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透析   一考   

 

 国民健康保険特定疾病療養受療証が発行されたが、認定疾病名に「人工腎臓を実施している慢性腎不全」と記載された。本証の再発行に関しては戸田市役所の担当者と随分長く話をしていたようである。もちろん、血液の状態から推してとっくに人工透析ははじめていなければならないのだが、引っ越すまではと我慢してきたのである。身体が黒ずんできたのも分かっている。目眩いや痒みなど憎悪が一段と激しくなってきたのも分かっている。手の震えが止まらなくなったのも分かっている。しかし、頭の片隅に人工臓器に頼って生き延びることへの嫌悪感がある。こちらで詳細は書かれないが、主治医はそのことを知っている。選択するのはわたしでしかないことを。
 透析拒否はわが国では病死扱いになる。海外のように自殺としてはカウントされないようである。もとより、医学とは延命策であり対処療法である。癒る病なら迷いはしないが、癒らない病に手を加えるのが釈然としないのである。命が劃られたときに、ひとはいかに抗って生きればよいのか。自らの死についてひとは相談すべき相手を持たない。


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2010年05月17日 21:55に投稿された記事のページです。

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