主として民主党の仙谷由人代表代行がいろいろ画策しているようだが、大連立構想が紙面を賑わしている。この時期に大連立を口にするような政治家はそれだけでも失格である。政党政治の崩壊を政党人が望むとはこれ如何に。近衛文麿とその側近によって組織された官製国民統制組織をなんと心得ているのか。 政党政治を守るのが共産党と社民党とは皮肉である。二大政党制とは共産党と社民党のことだったのか、と問い質したくなる。
ウォールストリート・ジャーナルは「国民世論が小沢氏を嫌っているのは紛れもない。ここでこの政治家の嫌疑について何らかの法的免責を与えれば大きな物議を醸すことは必定だ。しかし小沢氏が自民党と袂を分かつことになった彼の長年にわたる政治信条——利益供与型政治の改革へのたゆまぬ努力、官僚支配の打破——を考えると、その力は重要だ。もし小沢氏が民主、自民両党の改革支持勢力を束ねることができれば、小さな政府と経済成長の促進政策への国民的コンセンサスを形成することも可能になるかもしれない」と書いている。
ここで云って置かなければならないのは、小沢のいう「官僚支配の打破」とは官僚の排除にあらず、官僚の行政への関与を極力排すとの意味合いである。目的は規制緩和にあって、菅のような官僚との闘い(闘いは癒着と同質の弁証)を意味するものでない。
小沢にかくまで好意的な書き方をするのは流石外国のジャーナリズムである。日本のそれだと決してこうは書くまい。文中の要は「改革支持勢力を束ねる」にあって、単なる大連立でない。大連立を最初に口にしたのは小沢だが、彼の頭のなかにあるのは常に理念であり、利益供与などという打算は一切含まれない。
素人の予想だが、大連立構想なるものは纏まるまいと思っている。纏まったところで、三箇月は持たないであろうことは必定。連立の画策が可能な政治家は小沢を除いて他にはいない。小沢に「壊し屋」との異名があるのは、彼の離合集散の中心には「常に理念」があるからである。ところが政治家の過多は利益供与を求める、それ故結果として離合集散の蹴り返しになる。ここが理解できなければ小沢を解することは不可能である。
衆院で小沢グループが七十人前後、鳩山グループが三十人、合わせて百余名。新党を立ち上げる金はある。そうすれば、民主党は衆院で単独過半数を割り込む。小沢の新たな破壊と創造を願っている。
追記
菅が消費税を十パーセントに上げると云う。マスコミは「欧州の消費税に比べれば、日本の税率は低い」と解説する。だが、欧州に消費税はない、あるのは付加価値税だ。インボイスと呼ばれる請求書を用い、払った税額を確定する間接税で、軽減税率の適用がある。同日に論じるべきでない。