何度も書いていることだが、透析治療を受けている人は感染に対する抵抗力が著しく低下する。風邪に罹ると癒りにくく、感染期間が長引く。高齢者は肺炎に移行する場合もあり、日ごろから細心の注意が必要。
市販の薬は厳禁である。胃腸薬にアルミニウムが含まれているように、風邪薬には熱冷ましや咳止めなどが含まれており、体外へ排出されにくい成分が多い。栄養ドリンクの類いもビタミンAをはじめ、透析患者が摂ってはいけない成分が含まれているので禁止品である。
要するに、体力や免疫力が落ちている透析患者が風邪をひいた場合、最悪の状況を覚悟した方がよい。そしてさらに怖いのは院内感染である。両手を拡げれば隣の患者と手が触れるような環境である。一人が風邪を引けばたちどころに蔓延する。わたしが通うクリニックなら一室六十名が感染する。重度の場合は入院、そして個室で透析ということになる。
いずれにせよ、透析患者は風邪を引かないように、普段から格別の注意を払う必要がある。