東葛クリニックへ行く。二時半に出掛けて、透析終了後ですぺらへ車を飛ばし、到着は九時少し過ぎ。思いの他、時間が掛かる。クリニックと総合病院では患者層が異なる。クリニックではほとんどの患者が同じダイアライザーを用いている。要は入院の必要のない患者ばかりなのである。
東葛クリニックでは当座、火、木、土曜の三時からの四時間透析がはじまる。パジャマ、毛布、タオルの類いは持ち込みである。採血の血管は皮膚下二ミリ、直径は三・四ミリだそうである。
搏動は好んで用いる言葉だが、すこぶる具体性を帯びてきた。脈搏は知ってはいても、本人には聞こえない。それがシャントを拵えたことによって身近な存在になった。北海道旅行の際、みずならや白樺の幹に耳を寄せると樹液の流れる音がきこえる。幹の太さに比例するらしく、ごーっという音からストローで吸い上げるようなさらさらした音まで木々の呼吸はそれぞれである。その呼吸が把握され、音も聞こえてくるようになった。誰かさんではないが、人も植物であるかのよう。
左手のシャントから先が痺れたままである。手前へ血液を逆流させたため、十分な血が流れていない。痺れが取れるに一月ほど掛かるそうである。体重は六十三・二キロから六十三・五キロの間を基準にするようである。越えた分はまるのまま余分な水分となって除去される。一キロの食材には約半分の重さの水分が含まれる。食事による体重管理がうるさくなる。今まで以上に迂闊にものが食えなくなる。それにしても、カレーやシチューが問題になるなんて。