ある金融関係者が、今回の大震災と阪神淡路の違いを指摘する。「阪神淡路のときは家屋は壊れたけれども、仕事は残っていた。今回は、職場そのものまで失った人たちが大勢いる」。確かに自助努力を求めるには、あまりに事態は深刻である。
為事が「なくなった」30.2パーセント、「減った」と応えた方36.9パーセント、人口にして十一万人。阪神淡路大震災の際は失職乃至離職した人は十万人、率にして3.6パーセントである。ちなみに罹災後、神戸を離れた人口も十万人だった。そして、自宅または工場や商店の再建による二重ローンを抱えた被災者は一万人を超えた。東日本の場合は車や漁船といった生活手段がそれに加わる。糅てて加えて福島である。
電気がほぼ復旧したのは、阪神淡路が震災から六日後の一月二十三日、これに対して東日本は二十日後の三月三十一日で、約十七万戸が停電したままだった。もっとも、神戸の場合も全面復旧に電気は一箇月、水道は三箇月掛かっている。今回は四箇月目に入った現在、水道とガスは目処さえつかない町村がある。瓦礫の処理に兆単位の予算が必要だが、こちらの目処も立たない。
自民、公明、みんな、たちあがれ日本、新党改革の野党五党は二十一日、福島第一原発事故の被害者への賠償金を東京電力に代わって国が仮払いし、生活再建を支援する「原子力事故被害緊急措置法案」を参院に共同提出した。東電が支払うべき損害賠償額の半分以上を国がまず支払い、後で東電に請求する内容だが、これから審議に這入る。法案山積でどうにもなるまい。