レイアウトが崩れる方・右メニューが表示されない方: >>シンプル・レイアウトへ

« 深海魚 | メイン | 被曝 »

「菫の花の片隅で」   一考   

 

 ルネ・ヴィヴィアン詩集「菫の花の片隅で」が彩流社から上梓された。訳者は中島淑恵さん、ですぺらのお客さんでもある。ヴィヴィアンについてわたしは書くべき資格を持たない。そこで腰巻きの文章をまるごと引用する。

 同性愛者として知られ、フランス象徴派詩人のマドンナともいうべきルネ・ヴィヴィアン〈1877-1909〉の遺稿詩集本邦初訳。

 曽根元吉さんからルネ・ヴィヴィアンの名はよく聞かされた。新しくは土屋さんからも夭折した彼女の詩文について聞かされた。巻頭の詩を一篇、紹介する。

  菫の加護のもとに

 我置かん、菫の加護のもとに
 いとも慎ましく物言わぬ敬いを
 おお、汝ら、菫よ。

 香りの枝に長けて、かの声、
 かの褐色の長い眼差しを呼び起こす汝ら、
 その香りの力強さよ。

 汝らを愛する女の叫びを聞き入れたまえ
 かくして我が生と我が詩とを薫らせたまえ
 我が汝らを愛するのを知って。

 我百合に倦み、薔薇にも疲れぬ。
 その気高さ光輝にも、花咲ける瑞々しさにも、
 かの大いなる百合や、薔薇の全き麗しさに我は倦めり。

 汝らの香気は日暮れどき闇の中に募る。
 菫よ、おお、胸塞ぐ甘美なる花よ、
 夕べの菫よ。


←次の記事
「被曝」 
前の記事→
 「深海魚」

ですぺら掲示板2.0トップページへ戻る

このページについて...

2011年06月15日 23:20に投稿された記事のページです。

次の記事←
被曝

前の記事→
深海魚

他にも
  • メインページ
  • アーカイブページ

  • も見てください。

    アーカイブ

    ケータイで見るなら...


    Google
    別ウィンドウ(orタブ)開きます。

    牛込櫻会館(掲示板1.0他)内
    ですぺらHP(掲示板2.0他)内
    Powered by
    Movable Type 3.34