透析中は眠っている。もっとも血圧測定その他で頻繁に起こされるが。土曜日は「渡辺さん」との声で目が覚めた。いつもは通り過ぎる栄養士が書類を持って座り込んでいる。案の定、高リン血症についてである。日々の食事の内容と量について語る。
飯は低蛋白米でなく、通常の無洗米である。四合ほど炊いて140グラムにラップで小分けしている。週に二回ほど焼肉も食べているが、80から100グラム内に収めている。副食は総じて120から160グラム。一日二食、600グラムが二日で1200グラム。結果600グラムほどの除水になって体重は静止している。
尿素窒素が低いのでもう少し量を増やそうと思うが、増やせばリンがさらに過剰になる。蛋白とリンは別物として認識できない。
透析がはじまってから塩分、尿酸(ナトリウム、カリウム、尿酸、マグネシウム)と蛋白、コレステロール、糖(総蛋白、アルプミン、コレステロール、中性脂肪、血糖)に関しては異常は出ていない。ちなみに、カリメートと降圧剤は服用していない。要するに食事療法は完璧に効いている。
にもかかわらず、高リン血症に陥った。栄養士と看護師はわたしの食生活の内容を知っている。知っているがゆえに、二箇月のあいだリンが高くなっても黙っていた。私自身、食事に落度があるとは思っていない。すべては薬の(塩酸セベラマー)のせいである。
自己診断では食事を一日三回に振り分け、レナジェルを四錠ずつ計十二錠に増加する、である。土曜日は看護師と栄養士が一緒になって医師に抗議してくださった。おかげでレナジェルの処方箋が変わった。透析病院の回診医師はアルバイトなので変化を嫌がる、自分で判断するのを嫌がるのである。そこで、一番若い医師のときを狙っての作戦だった。
その日のうちに、最後(追加分)のレナジェルを持って薬剤師がにこにこ笑いながらやって来た。「これで一箇月待ってください、リンは必ず下がりますから」と嬉しいのはわたしの方である。
回診がないクリニックもあって、医師が来るだけでもましなのだが、小回りが利かないのは問題である。ドライウェイトにしても頻繁に動かして良いと思うのだが、失神でもしない限り当方の云うことは聞いて貰えそうにない。ならば些か無茶をしてでも現在のドライウェイトを守り続ける方が無難なのである。
追記
以上は土曜日のはなし。今日は別の医師、「誰だ、処方箋を変えたのは」の一言で元に戻った。元に戻るどころでない、セベラマー二錠に減らされてしまった。レナジェルは八錠で2000ミリグラム、セベラマーは二錠で1600ミリグラムである。
たかが薬のことで喧嘩をする気はない。途中から黙ってしまった。なるようになるのだろう。