2キロの食事と1.5リットルの水が日本人の平均摂取量である。そのうち大便になるのが600グラム、他の2.9キロが水分となる。二日で5.8キロ、透析患者が健常者と同量の食事を摂ると半年以内に臨終を迎える。カリウムがどうの、リンがどうの、ナトリウムがどうのと云った類いは後のはなしで、まずは食事量をいかにして抑えるかである。
1キロの食事と0.5リットルの水、これで二日で2.4キロになる。これが透析患者が摂る量の上限である。今後の余命を考えればこの半分が理想だが、現実には無理である。「透析患者の寿命」で書いた余命を全うしようと思えば、2.4キロは譲られない。守られなければ、一年以内に三分の二の透析患者が死去する、そのなかに這入ることになる。
前述したリンとカリウム、蛋白制限などは守る必要はない、と云うのは2.4キロを守れば余程偏った食事(例えば拉麺)でない限りクリアできるからである。まずは量ありきである。
透析患者は大方があと何年生きられるかを問題にする。ならば2.4キロを守れば「透析患者の寿命」で書いた平均寿命は生きられる。それを制限ととるか、病気に罹ったが故のタックスととるかである。日本国憲法には国民の三大義務のひとつとして納税の義務が上げられている。その納税の一部だと思えばよいのである。
繰り返すが、1キロの食事と0.5リットルの水、これは守られない量でない。好きなものを食べられないと悄気るまえに、好きなもので良いのである、ただし量を少々控えめに。それだけで寿命を全うすることができる。