もっかモルト会の解説を起こしているが、気づいたことを一言。
寡多録で触れたが、限定品を別にして、ディスティラリー・ボトルには正規品と並行輸入品とがあって、香味が随分と異なる場合がある。またはボトリングの年次によって味がまったく違う場合もある。さらに売値も倍から異なることがある。そのような場合は双方を在庫するように心掛けている。大半のお客さんは細かい味の違いでなく、安価なものを求められるので問題は生じないが、ごく一部に香味に五月蠅い客がいらっしゃる。そういう場合は仰有っていただければ対応する。
売値が一万円と二万円といった場合、必ず香味に差違がある。ワインと同じで廉いとの理由だけで購入するのはいささか無謀である。まず、ヴィンテージの確認をすべき、一方でヴィンテージの記載がないウィスキーも多いが。マッカラン、ラフロイグ、ボウモアなどは要注意である。なお、オーナーやマスター・ブレンダーが入れ替わった場合も香味が徐々に変化してゆく。余談ながら蒸留所の消長もしくは閉鎖によってブレンドウィスキーが変化するのはやむを得ない。
ボトラーズ・ボトルの大半はシングルカスクなので、並行、正規の違いはない。言い換えれば、カスクの違いはともかく、もっとも安心して飲まれるのはボトラーズ・ボトルである。