国道は空いていて思ったより早く店へ着いた。理由は走りはじめて直ぐ気付いた。ガソリンスタンドが真っ暗である。三郷を出て、麹町の駐車場まで一軒も開いていない。ガソリンや灯油の買い占めは聞いていたが、ここまでとは思ってなかった。
非常時になると買い占め、買いだめが横行する。折角透析を朝の部にしていただいたのだが、今度はガソリンの入手が難しくなった。燃費が悪いのは当方の勝手だが、車がなければ動かれない、困ったものである。精米した米同様、ガソリンも買いだめはできない筈である。二週間ほどで品質が落ちるからである。
買い占めでなく押し売りだが、神戸の震災の折、三ノ宮のガード下商店街が片端から盗人に襲われた。また、ブルーシートが二万円、握り飯が二千円で売られ顰蹙を買っていた。西ノ宮からの担ぎ賃が加算されたからだが、大阪商人の逞しさが如実に表れていた。
わたしは日本人のそのような癖をまったく信用していない。特に東京では、米、水、インスタントラーメン、トイレットペーパー、乾電池、懐中電灯、カセット用ガス台とボンベ、山岳用のランタンとストーブ、生理用品などが商店から消えた。米のように有り余っているものが店頭から消えるなど、想像すらできない。真に日本人とは如何わしい存在である。