先日、百貨店だとホールマネージャーと思しき工学技師から除水を1500か2000に増やすか、ドライウェイトを一キロ減らすように云われた。要するに摂取量を増やせとの命である。除水がこの七箇月のあいだ一リットルを切っているのはおかしいとの意見である。その技師をわたしは予てから敬愛している、それゆえ言葉は重く受け止める。しかし、透析をはじめた頃は低血圧に悩まされ、治療中に失神も経験させられた。やっとリズムに乗ってきたのに狂わせられるのは困る。
病院中でわたしがもっとも除水量(率)が少ない。それは分かっているが、これがわたしのドライウェイトと摂取と除水のバランスである。平均除水が三リットルだから、せめて二リットルにせよ、というのは逆におかしい。他人は他人、わたしはわたしである。おそらく摂取量を増やそうが、ドライウェイトを減らそうが、一箇月も経てば除水は一リットル以内に落ち着くに違いない。それよりなにより現在のバランス、体調を崩されるのが怖い。
透析カレンダーなるものを頂戴した。曜日によって時間が微妙に異なる。透析をはじめてから欠席、遅刻は一度もないが、本当は時間を決めていただく方が対応しやすい。穿刺の順番を平等にとの気遣いは理解するが、ならば遅くて結構。ひとりが六、七人に対応しているので、ひとり八分として一時間弱で全員の穿刺が終わる。
月曜日は客が居なくなったのが三時過ぎ、そのまま寝ずに透析を受け、帰宅は午後二時過ぎ。気付けば、ズボンやワイシャツを着たまま寝入っていた。少々疲れているようだが、良い時に連休が入った。原稿の締め切りが近づいているが、それどころでなく、もっかのところ寝つづけている。まずは食欲を戻して体調を整えなければならない。
月曜日が血液検査だったので、帰りにメロンを買ってきた。乳製品と果物、特にメロン、西瓜、トマト、ピーマンは普段だと食されない。検査の直近だといかようにも処理できる。わたしの食生活にとって検査の後の二、三日が楽しみなのである。ただし、安価なものを買ったので熟れすぎている。液状化した果肉を啜るにどうやら浦安産のメロンのようである。