われているが、体調によって繰り上げ繰り下げがあるようである。
朝八時前に出掛けて、帰宅は四時過ぎだった。帰りに役所へよって何時もの手続きを済ませた。余談だが、移植を受けると以降、更生医療は受けられなくなるらしい。