北九州市子どもノンフィクション文学賞というのがあって、佐木隆三さんが中心になって審査をしている。第二回の最終審査会は二月二十五日、小倉北区のホテルで行われた。全国・海外から934(中学生の部)の応募があり、中学生の部の大賞を「父がいなくなった時」が受賞。受賞者は梅光学院中学校三年生の江原千花さんだった。入賞作品の表彰式は北九州芸術劇場で三月二十八日に催された。
梅光学院の中学三年生は同文学賞に全員応募することを目標にしている。今年は江原さんの大賞はじめ、佳作に垣田紗幸さんの「私の夏休み」、そして学校団体賞(中学校の部)のトリプル受賞だった。
受賞作品は冊子にまとめて全国の図書館に送られる、そちらでお読み頂きたい。中学二年生の秋、突然消息を絶った父が遺体で見つかるまでの出来事や心情を描いた傑作と佐木隆三さんは激賞する。久しぶりの天才児の出現を思わせる。
、遺体の「腐敗のにおいが、ぎんなんの香りとそっくりなこと。(中略)ぎんなんの香りでいっぱいの十月の道は、通る度にあの日のことを思い出させた。他の人はそんなこと知らないだろうなと思いながら、その道はなるべくゆっくり通るようにした。決して良い思い出ではないのだけれど、少しでもパパを感じていたいと思うと、そうなった。自分でも、よくわからない行動だと思う。」
江原千花さんには異なる話題もあるが、わたしはそちらに興味がない。