ルネ・ヴィヴィアン詩集「菫の花の片隅で」が彩流社から上梓された。訳者は中島淑恵さん、ですぺらのお客さんでもある。ヴィヴィアンについてわたしは書くべき資格を持たない。そこで腰巻きの文章をまるごと引用する。
同性愛者として知られ、フランス象徴派詩人のマドンナともいうべきルネ・ヴィヴィアン〈1877-1909〉の遺稿詩集本邦初訳。
曽根元吉さんからルネ・ヴィヴィアンの名はよく聞かされた。新しくは土屋さんからも夭折した彼女の詩文について聞かされた。巻頭の詩を一篇、紹介する。
菫の加護のもとに
我置かん、菫の加護のもとに
いとも慎ましく物言わぬ敬いを
おお、汝ら、菫よ。
香りの枝に長けて、かの声、
かの褐色の長い眼差しを呼び起こす汝ら、
その香りの力強さよ。
汝らを愛する女の叫びを聞き入れたまえ
かくして我が生と我が詩とを薫らせたまえ
我が汝らを愛するのを知って。
我百合に倦み、薔薇にも疲れぬ。
その気高さ光輝にも、花咲ける瑞々しさにも、
かの大いなる百合や、薔薇の全き麗しさに我は倦めり。
汝らの香気は日暮れどき闇の中に募る。
菫よ、おお、胸塞ぐ甘美なる花よ、
夕べの菫よ。