日本ほど世論調査が繁く行われるところはない。しかもマスコミが直接行う世論調査ほどいかがわしいものはあるまい。にもかかわらず、大手メディアは粗雑なな世論調査の結果を錦の御旗にする。大衆がものを考えるときの規範とはマスコミそのものである。謂わばマスコミは大衆をどのようにでも手懐けることが可能なのである。
マスコミにせよ、政治家にせよ、大衆の意をこれほどに意識した時代があったろうか。大衆の意に動じず、自ら思うところを述べ、行動するのがマスコミであり政治家でなかったのか。何人の策謀かは知らないが、世論調査なるものを新聞ならびにテレビ局は頻繁に試みる。一時期マスコミといわれるところに身を置いていたのでよく分かるが、マスコミは自分たちに都合のよい結果が表れた世論調査だけを公表する。例えば、小沢は辞めた方がよいとなったら辞めるべしとの世論調査ばかりを発表し、その高まりにマスコミは一喜一憂する。このような自主性を喪ったマスコミが世界のどこかにかつてあったろうか。二大政党制を打ち立てた彼の業績は誰一人として歯牙にかけない。
マスコミの劣化は取りも直さず政治の劣化を齎す。そして劣化したマスコミが操作する大衆とは群れにしか過ぎない。大衆はばかにできないとよく云われるが、それは個として物事を考えなくなった人たちの与太とわたしは思っている。いま必要なのは一箇月間、新聞やテレビを中断することであるまいか。