阪神淡路大震災の折、本箱が天井を突き破ったと書いた。突き破ったのは天井だけでなく、壁は半分が崩れ落ちた。鏡花の初版本が家出して外のドブに落っこちていた。要するに、日本橋が崩落して二つ折りになって溝のなかに鎮座していたのである。
それを思えば、今回の地震(3.11)はちょっとした搖れに止まった。しかし本箱は十糎ほどずれた。以前は六糎の角材を五十糎間隔で本箱の上部に組み付けていた。ところがそれら角材は全てが折れ、三寸釘も抜け落ちた。爾来、地震対策は止めた。用をなさないからである。
廃業してまず片付けなければならないのは本箱を正常な位置に置き直すことだった。そのためには本を一旦書庫から出さなければならない。考えただけでも気が遠くなる作業である。某女子の協力を得て先週片づけが済んだが、慎に申し訳なく思っている。
年内は三郷にいることにした。年内一杯は体重を絞りながら体力の回復を試みる。体重を五十七キロ、ウェストを七十糎まで落としたい。そしてうまくいけば腎移植を済ませたく思う。相手あってのことゆえどうなるか分からないが、北里病院での打ち合わせは二日の午前である。