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秬鵡返   一考   

 

 先日触れた某村に残っている畜産業者は新聞によると十数人だが、村人に聞くと七十名だそうである。二十キロと三十キロの双方に跨がって村は在る。現時点で屠殺すれば補償が出ない、と云えど乳は汚染、肉も汚染されている。しかも土壌が汚染され、今後数年は牛を飼うことすらできない。にもかかわらず、餌を与え続ける営みの切なさを思う。
 菠薐草がどうの、甘藍がどうのと云っているが、そうしたことにさしたる興味はない。わたしが興味を抱くのは土壌の汚染である。二十、三十キロの同心円にも興味はない。スピーディによる計測では、南へ四十キロ、北西へ五十キロが汚染されている。気象庁はそのデータを公表しない。そして一部の汚染はチェルノブイリを越えつつある。にもかかわらず、人体に影響はないと判で押したように答えが返ってくる。乳幼児のみが云われるが、チェルノブイリでは十四、五歳までの少年、少女の甲状腺癌が問題になった。こちらも学者に云わせると影響は考えられないようである。

 原発の半径十キロ圏内で見つかった遺体の収容が見合わせられている。遺体から測定された放射線量が高く、搬送は危険と判断されたのである。
 避難した人たちが、放射線量を確認するスクリーニング検査で「異常なし」とする証明書を提示しなければ医療機関で受診できないケースが続出。避難所に入所する際、スクリーニング検査を事実上義務付けられるケースすら起こっている。ナチスに於ける猶太のマーク同様、被災者が被災者を差別する、非科学的な偏見による過剰反応である。
 某副大臣が原発事故の今後の見通しについて「予見しうる最悪の事態を考えているが、それ以上は神のみぞ知るだ」と述べ、陳謝していたが、想定していなかったが故に正しい発言だったのかもしれない。これだけ放射性物質による汚染が拡がり、プルトニウムやウランが検出されるなかで、学者連中はいまなお人体に影響はないと宣っている。思うに、最悪の事態を予見している学者、政治家は皆無でないだろうか。


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2011年03月29日 16:40に投稿された記事のページです。

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