屋内で体操をしたいのだがと回診の医師と看護師に云ったところ、大騒ぎになった。透析患者から体操の話が出たのははじめてらしい。明日にも死にそうな患者が多数を占めるなかにあって、せめてものレジスタンスのつもりだった。内シャントが傷つかなければと云われたが、どうすれば傷つくのかがわたしには分からない。腹筋、背筋は問題なし、腕立て伏せと懸垂にはクレームが付いた。五十づつ計二百は問題なく出来ていたが、おそらく今なら十回も繰り返せば疲れるに違いない。
靭帯剥離骨折は癒すに途方もない時間が掛かった。今は内シャントを造ったせいで左手首が曲がらない。曲げるには腕立て伏せが最適と思ったのだが、医師までが責任は取られない、自己責任でと云いだす始末。2009年07月からまったく身体を使っていない。医師は水泳を薦めるが、わざわざプールへは出掛けられない、やはり自転車だろうか。いずれにせよ、腕に力が加わる種類の体操は原則禁止だそうである。
看護師は自転車に興味があるらしく、遠距離の場合何キロぐらい走るのか、スピードはどれぐらい出すのかなどと根掘り葉掘り訊く。若い頃はともかく、わたしはポタリングを楽しんでいる。淡路島一周150キロはよく出掛けたが、南端の公園とか五色浜など寄り道が多く、時間は気にせずに走っている。京都や岐阜へ遠出したときは二十時間は平気で漕ぎつづける等々、訊かれるがままに応える。
クリニックの看護師、技師には年長者が多い。経験豊富で穿刺の巧いのがなによりだが、最近は徒言も交わせるようになった。みなさんのお陰で新しい年を迎えられたことを嬉しく思う。